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佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

胸部単純X線写真おすすめ1

2007年12月25日 21時35分43秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 忘年会もおわり、年末年始に向けて気が抜けてしまいそうですね
 今回の推薦図書はそんな自分への戒めもこめ、基本の胸部単純X線写真についてです。

 画像診断の基本とも言える胸部単純X線写真。画像になじみの深い放射線科医にとっても奥の深い診断学で、研修医もまず悩むところと思います。

 勉強に王道はなし、とよく云われますが、時間を争う仕事の場ではそんなことは言ってられません(漢字はあってるかな??)。本書は、読影のトレーニングとしても有用で、かつ、実際に異常所見をみたときにパッと調べるといった使い方もできます。

 本の構成は、陰影のパターン、解剖構造ごとにそれぞれの章となっていて、簡潔に症例問題形式でまとめられています。多くの症例では胸部CTとの対比があり、X線写真の成り立ちの理解に役立ちます。学生さんがパラパラとみて勉強するのにも、読みやすい本と思います。
 ポータブル撮影とICU Radiologyの章があるのも特徴かも知れません。
 
 画像診断という雑誌の臨時増刊号なので、良本なのは間違いないと思います。
 ぜひ一度、手に取ってみてください。

胸部単純X線診断をきわめる
酒井 文和
秀潤社

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「偽」について

2007年12月14日 21時23分26秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 師走も、はや半ばとなり、だんだんと慌ただしくなってきました。放射線部でも胃腸炎や、副鼻腔炎、気管支炎が流行っています。
 
 今年の漢字が「偽」に決まったようですね。
 食品偽装、耐震強度偽装をはじめ、今年は色々ありました。なんだかイメージ悪い感じですね
 2007年の出来事のまとめや、偽という漢字の成り立ちは他の方にまかせておいて、今回は放射線科に関係する「偽」についてです。

 放射線診断学において、気をつけなければならないのが偽病変です。あたかも病変のようにみえて、病変でないもの。それが偽病変です。
 個体間の差によってみられるものから、単純X線写真、造影検査、CT、MRI、RI、超音波など診断に用いる手段(モダリティ)に特有なものもあります。非常に種類が多く、放射線科医は正しい診断を下すために、偽病変にも精通していなければなりません。
 
 今回紹介する本は、胸腹部の診断で遭遇する偽病変についてまとめてある本です。ほぼ1ページに対して1ケースの症例を載せてあり、パラパラ読むだけでも「こんなものがあるのか」と、勉強になります。
 Atras of NORMAL ROENTGEN VARIANTS THAT STIMULATE DISEASEなんていう、分厚い本もありますが、こちらはとても読み切れず、辞書の様に使っています。

 「偽」を知ることで、本物がみえてくるようになると思います。来年は明るい漢字が選ばれるような年になってもらいたいですね。

診誤りやすい正・異常の境界画像〈2〉胸部・腹部
古瀬 信,石川 徹,永井 純,宗近 宏次,平松 京一
メジカルビュー社

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歯を大切に

2007年12月12日 19時49分26秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
今日は関連病院の先生方が集まっての勉強会(それぞれの施設で経験された興味深い症例を持ち寄ってみんなで共有する)の日でしたが、残念ながら欠席者が多いということで中止となりました。
ところで、みなさんこたつでボリボリお菓子を食べてそのまま寝てしまうことないですか?私はたまにありますが、そのたびに虫歯が進んだんじゃないかと心配になってます。私だけでなく虫歯はいやだ、怖いと思っている方は多いと思います。
しかし、歯を失う原因の半数を占めているにもかかわらず、歯周病については関心の低い方がほとんどではないかと思います。私も歯周病を甘く見ていましたが、ここで紹介している本を読んで少し意識が高まりました。詳しくはご自分で読んでいただきたいのですが、要点をいくつかあげると
・歯周病とはまず歯肉に炎症を来たし、それが歯の土台である歯槽骨に及んで土台が崩れてくる病気である。
・原因はいまのところ断定されているものはない。
・筆者は歯石(歯に付着したトゲ)が歯肉に炎症を起こす原因ではないかと考え、長年患者さんに歯石取りを行ってきた。その患者さんたちは明らかに歯周病の進行が遅くなった。
・歯石は歯磨きでは落ちないので毎日歯磨きをしているからと安心してはいけない。
・歯石取りは頻度的には1ヶ月に1回行うのが良かった(3ヶ月では間隔が長すぎるとのこと)。
以上のようなことが書かれてありました。
普段歯科の勉強をすることはほとんどないので歯の再生医療がどこまで進んでいるのかわかりませんが、なるべく自分の歯を失わないようにしたいですね。
放射線科とはまったく関係のない本ですが面白かったのでぜひ読んで見てください。
さらば歯周病 (新潮新書)
河田 克之
新潮社

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放射線腫瘍医のすすめ

2007年12月07日 22時11分26秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 12月に入り、寒い日が続きます。
 今回の推薦図書は、当科の放射線治療医のトップ、toku先生からです。

 放射線腫瘍医のみならず、他診療科の医師、コメディカルやがん患者の方などいろいろな人が放射線治療や放射線腫瘍医について書いています。がん患者さんの方の文章や、外科医の草場亮輔先生の文章は、とても参考になりました。また研修医/レジデントの先生も書いていて、自分も研修したくなりました(?) 別に放射線腫瘍医にならなくても、放射線治療についてかなりわかっていただけるのではないかと思います。何冊か放射線治療棟にありますので、先着2名様には差し上げますし、自分の分ならお貸しします。(放射線治療棟は工事でゴチャゴチャしているかもしれませんが)

放射線腫瘍医になろう
山下 孝
真興交易医書出版部

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 放射線治療に興味のある学生・研修医の方は是非当科まで、ご連絡くださいね 

読影のノウハウ

2007年12月04日 20時52分56秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
mune君に尻を叩かれて私も投稿してみました。
独断!推薦図書第二弾です。
日本の放射線科医のなかでも超一流の先生方11名の画像診断に対する考え方、読影のコツ、勉強法などが書かれています(佐賀大学放射線科出身の先生も執筆されています)。基本的には放射線科医を対象に書かれた本ですが、画像診断に普段関わっている先生には通じるものがあると思います。内容的にはマニアックな内容や小難しいことは書いてありませんので、タイトルを見ただけで敬遠せずに気軽に手にとっていただきたいです。推薦図書も多数掲載されており、私も本を購入する際の参考にしています。
放射線科医でこの本を知らない人はまずいないというくらいメジャーな本ですが、他科の先生や研修医はほとんど知らないだろうなと思い紹介しました。by guri
画像診断を考える―よりよい診断のために
西村 一雅,南 学,下野 太郎
秀潤社

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プレゼンテーションの仕方

2007年11月27日 23時15分24秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 今日もくもりの一日でした。寒い日がつづいています。若手がひとりダウンしてしまいました。

 今回から、学生さんや研修医向けに不定期で推薦図書をご紹介します。
 と、いうわけで第一回目。
 
 まずは、放射線科医に限らず、医師として重要な能力であるプレゼンテーションについての本です。
 臨床現場にでて、もっとも重要な能力であるのにも関わらず、プレゼンテーションの仕方については、卒前教育がほとんどされていません。カンファレンスや、コンサルテーションの場で、先輩の見よう見まねで、怒られながらなんとかしていく人が大部分だと思います。(一部には、センスがよくて、最初からうまくやっていく人もいますが)
 でも、時間がもったいないし、怒られるのはいやですよね?要はポイントとコツの押さえかただと思います。うまくプレゼンテーションできるということは、しっかりその患者さんのことを把握できているということなのです。

 この本は、僕が研修医の時に内科の先生に紹介してもらった本です。沖縄中部病院でも研修をされた先生で、著者は後輩だそうです。
 いろいろなシチュエーションに応じたプレゼンテーションの仕方が学べます。英語のプレゼンテーションものっているので、海外進出を目指す方にもお薦めです。

 ちなみに、放射線科医としてもきちんとまとまったプレゼンテーションをしていただけると、検査のモダリティ選択や適切な撮影の仕方、読影時の参考になります。

米国式症例プレゼンテーションが劇的に上手くなる方法―病歴・身体所見の取り方から診療録の記載,症例呈示までの実践テクニック
岸本 暢将
羊土社

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