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【ニュース紹介】米軍関係者の起訴13% 性犯罪全て不起訴(琉球新報、8月23日付)

2012年09月20日 | 米軍・自衛隊
 昨年1年間の国内における米軍関係者による犯罪の起訴率がわずか13%にすぎないことが明らかになりました。以下で報道の内容を紹介します。

■「米軍関係者の起訴13% 性犯罪全て不起訴」(琉球新報、8月23日付)

 2011年の1年間に国内で発生した米軍関係者(米兵・軍属・家族)による「一般刑法犯」(自動車による過失致死傷を除く)の起訴率が13%だったことが22日、日本平和委員会の調べで分かった。県内は22%。10年の日本人も含めた全国の起訴率42%に比べ、大幅に低い数字となっており、米軍関係者の犯罪が特別扱いされていることが浮き彫りとなった。

 米軍関係者による一般刑法犯98件のうち、85件が不起訴。強姦・強姦致死傷・強制わいせつ事件は神奈川県で3件発生しているが、全て不起訴となっている。

 同委員会は「『日本にとって著しく重要と考えられる事件以外は第一次裁判権を行使しない』と米政府に秘密裏に約束した『裁判権放棄密約』を、日本の検察当局が忠実に実行している実態を示すものだ」と指摘している。

 強姦や強制わいせつなどが全て不起訴になっていることには「性犯罪は被害者が声を上げにくい上に、不起訴となることは被害者の人権、正義が踏みにじられている」と問題視した。

 自動車による過失致死傷を加えた刑法犯は、全国で488件受理され、うち53%に当たる258件が那覇地検扱いだった。

 自動車による過失致死傷は全国で78件が「公務中」であることを理由に、日米地位協定に基づき「第一次裁判権なし」として不起訴になっている。県内は46件が同理由で不起訴だった。

 同委員会は法務省に開示請求した「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」を基にデータをまとめた。
(引用終わり)


 米軍関係者の起訴率が異様に低い背景は、日米地位協定にあります。日米地位協定は正式名称を「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協定及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」といいます。日米安保条約第六条では米軍の日本国内における施設や区域の使用を認めており、地位協定はその規定を補完し、米軍の法的地位や行動を保障しています。その内容は米軍関係者に多くの特権的地位が与えられていたり、抽象的な表現が多く米軍の行動を具体的に制限することが難しかったりする等、多くの問題点が指摘されています。

 中でも大きな問題とされているのが、米兵犯罪に関する裁判権の問題です。地位協定では、「公務中」に起きた事件であれば米国に、「公務外」で起きた事件については日本側に、第一次裁判権(裁判権を優先的に行使する権利)を有するとしています。しかし、米軍によって「公務中」であるか否かが判断されるために、恣意的に「公務」の範囲が広げられる恐れもある上に、記事においても指摘されているように、「日本側が特に重要だと考える事件以外については、たとえ「公務外」の事件であっても第一次裁判権を放棄する」という密約が存在することも明らかになっています。これらを要因として、結果的に米軍関係者の起訴率は低くなっており、被害者は泣き寝入りを強いられるような状況にあります。

 米軍基地が隣接している地域では、日常的な騒音や墜落の危険性だけでなく、米軍関係者による犯罪によっても、生活や命を脅かされているといえます。今回の記事では、米軍関係者による犯罪責任の追及や被害者の補償が十分なされていない実態を改めて浮き彫りにしています。住民の人権を踏みにじるような地位協定は抜本的な改正をすべきですし、地位協定の基である日米安保条約やそれに対する日本の姿勢そのものを問うていく必要があります。


※日米地位協定の問題点については、以下をご参照ください。
「日米地位協定の基礎知識」
「日米地位協定の問題点」

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