歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

メイキング・オブ: sosuの庭

2009年12月27日 | 造園 -creation-
12/25をもって跡形もなくなりました
sosuのクリスマスのための“庭”。

予告通り、メイキングの模様を ざっとお送りします。


材料となる 「枝振りの良い 大きな枯れ木」を入手するために
赴いたのは:




こんな田園がひろがる、神奈川県の某所。

お世話になっている、友人の働く植木屋さんへ。


「植木屋さん」と言っても、
庭木のお手入れをする いわゆる「造園屋」さんとは
ちょっと違って、

庭に植えるための樹木の苗木を 畑で育て、造園屋や小売店に卸す
いわば
「樹木の生産農家」。

いろんな種類の樹木・庭木が 豊富にひしめき合っています。

植物園をぎゅっと凝縮した森みたいなところで、
あんな木もこんな木もあって、
「こんなところに住めたら、、」と、ドキドキしてしまいました。


立派な温室もあります。



行くまで、どんな樹が仕入れられるか、わかりませんでした。

お店側から提示されたコンセプトを念頭に

植木屋さんと相談しながら、

「あ、これがいいかも!」と思うものを
その場の判断で 仕入れて行きます。



ドラセナ(竜血樹)の 硬いまっすぐな枯れ葉を
ひきむしる 植木屋の友人。

枯れ葉なので、普通なら ゴミとして棄てる部分。

ちなみに、よく燃えるそうです。


また、ランチに行った道すがら 発見した
「猫じゃらし畑」。



畑というか、要するに雑草ボーボーの 空き地。

なんか ピンと来て、
猫じゃらしの ふわふわした先っぽだけを ぷちぷち採集。

友人と一緒になって採っていたので、
便宜上、このふわふわした先っぽを “じゃらし” と呼び、

「なるべく 猫じゃらしの“じゃらし”だけを採ってね」と、お願い。

説明無しに いきなりそう言い出したのですが
ふつうに通じたのが、凄い。
人の気持ちを自然と汲み取ることができる。この友人の凄いところです。


この友人には、今回もしかり、ほんとに お世話になりっぱなしです。
長野の現場でも手伝ってもらったし。

“じゃらし採り” の直前には、
やはり道すがらで見かけた カラスウリのオレンジの実を
ボーボーの薮からひっぺがすのも、がっつり手伝ってもらいました。




最初は 果てしなく思われる「じゃらし採り」という地味な作業。
採っても採っても、まだどこにでも居る “じゃらし”たち。

それでも
黙々とやっているうちに、やはりだんだん慣れて、
それなりに、コツが見えて来るもの。
”じゃらし採り”の。

一時間後には
“じゃらし採り職人” という 特殊アビリティを獲得していました。
今後、どこで使うかわからないが。この技能。


* * 

肝心の、枝振りの大きな枯れ木も、ゲット。



こんな感じ。


ふつう「枯れ木」といえば、“ゴミ”。なので、
普通だったら ゴミ出しが許されるサイズに コマ切れにされてしまいます。
したがって、コマ切れにされる前段階の 大振りなままの木は、
案外、手に入らないもの。


だけど、植木屋さんに行ってみれば、
ほら来た、
剪定したばかりの 生々しい おおぶりの素敵な木が
どどーんと捨て置かれてあって

こっちからしてみれば、まさに 宝の山。


ここでも また興奮してしまいました。


トラックの荷台に積んでる時点で
「活け花」か あるいは
「フラワーアレンジメント」ならぬ「ツリーアレンジメント」をしているようで、

すでに 楽しんでました。



そんなこんなで あっというまに日が暮れて



タイムリミット。


大急ぎで 表参道へ。



ちなみに
2tトラックは 初めて運転しました。



夜閉店後、

ディスプレイ作成スタート。




ゲッケイジュの葉っぱを、全部むしりとります。

あの、シチュー等の煮込み料理や ブーケガルニに使われる
ゲッケイジュ(ローレル/ローリエ)です。

甘ーーい爽やかな青いミドリの香りが、そこらじゅうに満ちあふれます。

うっとり。



ここで
急遽 ぼんやりした呼びかけにも 集まってくれた
「ノグチゾウエン親衛隊(仮)」のみなさんも、参戦。



一気にむしりっていきます。

一気に終わりました。

やっぱりマンパワー、凄まじい。




土嚢袋いっぱいの ローリエ。

あの香りがぎっしり!ぎっしりすぎて、もっと濃厚に甘い、
別ものの香りにすら なっていました。
贅沢!




ローレルがむしり終わったら



アカマツ。

これもむしります。
葉っぱがチクチク刺さって痛い。

かと言って ゴシゴシこすったり ぶちぶち引きむしると
先っぽの柔らかい部分が折れてしまうので、
案外、慎重も要する ひと仕事に。




この 先っぽの方の 柔らかい、こまかい枝わかれ。
これが大事なのです。



なんか、グロテスクでしょう?きもいでしょう?

マツというより、なんか
別種の、多肉系の妙な生物みたいで
肌の質感も気持ち悪いし、
砂漠に居そうだし、

こりゃあ気持ち悪くて、
良いなー!(笑 って。



ドラセナは
親衛隊の キキの樹ちゃんのアイデアにより



束ねられて



ローレルにブッさし込まれました。
過激。



で、出来た展開は



ここからさらに
色み・あたたかみを ストイックに 殺ぎ落とし



こんな感じに。

殺風景な 四角い暗い空間を、
どうやったら ひとつの空間に まるくまとめられるかなあと考えて、

流れや 隅隠しや、
立体感や、逆から見た感じや、 一つに繋がる見え方 などなどなど、、、

色々考慮して、
3ポイントに分けて配置しました。


1:入り口わきの



ローレル+ドラセナ。


2:入りがかりの右手に



ヒメシャラ+ヤマボウシ。


3:正面(右より)に



ヒメシャラ+アカマツ。松ぼっくり付き。
あと、お店に元々あった流木も。


お店の人によって
小さなクリスタルも吊られ



ありきたりのゴージャスな ツリーとは違う

陰影の強い、
ストイックな雰囲気になりました。




コンセプトは

「砂漠」。



【sosu の クリスマスのための庭】2009.12


一人では出来なかった 庭。

sosuの皆様、親衛隊の皆様、植木屋様、
このブログを見ながら応援してくれた方、
どうも、ありがとうございました。




あの じゃらしたちは



結局使わず,お蔵入り。


いつか、いつか。


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1 Comments

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竜血樹 (オノp)
2010-02-04 07:21:32
あ!ちなみにドラセナの葉は釣り糸にもなるぐらい丈夫だよ。
あと、ちょっとした傷薬にもなるかな。味はあまり..
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