ひょうごの在来種保存会

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保存会通信17号(25年春)道が守るもの たなかひでき

2013年05月10日 | 保存会通信17号
先日発行しました保存会通信の17号の記事をアップしていきます
 (どんどん遡って、過去の号も載せていきます)


道が守るもの
                         たなかひでき
 日本は山と川に恵まれた、自然の豊かなところです。農村集落からすこし行くと里山があります。里山には、人々が薪を集めたり、山菜などを採ったり、集落どうしで行き来するのに使った里道があります。谷道と尾根道です。最近では、里道を利用する人が少なくなって、倒木や土砂崩れがあっても放置されて、なおさら、人が里道を利用できなくなって山が荒れています。人が入らなくなれば、自然が守られていいのではないか、と思われますが、実際はその逆です。そういうところを狙って、ごみ焼却場や廃棄物処分場などの開発の手が伸びてきます。
 タネに関しても同じです。昔は各地で自分のところで使う野菜のタネ採りが行なわれ、そこには伝統野菜や在来種がありました。しかし、大手種苗会社によるタネの全国制覇がなされると、市場もこの均一な野菜を望み、不揃いの美味しい在来種は敬遠され、農家はタネ採りも生産もしなくなりました。利用しなくなることから、崩壊が始まります。この次には、多国籍大手種苗会社による、遺伝子組み換え作物の独占支配が待っています。
 幸い、地方に行けば、まだたくさんの在来種の野菜や作物が残っています。タネを守るということは、在来種を訪ねあるき道をつくること。そして、その地域でタネ採りが続けられ、タネが蒔かれ、野菜が収穫され続けられるように、利用の道をつくることだと思います。そして、道は使い続け、歩き続けなければなりません。獣道と同じです。私は里道が山を、自然を守るということを身をもって学びました。利用し、使い続けることが、守ることになるというのは、タネでも同じです。守ることは、遺伝子組み換え作物などの進出を防ぐことにもつながります。これからも、タネ採りをして在来種を守ることの大切さを伝えていきたいと思います。