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【ニュース紹介】「福島原発事故、県内避難者が東電提訴 3千万賠償請求」2012年8月16日、河北新報

2012年09月15日 | 原発・震災
 県内避難者による初めての損害賠償請求訴訟が提起されました。

■福島原発事故、県内避難者が東電提訴 3千万賠償請求(河北新報、2012年8月16日)

 東京電力福島第1原発事故により、避難生活を余儀なくされ精神的苦痛を受けたなどとして、福島県南相馬市から伊豆の国市に避難してきた一家6人が15日までに、東電に損害賠償計約2960万円を求める訴訟を静岡地裁に起こした。

 提訴したのは21〜94歳の一家。同原発事故後、県内避難者による東電への損害賠償請求訴訟は初めてとみられる。

 訴状によると、一家は同原発周辺地域に避難指示が出されたため、急きょ避難を余儀なくされ、南相馬市で行っていた自営業の仕事もできなくなった。避難生活で精神的苦痛を受けたほか、94歳の高齢者は介護も必要で、提訴時の今年6月までの16カ月間で1人当たり月額20万〜25万円の損害賠償が支払われるべきと主張している。避難に掛かった交通費や引っ越し代なども求めている。

 訴訟代理人の弁護士は「東電がこれまでに提示した賠償額は10万円で、原告の主張と隔たりがあった。原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介手続きも不調に終わり、提訴した」と話した。

 一方、東電広報部は「事故により、多くの皆様に大変な迷惑と心配を掛け、あらためておわびしたい。訴訟についてはコメントを差し控えたい」としている。
(引用終り)


 また、この訴訟の第1回口頭弁論がすでに行われています。

■東日本大震災:福島第1原発事故 避難者の損賠請求、東電側は争う姿勢−−第1回口頭弁論 (毎日新聞静岡版、2012年9月7日)

 東京電力福島第1原発の事故で避難を余儀なくされるなど精神的苦痛を受けたとして、福島県南相馬市から伊豆の国市に避難している一家6人が、東電に慰謝料など約3000万円を求めた損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が6日、静岡地裁(村野裕二裁判長)であった。東電側は「(原子力損害賠償紛争審査会の)中間指針の限りで損害を認める」との答弁書を提出し、それ以上の請求に対しては争う姿勢を示した。

 訴状によると、一家は自営業の男性と妻、子ども3人、介護が必要な母親(94)の6人。原発事故後、福島県内外に避難し、「生活の変化を余儀なくされ、精神的苦痛を被った」として慰謝料のほか、交通費や治療費、引っ越し代などの支払いを求めている。

 東電広報部は「訴訟についてはコメントを差し控えたい」としている。
(引用終り)


 この訴訟でも、東電が政府の指針(中間指針など)を唯一絶対的なものとして、勝手に位置づけようとする姿勢が色濃く出ています。東電の不誠実な対応は、体力のない被害者に対し、泣き寝入りを強いるものにほかなりません。このような状態はほんらい、加害主体のひとりとして東電を監督すべき立場にある国の責任において、厳しく取り締まられなければならないものです。

 他方、今回紹介したような訴訟提起は、具体的事案の解決はもちろん、賠償支払いの不十分さを顕在化させ、先例として、いまある賠償「基準」のベースアップに資する可能性があり、動向が注目されます。また、10万件ともいわれる潜在的な紛争の多さから、今後もこのような訴訟の多発が予想されます。

 いずれにせよ、東電に対して加害責任を追及する個別具体的な取り組みが、適正な賠償に向けての大きな圧力となっていくのではないでしょうか。

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