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佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

スポーツ障害と外傷の画像診断

2008年07月15日 06時53分01秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 もうすぐ、北京オリンピックです。なんだか、毎年スポーツの祭典があるように感じるのは歳をとったせいなのでしょうか。

 さて、今回ご紹介するのは

画像診断 Vol.28No.8 (28)

秀潤社

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 特集「競技種目別スポーツ障害と外傷の画像診断」です。

 オリンピック種目から、日本の国技まで、そして成長期アスリート、中高齢者アスリート、女性アスリートまでそれぞれの病態に合わせて各記事がまとめられています。

 例を挙げると、

 P729-738 小橋ら バスケットボール,バレーボール:ジャンプと切り返し動作 
 には、前十字靭帯損傷、外側半月板損傷、ジャンパー膝などのなじみ深いものから、腹壁筋ストレインと言った聞き慣れないもの(勉強不足?)、各関節の腱の障害も解説されています。

 実習に来る学生さんと話をしていると、スポーツ医学に興味のある子が、結構たくさんいます。卒前や初期研修でも、知っておくと大きな武器になる分野です(まぁ、国試には出ないですが)。成書と比べてだいぶ安いし、手軽に読めるし、画像もキレイなので1冊もっていると後々まで使えること間違いないと思います!

 また、僭越ながら、普段骨・関節の疾患(腫瘍など以外)をみることが少ないけれど、バイト読影ではたまに遭遇することがある、という放射線科医にもオススメと思います。

雑誌「画像診断」すとらびすむす

2008年06月12日 22時25分42秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 少し前の「画像診断」のご紹介です。
 と、いっても特集内容そのものの話題ではありません。

画像診断 Vol.28No.6 (28)

秀潤社

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 画像診断という雑誌には、すとらびすむす、というコーナーが連載されています。この号は、高知医療センターの森田荘二郎先生が執筆されていましたが、興味深い内容だったのでご紹介させていただきます。


 「見てない、聞いてない、言われてない」症候群、ということばをご存じでしたでしょうか?ぼくは今回、初めて知ったことばです。
 会議、その他で決まってメールなどで通知された事項に対して、実際に問題に遭遇してから、個別に責任者(部門)に「見ていませんでした、聞いていませんでした、言われていませんでした…」というのが典型的な症状だそうです。
 
 合併症もあるようで、そちらの症状はいろいろなシステムに対して、自分の都合の良い注文をどんどん付けるというものだそうです。背景には、自分の意見には必ず対応されるべきだし、実現されることが当然だ、という精神状態があるようです。

 振り返ってみると、自分にもそういう面があるなぁ、というのが正直なところです。K館に移ってからも、相変わらずメールのチェックはしていないし。反省させられる文章でした

 それにしても、この症候群は広く蔓延しているようです。やはり急激に進むIT化の影響なのでしょうか?この辺りの考察については、先日の腹部放での移動時間に読んだ本に触れられていたので、そのうちご紹介できればと思います(とても面白かったので、東京の妹にあげてしまいました。また見つけたら買おう)。


 ちなみに、この号は「放射線治療のための画像診断」という特集です。まだ通読できていなのですが。放射線認定医(旧専門医一次試験?)前の勉強にも良いかもしれません。学生時代お世話になった琉球大学の戸板先生も子宮頚癌の項で執筆されていました。

ER 必携 頭部の画像診断

2008年04月11日 22時47分55秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 救急の現場で、最も多く撮影される部位の一つが頭部です。
 
 画像上、鑑別が必要な疾患の数はそれほど多くはない上に、頭部の構造は左右対称であるために、比較的読影がしやすいはずですが、頭部の画像診断を苦手とする研修医は多いようです。
 
 今回ご紹介する本は、画像診断という雑誌の2007年6月号「ER 必携 頭部の画像診断」です。

画像診断 Vol.27No.6 (27)

秀潤社

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 まず、脳外科医・神経内科医の立場からの救急頭部画像診断について書かれてあり、臨床的な事項を学べます。次に、出血・梗塞・外傷・感染症といった重要な疾患についてが、それぞれの記事にわかりやすくまとめられています。特に、出血の項ではやや非典型的な画像も豊富に掲載されており、追加すべき検査や特徴的な臨床経過についても書かれています。

 雑誌なので、値段が安く、持ち歩くのに重くありません(頭部の本は厚いのが多いですよね)。分量が成書ほど多くないので、短時間で全体を通して読むことが出来ます。放射線科以外にも、救急現場に立つすべてのDr.に役立つ本であると考えます。

 先ほど、頭部画像は簡単!?といった書き方をしましたが、実際には決してそんなことはなく、鑑別や追加検査のリコメンドに迷うことも多々あります。上級Dr.がいない当直中などに重宝しています。

 是非一読されることをお薦めします。

 

「急性腹症のCT」

2008年03月27日 17時33分49秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
syngoです。

急性腹症は放射線科医も避けては通れません。撮像の指示から読影まで短時間での的確な判断が要求され、放射線科医の力量が試されるのではないと思われます。

今回ご紹介する図書は実際に勉強会に使用した本で、昨日で1周り終了しました。
夜遅くまで色々と御指導下さったMIZ先生、guri先生、mune先生本当にどうもありがとうございました。最初は知らないこと、わからないことだらけでしたが、お陰様でかなり賢くなれたはずです。これからも自分なりに勉強が必要でしょうが、学んだことを今後の診療に活かしていきたいと思います。

前置きが長くなりましたが、図書の簡単な紹介です。
徳州会の先生が編集されたもので、文字通り急性腹症のCT画像が約400症例紹介されております。個人的に驚いたことですが、虫垂炎の30症例から始まっております。common diseaseからrare caseまで幅広く掲載されており、臨床経過から手術所見、病理所見と非常に良くまとまっています。それでも全てを網羅しているというわけではありませんが、一言に「急性腹症」といっても多くの病態・病因が存在しうるということを思い知らされます。

元ネタになっていると思われるHPはこちらです。頑張って解答してみましょう。www.qqct.jp/

胸部ポータブル写真の読影 その1 気胸と胸水

2008年02月27日 19時04分20秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 ポータブル写真は重症患者にかかせないモダリティです。
 もともと撮像条件が不良であり、様々な病態が重なっている場合も多いために非常に解釈が困難なことがあります。せっかく撮った写真も一瞬見るだけで「変化なし!」で終わることもあるのではないでしょうか。
 多くの胸部単純写真の解説本でも、ほとんどポータブル写真の詳細な解説がなく、トレーニングの機会がある臨床医(放射線科医も含め)もほとんどいないと思います。


画像診断 (Vol.28No.2(2008-02))

秀潤社

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 本書、P224-238に松本らによる“ポータブル”読影のポイント-胸水と気胸の所見を理解する という記事があります。豊富な写真をCTと対比させ、非常にわかりやすく解説してあります。一度、図書館で手にとってご覧下さい。
 ちなみに、この号は「骨軟部の感染症および関連疾患の画像診断」というややマニアックな特集です。こちらも系統的に勉強することが少ない分野なので、興味のある方はバックナンバーをご購入されてはいかがでしょうか。

 更にちなみに、佐賀大学医学部放射線科では単純写真も全例読影なのでトレーニングの機会はたくさんあります。興味のある方はぜひご連絡下さい 

おすすめ-急性腹症のCT その1

2008年02月08日 06時48分39秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 腹部CTは、急性腹症の診断において大きな武器となります。
 学生・研修医の方が、もっともマスターしたい分野の一つだと思います。今回紹介するのは、「ここまでわかる急性腹症のCT」です。

 ・疾患ごとにチャプターを区切ってあるために、テーマをもって勉強できる。
 ・それぞれ症例問題形式であるために、空いた時間を使って読むことができる。
 ・それぞれの疾患についてのポイントがわかりやすくまとめられている。

 といった特徴があります。全体の分量がそれほど多くはないので、放射線科ローテーター(佐賀大学は約1ヶ月の必修です)によく薦めています。実際に買って読んでくれる研修医は少ないのですが、研修中に1冊読破してくれた研修医の読影力がとても伸びていたように思います。
 写真のみならず、急性腹症を呈する疾患の概念についても学ぶことができるので、読影に興味のある高学年の学生だけでなく、ポリクリ前の医学生からもお薦めです。


ここまでわかる急性腹症のCT
荒木 力
メディカルサイエンスインターナショナル

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 どんな本でもそうですが、使い慣れていない本を現場で辞書的に使うのは、なかなか難しいと思います。1冊を飽きることなく読み終えることができるこの本は、後々まで活躍してくれると思います。

医学生・初期研修医向けMRI本

2008年01月23日 07時03分22秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 医学生、研修医にとって、MRIはとっつきにくい分野です。
 原理も難しいし、撮像方法はたくさんあるし、信号の意味がわからないし・・・
 残念ながら、系統立てて教育を受ける機会のある施設は少ないためではないかと思われます。臨床のドクターの方にもMRIを苦手とされる方も多いのではないでしょうか。

 今回ご紹介する本は、MRIの原理・読影の入門におすすめです。他の本ではあまり見ることのない『とりあえずの信号強度解釈』という章があるのがおすすめの理由です。MRI見学に来た学生に見せており、ここでMRIに興味をもってもらえるので、続いての緩和時間についての説明にとても入りやすい構成だと思います。

 僕は初期研修の1年目で放射線科に進路を決めた後、放射線科のない病院を研修することが多かったのですが、まずMRIの勉強をはじめるときに買いました。放射線科医としては、もっと勉強すべきことがあり新たな本も買いましたが、それはまた次の機会にします。


MRI自由自在
高原 太郎
メジカルビュー社

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 著者の高原太郎先生のHPがありますので、リンクを張っておきます。
http://teleradiology.jp/MRI/index.html

胸部CT(HRCT)のバイブル

2008年01月16日 22時09分14秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
High-Resolution Ct of the Lung

Lippincott Williams & Wilkins

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びまん性肺疾患は、所見の取り方に始まり、独特の用語、更に疾患のバリエーションが多いこと、など、一旦苦手意識を持ってしまうとなかなか足を踏み入れられない人も多い分野と思います。この本は、こういった整理が難しいところを、非常にわかりやすい図を持って説明し、頻度の高い所見、特異性の高い所見などを要所要所にまとめて書いてあります。解説文をゆっくり読むほどの時間がなくても、忙しい外来診療の合間の参考として使えますし、また、ゆっくり時間をかけて豊富な画像を味わう楽しみもあります。私は結構(とても?)びまん性肺疾患が好きですが、早い時期にこの本に出会ったのが良かったかも知れません。2001年に発売の教科書ですので、疾患概念や分類に多少の変化はありますが、基本的な読影の仕方や所見の取り方、用語の使い方、そしてたくさんの症例を学ぶのに、やはり今も大事な教科書だと思います。mune先生に、中上級者向け?と聞かれましたが、入局したばかりの放射線科医から読める&使えますし、とても勉強になりますよ。
 by Ryoko

文献検索の友

2008年01月08日 19時57分49秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
英辞郎第三版

アルク

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本というより今回はソフトウェアの紹介です。インターネット上で英語のHPを見たり、文献を読むときに役立つソフトです。「英辞郎」とは現役で活躍するプロの翻訳家や通訳者たちが20年以上もの歳月を要して制作している「英和・和英データベース」だそうで、150万項目をこえる英和データが収録されています。今回紹介した本にはこのデータベースである英辞郎と、そのデータを検索するためのPDICというソフトが収録されています。最近購入したばかりなのでまだ使いこなしてはいませんが、PubMedで抄録を見るときなどによく使っています。今の所ちゃんとした訳語が出ないのは人名くらいで、ほとんどのすべての単語が収録されていて驚きです。特に便利なのがポップアップ検索といって単語の上にカーソルをあわせるとその訳語がポップアップとして出てくる機能です(DokoPop!というフリーソフトを使うとさらに便利です。Vistaは対応してないそうですが)。
値段も2500円くらいとかなりリーズナブルだと思います。ぜひみなさんも購入して使ってみてください(できれば上のリンク経由で)。

生物選択の放射線科医ですが

2007年12月29日 23時39分53秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 昨日は仕事納めでした。MIZ先生、医局長の指揮のもと読影室、当直室の大掃除が敢行されました。来年から新たな読影環境になるので、2007年の締めくくりとして読影室は大改造されました。

 本日は鹿児島へ帰省。新幹線の中でこの本を読んだので、ご紹介です。

 放射線科医は物理、数学、コンピューターに強いという印象をもってる学生や研修医、他科のDr.は多いかと思います。実際はそんなことはないようで、少なくとも僕のように生物選択で、数学やコンピューターも苦手という放射線科は多少はいるようです。

 個人的に、教養としての物理学の理解不足へのコンプレックスがあり、MRIの理解のためにも必要かなと思い、この本を手にとってみました。

 サブタイトルにもありますが、力学の基礎から電磁気学・量子力学までが、わかりやすく書かれています。歴史的な背景や、思考実験を織り交ぜながら書かれており、興味を持ってすいすいと読み進めることができました。著者は高校教諭で、この先生に教わることのできる高校生をうらやましく思います。

「物理」を楽しむ本 (PHP文庫 い 56-1)
井田屋 文夫
PHP研究所

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