歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

とある旅の車窓から

2013年11月18日 | 旅録 -travelogue-
10月の終わりの、とある早朝。



とある駅前に到着した夜行バスから、すぐさま、とあるローカル線に乗り換えて、
私は とある所を目指していました。





始発列車。

昇り始めた朝日を背に、西へ。



そして、

もっと小さなローカル線に乗り換えて、

北へ。




稲刈りの終わった田んぼが見える。

その向こうには、小さな山の連なり。

懐かしい気持ちが湧く。




パノラマの大地が見える。

だだっぴろい世界を、まっすぐ突っ切る道。

「ああ、あのど真ん中に立ち尽くしたい。」と想う。






すっかり穂を太らせたススキが過ぎ去っていく。






丘のような山のような、、小山も現れる。



ツタびっしりの小屋だとか。




畑の端っこに植えられた菊も見える。









この日の天気予報は、

雨。




実際、時折ぱらつく雨。


どうか晴れてくれ、と、その願いが通じたのか、

常に危うい感じで垂れ込めたままでありつつも、
雨は、ギリギリで持ち堪えてくれている様子。



でも、山の天気は気まぐれなもの。




やっぱり、ザーッと来たりして。

と思えば、




ドキドキするほどの青い晴れ間さえ。

一喜一憂。


降ったり止んだりする、ということは、





そう、やはり。

虹が現れてくれました。


結局、
虹は三度も、現れては消え、
現れては消えてゆき。





小さな電車は、北へ、北へ。






山も見えつつ、



海も見えつつ。




手の届きそうなほどに近く。



北国だから、

東京よりも 紅葉が進んでいる。




目的地では、もしかしたら、
ベストタイミングの、最高に色鮮やかな錦模様の紅葉が、見られるかもしれない。


期待にドキドキしながら、
北へ、北へ。





相変わらず
怪しい雲行きにハラハラしながら、




北へ。北へ。





同じ車輌には、自分のほかには一人だけしか乗っておらず。

学生っぽい男子。ずいぶんと身軽な格好。

彼は一体どこまで行くのかな。

と、少しだけ気にしつつ。





海と山に挟まれて、

小さな線路は、北へ、北へ。


もうすぐ着くな。

バックパックから上下のレインジャケットを取り出す。







静かな、
小さな駅に降り立った。

電車はさらなる北へ、さっさと走り去って行く。




無人駅。

といっても、数人、人が居た。

駅内にある土産やさん。店を開く支度をしている。そのうちの一人の女店主が、車掌の代わりなのだろう、ホームからの扉を開けたところで待ち構えて、切符を取った。


同じ車輌に乗り合わせた彼も、ここで降りた。

目的地は、おそらく、、というか、100%、同じ。だろう。



あいにく。

雨が降り出していた。

霧よりも大きく、でも大して気にならないくらいに小さい、雨が降っている。



十数分で、バスが来る。


手を上げて身を乗り出して、アピールする(田舎ではそうしなければならない)。


そして、
バスに乗る。

例の彼も、続いて乗り込む。


まだ口もきいていなければ、まともに目を合わせてすら居ない関係。

でもお互いにきっと同じことを思っている。

「この人も、○○に行くんだな。」と。





バスは、目的地へ向かう。


走る車窓の外には、もうすでに



鮮やかな色彩が迫り来る。


どんよりした天気も吹き飛ぶほどの。


ああ、やっぱり、ベストタイミングだったのかも。


ぐねぐねと蛇行しながら、山道をじわじわ登っていくバス。

車窓の外に流れる色。


終点まで、15分。


期待はじわじわ確信に。




そしてバスは、


目的地、終点にたどり着いた。



そこからは、

歩いてゆく。



与えられた時間は、1時間25分。

のろのろしているヒマは無い。




ドキドキしながら、足早に、歩く。


今年初めての落ち葉の道を、踏みしめ、

歩く。







   >>続く>>
 





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