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佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

サーファーに起こる非外傷性の脊髄症

2009年04月21日 22時50分36秒 | 抄読会
 別に抄読会でもなく、特に、放射線科の論文ではないのですが。
 先日の日本医学放射線学会総会の展示で、サーファーズ・ミエロパチーというのがあったよと、guri先生に教えて貰ったものの、初めて聞いた疾患だったので。

 検索したところ、フリーの論文が手に入ったので、Abstractのみ読んでみます。
 興味のある方は、下記のリンクで全文を読んでみてください!

http://www.pubmedcentral.nih.gov/picrender.fcgi?artid=2031959&blobtype=pdf

  Nontraumatic Myelopathy Associated with Surfing

 Aviles-Hernandez et al.

 J Spinal Cord Med. 2007;30:288–293

○Background/Objective
 サーフィンに関連した、非外傷性の虚血性脊髄症(サーフボードの上で長時間、過伸展することによると信じられている)は新たな診断名である。
 これまで、9例が報告されているのみである。この論文では、可能性のあるリスクファクター、病因、画像所見、そして予後についてフィーチャーする(!)。

○Design
 ケースレポート

○Results
 37歳男性。サーフィン直後にTh11レベルのASIA Aの対麻痺を発症した。病歴及び、MRI所見は遠位胸髄の虚血として矛盾しなかった。本症例は、これまで言われている明らかなリスクファクターを持っておらず、また、他の報告と異なり、8週間にわたって神経学的な症状が消失しなかった。

○Conclusuion
 サーファーズ・ミエロパチーは、想定されている機序から、速やかに医学的な介入をされるべき疾患である。この疾患を鑑別に挙げることで、早期診断と治療を行い、神経学的予後を改善できる可能性がある。

 症例はHawaiiの方で、報告は、South Florida大学とのこと。ヒュー!

 ちなみに、9例の報告ではリスクとして
・初心者であること(筋肉の発達が不十分)
・血栓症のリスクをもっていること(飛行機など)
 などが挙げられていました。ただし、本症例では当てはまらなかったと言うことです。

 また、Abstractは見られませんでしたが、1987年のNew England Journal of Medicineにも乗って、いや載っているようです。

 新しい疾患概念を知ることが出来て、勉強になりました!英語に関しては、一部ニュアンスが不正確なところがあると思うので、(”should”など)気になる方は、是非読んでみてください。

 それにしても、総会ではどちらからの報告だったんだろう…?抄録集を借りて探してみようっと。

 そういえば、著者はイスラエルの方で、大学は南カリフォルニア大学ですね。以前雑誌で、トップサーファーが中東問題に関連して、その地区の子どもたちにサーフボードを寄付した、というような良い話が載っていました。
 関係ないけど、関係あるのかな?
 Ocean pacific peace!
 
 

2009.03月 抄読会 O石

2009年03月17日 19時52分09秒 | 抄読会
こんにちは~、big stoneです。3回目の投稿なんですが、今回は3/4(?)の抄読会で読んだ論文について掲載したいと思います。読んだ論文は、以下の論文です。

「HEPATOBILIARY IMAGING:
Radiologic Detectability of Minute Portal Venous Invasion in Hepatocellular Carcinoma」
Am. J. Roentgenol., Jan 2008; 190: 81 - 87.

論文の目的は、肝細胞癌の微小な門脈浸潤を画像で評価する事です。以下に要旨を書きたいと思います。(訳が間違っていたらごめんなさい!)多分、わかりずらいと思いますので興味がある方は自分で読んでもらったほうが早いと思います。



○要旨○
Materials and Methods;
 まず患者を2つのグループに分けます。
  ・Group1⇒微小な門脈浸潤を有するhypervascular HCCの患者(15名)
  ・Group0⇒門脈浸潤がないhypervascular HCCの患者(30名)
 それぞれのグループで術前にCTA、CTAPをされています。

●まず、CTA早期相で濃染する領域をメインの腫瘍と定義します。そして、その腫瘍辺縁でCTAPで低吸収、CTAで濃染する領域を「An area of peritumoral hemodynamic change」と定義します。さらにその領域の形状を3つに分類します。
→①wedge-sharp type、②belt-sharp or irregular type、③linear type

●また、メイン腫瘍の体積に対する「An area of peritumoral hemodynamic change」の体積の割合(area volume-tumor volume ratio)を3つにGrade分類した→①GradeⅠ 10%以下、②GradeⅡ 10-30%、③GradeⅢ 30%以上 
そして、GradeⅢを微小な門脈浸潤の指標としています。(即ち、GradeⅢであれば微小な門脈浸潤があると判断しています)

●そして、腫瘍径3cm以上と3cm未満で「An area of peritumoral hemodynamic change」の形状とメイン腫瘍に対する割合をGroup間で比較しています。
→つまり、メイン腫瘍の辺縁の領域を色々、その形やメイン腫瘍の体積に対する割合を腫瘍径ごとに門脈浸潤あるなしで比較して差をさがそうと言うわけです。

Results;
Gropu間で「An area of peritumoral hemodynamic change」の形状の頻度に差はありません。腫瘍径3cm未満ではGroup1でメイン腫瘍の体積に対する「An area of peritumoral hemodynamic change」の体積の割合が大きくなります。(p=0.046)PPV、NPVはそれぞれ71.4%と75%です。

Conclusion;
腫瘍径が小さい場合(特に3cm未満)、微小な門脈浸潤がある患者ではメイン腫瘍の体積に対する「An area of peritumoral hemodynamic change」の体積の割合が門脈浸潤がない患者より大きい可能性があります。

→即ち、微小な門脈浸潤があってHCCの腫瘍径が3cm未満に限られる場合
 メイン腫瘍の辺縁でCTAPで低吸収、CTAで濃染する領域というのは
 門脈浸潤がない場合よりも大きい可能性がある

ということなのですが、やはり文章だけではわかりづらいですね。



2009.03月 抄読会 慢性過敏性肺臓炎について

2009年03月14日 20時31分07秒 | 抄読会
 先週の抄読会で読んだ論文のご紹介です。
 著者は、あのDr.Mullerの娘さんであるとか、ないとか。僕はよく存じ上げていなかったのですが、King先生がウラ話まで教えてくれました。

 Chronic Hypersensitivity Pneumonitis: Differentiation from Idiopathic Pulmonary Fibrosis and Nonspecific Intersititial Pneumonia by Using Thin-Section CT

Radiology;Vol.246; No.1 2008 288-297


○目的
 病理診断をゴールデンスタンダードとして、Thin-section CTでの
 Chronic HPと、IPF、NSIPの診断精度を検討する。

○Material and Methods
 症例:年齢;58.8±10.9歳 性別;男性36名、女性30名
 ・Chronic HP:18例
 ・IPF:23例
 ・NSIP:25例

  ●画像評価:Table 2に示す診断基準により、Confident、Probable、indeteiminateに分類

 ・Chronic HP
 Confident;小葉中心性結節、小葉単位での低吸収あるいは低いvascularity、繊維化巣から離れた軽度~中等度のGGOの存在。ハニカムはないかごくわずか。比較的、底部が保たれる
 Probable;気管枝血管束周囲あるいは上中肺野有意に分布する、軽度~中等度のGGO。ハニカムや嚢胞は存在しないかわずか。

 ・IPF
 Confident;全肺葉にまたがる網状影、広範なハニカム、GGOは存在しないかわずか。末梢、肺底部優位の分布。
 Probable;両肺野の網状影、わずかなGGO、わずか~中等度のGGO。末梢、肺底部優位の分布

 ・NSIP
 Confident;広範なGGO、網状影や牽引性気管支拡張は存在しないかごく軽度、ハニカムは見られない。肺底部優位で、胸膜下はスペアされる。
 Probable;中等度のGGO、中等度の網状影と牽引性気管支拡張、ハニカムは見られないかごくわずか。肺底部優位の分布。

 画像を評価し、統計学的に有意な所見と、その正診率を評価した。

○Conclusion:
 詳細に検討されていたのですが、省略させていただきます。とても論理的かつ、明快な結果だったので興味のある方は是非ご覧下さい!

 要するに、上記の診断基準でConfidentに当てはまる症例は、比較的高い正診率をもって(これら3疾患の中から)画像診断できる可能性がある。というものでした。

 もちろん、実際の症例では様々な所見が混在している場合が多いと思われるし、挙げるべき鑑別診断の数も多いと思います。シンプルに診断できるとは思いませんが、チャンピオン画像も多数提示されており、所見の読み方の良い勉強にもなりました。

 それにしても、著者のDr.Mullerって、4年目の放射線科医?なんですね…僕よりちょっと上の学年ですばらしい論文を書かれています。



成人で見られる小脳髄芽腫のCT,MRI所見について 小児との比較

2009年01月08日 22時04分09秒 | 抄読会
 本日も、特記事項なく論文紹介です。


CT and MRI Imagin Findings in Adults with Cerebellar Medulloblastoma:
Comparison with Findings in Children

Pierre M. Bourgouin et al.

AJR:159;609-612,1992

○目的
 ・成人では稀な腫瘍である、髄芽腫の画像所見について、小児でみられるCT,MRI所見との対比を行う

○Materials and Methods
 ・症例:28例(男性15例、女性13例)病理学的に髄芽腫と診断されている症例
 ・年齢:18~47歳(平均28歳)
 ・腫瘍:小脳虫部;14例(Desmoplasiaは3例21%)
     小脳半球;14例(Desmoplasiaは5例36%)
 ・撮像:造影CT;28例
     単純CT;13例
     単純MRI(T1WI, PDWI, T2WI軸位断);8例
 ・評価項目
  灰白質と腫瘍との吸収値の比較
  造影前後の吸収値
  灰白質と腫瘍との信号強度の比較
  腫瘍辺縁の性状
  腫瘍サイズ
  嚢胞、壊死、石灰化、浮腫、水頭症の有無

○Results
 ●CT所見
 ・単純&造影CT:すべての症例で、正常灰白質より高吸収
 ・造影効果:軽度~中等度の増強効果
 ・辺縁性状:境界明瞭;13例・・虫部発生の大部分(64%)が境界明瞭
       不明瞭 ;15例・・小脳半球発生の71%が境界不明瞭
 ・サイズ:平均4.6cm±1.2cmSD
 ・嚢胞、壊死:23/28例(82%)
 ・石灰化:2例(7%)
 ・周辺の浮腫:21/28例(75%)
 ・水頭症:26/28例(93%)
 
 ●MRI所見
 ・T1WI:正常灰白質と比較して、等~低信号
 ・T2WI:さまざまな信号強度(全体が低~等信号もあり)
 *4例では、索状のsignal voidを認めた(腫瘍内血管)*
 ・全例で周囲に浮腫あり
 
 ●小児の画像所見との比較
 ・部位の違い:成人では、小脳半球発生の比率が高い
 ・増強効果の違い:小児ほど強くない場合が多い
 ・性状の違い:境界不明瞭、内部不均一な腫瘤の場合がある
 
○Discussion
 ●成人で、より小脳半球に発生する頻度が高い理由の考察
 →正中より小脳半球の顆粒層に遊走する原始的あるいは多分化能を有する
 細胞由来であるため(?)
 ●CTにて高吸収を呈する理由の考察
 →血管間質内に、腫瘍細胞が密集しているため
 ●成人で、より増強効果が弱い理由の考察
 →成人では、desmoplastic changeの頻度が高いため
 ●RubinsteinとNorthfieldらによると、髄芽腫は以下のスペクトラムを有する疾患と考えられる
 ・小児で見られる正中部の典型的な髄芽腫
 ・transitional forms
 ・成人で見られる偏在性の、desmoplastic medulloblastoma
 ●成人で発見される髄芽腫は様々な画像所見を呈する
 →非特異的な所見であっても、後頭蓋窩腫瘍の鑑別に髄芽腫を加えるべきである

 以上、Desmoplastic Medulloblastomaについて調べていて見つけた論文でした。
 今見直してみると、MRIを撮像した症例では全例周囲に浮腫ありと…どのような腫瘍が浮腫を伴わないのかが興味あったのですが。また、悩みが増えた
 ま、結構面白い内容だったので、興味のある方は是非みてください。

ADC値による小児の小脳腫瘍の鑑別

2009年01月03日 21時11分13秒 | 抄読会
 やはり、3日というのは鬼門のようで、新年早々、更新が途絶えてしまうところでした。ネタがないので、最近読んだ論文からです。

Apparent Diffusion Coefficients for Differetiation of Cerebellar Tumors in Children
Z.Rumboldt et al.
AJNR 27:1362-69 2006

○Purpose
 ・組織学的に診断の確定した小児の小脳脳腫瘍について、ADC値および、
 ADC ratio(腫瘍充実部分と、非腫瘍部白質のADC値の比)を検討し、
 鑑別が可能かを調査する

○Methods
 ・症例数 32例 
 ・年齢 平均9歳 (6週~23歳)
 ・組織型:juvenile pilocytic astrocytoma(JPA);17例 53.1%
      髄芽腫;8例 25%
      上衣腫;5例 15.6%
      Atypical teratoid/rhabdoid tumor(AT/RT);2例 6.3%
 ・撮像機種:1.5T MRI装置
 ・撮像法:T1WI矢状断、T2WI(FSE)軸位断、FLAIR軸位断、造影後T1WI三方向
  DWI(b=0,500,1000)およびADC maps
 ・造影後T1WIにて増強される充実部分を同定し、ADC値をマニュアルで測定
 ・ROIは3カ所にとり、ADC値を平均化
 ・対照として、同側正常小脳白質および両側半卵円中心のADC値も測定
 ・病変部のADC値-3カ所の白質ADC値の比(3-ROI法)
  病変部のADC値-同側の小脳白質ADC値の比(1-ROI法)
 を比較
 ・統計
  ADC値の差:t検定
  ADC ratioの差:t検定
  異なるグループ間でのADC値、ADC ratioの差:One-way analysis of variance (ANOVA)
  
  *AT/RTは数が少なく、検定から除外

○Results
 ・正常白質のADC値は、腫瘍および測定箇所によって差がない
 ・table 2より一部抜粋
 
               JPA     上衣腫    髄芽腫
 ADC値(1-ROI and 3-ROI)  1.24-2.09 0.97-1.29 0.48-0.93
 平均ADC値(3-ROI)     1.65±0.27 1.10±0.11 0.66±0.15
 ADC ratio(1-ROI and 3-ROI)1.62-2.99 1.15-1.85 0.66-1.10
ADC ratio(3-ROI) 2.11±0.36 1.39±0.18 0.84±0.14
 ADC ratio(1-ROI) 2.18±0.42 1.47±0.22 0.86±0.15
 正常ADC値(3-ROI)     0.78±0.07 0.79±0.04 0.78±0.08
  
 ・AT/RTについて(2例)… 髄芽腫での計測範囲内に含まれる
  ADC値         0.60, 0.55
平均ADC値  0.63,0.56
  ADC ratio(1-ROI法) 0.69, 0.69
ADC ratio(3-ROI法) 0.74, 0.64
  
 ・ADC mapsによる見え方
  ①JPA:脳実質より高信号
  ②上衣腫:等~軽度高信号
  ③髄芽腫(AT/RT):大部分は低信号
 →これのみを手がかりに1年目の放射線科医が、それぞれの鑑別を100%のAccuracyで
 行えた!

○Discussion
 ・白質のADC値は、年齢とともに低下するので、ADC ratioより絶対値を用いる方が
 好ましいかもしれない
 ●JPAと髄芽腫の、ADC値およびADC ratioにはオーバーラップがなかった
 ●JPAと上衣腫の、ADC値およびADC ratioは、わずかに重なる部分があったが、
 優位な統計差があった
 ・髄芽腫と、AT/RTはDWI & ADC mapsでは鑑別できないようである
 
 ●JPA
 ・高いADC値を呈する理由
 →低い細胞密度と、比較的小さい核を持つためか?
 ・後頭蓋窩のJPAは”biphasic pattern”である
 →空胞化した疎な部分と、密度のある部分
  密度のある部分でも、髄芽腫と比べると細胞密度は高くない
 ・画像上確認される、粗大な嚢胞の他にも、顕微鏡的に確認される微小嚢胞が多数ある
 ・その他

 ●上衣腫
 ・典型的には、境界明瞭で中等度の細胞密度を呈する
 ・サブタイプによっては、より細胞密度の高いものもある

 ●髄芽腫
 ・ADC値を呈する理由
 →細胞密度が高く、核が大型であるためか?
 ・Desmoplastic medulloblastomaは、間質の多い部分でも細胞密度は典型的な
pilocytic tumorより高い
 →ADC値の低下は通常のサブタイプと同様である

 ●AT/RT
 ・細胞のサイズは、小さなものから巨大なものまで
 ・出血、壊死がよく見られ、細胞分裂像も多く見られる
 ・典型的には、MRI上、内部不均一な所見を呈する

 ●ADC値のみでは、腫瘍の組織型を完全に鑑別することは難しいかもしれない
 ・高ADC値:JPA、血管芽細胞腫、神経鞘腫など
 →flow voidの有無などが参考 
 →いずれにしても、転移は稀であり追加の検索無しに手術できるかもしれない

 ・低ADC値:髄芽腫、Rhabdoid tumorなど
 →転移の検索、ステージングのために脊髄の検索を行う正当な理由となる

○Conclusion
 ・ADC値および、ADC ratioは小児後頭蓋窩腫瘍の鑑別に際して、簡単に用いることの
 できる技術である
 ・ADC>1.4×10-3mm2/s:JPA
 ・ADC<0.9×10-3mm2/s:髄芽腫
 ・ADC 1.00×10-3mm2/s:大部分の上衣腫
 と考えることが出来る
 

 繰り返しになりますが、ADC mapsでの視覚的な評価でもJPA、髄芽腫、上衣腫の鑑別ができた、というのが驚きでした。残念ながら、小脳腫瘍の読影経験がほとんどないので、実際の感覚とどの程度一致するものなのかわかりません。時間があれば、忘れないうちに、昔の症例を掘り起こしてみようかな。

脳腫瘍におけるADC値の検討

2008年12月28日 19時55分29秒 | 抄読会
 年内最後の当直中です。前日のbun先生は、朝から朝まで大忙しだったようですが、今のところ通常の休日と同程度の件数です。夜はまだこれからですが…

 筋肉痛地獄の中、九州MRIの準備で読んだ論文のご紹介です。たしか、フリーで落とせたはずです。

 Apparent Diffusion Coefficient of Human Brain Tumors at MR Imaging

Fumiyuki Y. et al
Radiology 2005; 235: 985-991

脳腫瘍の鑑別にADCが有用であるかを検討

○Material & Methods
・脳腫瘍で、病理診断の確定している275症例をレトロスペクティブに検討
・症例:
 性別;男性147例、女性128例 
 年齢;1~81歳(45.9±21.8)
・撮像法
 機種;GE社製1.5T装置 Signa Horizon
 シーケンス;造影前後T1WI軸位断、非造影T2WI,FLAIR,DWI軸位断
 DWI;b=0,250,500,750,1000を使用
・ROI
 :マニュアルで測定。なるべく腫瘍の中心部にとり、ADC値を平均化する
 :増強される腫瘍については、増強効果を呈する部分にROIをおく
 :軽度の増強効果、あるいは増強されない腫瘍は、FLAIR像で高信号の部分
 :嚢胞性分や出血部分、壊死部分にROIを置かないように留意 
・統計解析
 :Logistic discriminant analysisで解析
○Results
 ●Neuroepithelial Tumors  
 ・Astrocyte由来の腫瘍
  ADC値:びまん性星細胞腫(WHO grade2)>退形成星細胞腫>膠芽腫
  グレードが高いほど、ADC値は低い
 ・Grade2のoligodendroglial tumorと、3のoligodendrogliomaを判別可
 ・Grade2と3の上衣腫瘍を判別可
 ・Grade3の星細胞系腫瘍と、上衣腫瘍を判別可
 *星細胞腫系腫瘍と、乏突起膠腫の鑑別はできなかった
 *DNTs(dysembryoplastic neuroepithelial tumors)のADC値は高く、
 他の神経上皮腫瘍とのオーバーラップがなかった・・・平均ADC 2.546±0.135

 ●上衣腫 VS PNET、脳室腫瘍
 ・ADC値:上衣腫>PNETでオーバーラップなし
 ・上衣腫のADC値は1.00×10-3mm2/sec以上であり、
 ・PNETのADC値は1.00×10-3mm2/sec以下であった
 ・central neurocytomaは膠芽腫と同程度に拡散制限があり、subependymomaより
 低かった

 ●膠芽腫、転移性脳腫瘍、悪性リンパ腫
 ・悪性リンパ腫が最も低く、ADC値による膠芽腫と転移の鑑別はできなかった

 ●髄膜腫と、神経鞘腫
 ・髄膜腫:Gradeによる差(Grade 1 vs 2,3)はなかった
 *microcytic meningiomaのみ、著明に高いADC値;2.677×10-3mm2/sec
 ・神経鞘腫は、髄膜腫より高いADC値であった

 ●傍鞍部腫瘍
 ・頭蓋咽頭腫、胚細胞腫、髄膜腫で検討
 ・頭蓋咽頭腫は他の2者より、ADC値が高く鑑別可能であった
 *胚細胞腫、髄膜腫のADC値による鑑別はできなかった

 ●松果体部腫瘍および、その他の検討
 ・PNETのADC値は、胚細胞腫、髄膜腫より低く、90%以上で鑑別可能
 悪性リンパ腫も完全に鑑別可能
 *ただし、ADC値の分布で有意差があったのは、膠芽腫のみ
 ・類表皮腫は、脊索腫よりADC値が低いが、少数の検討である

○Discussion
 ●星細胞系腫瘍については”the higher the tumor WHO grade, the
lower the ADC”と考えることが出来る
 ●上衣腫が、びまん性星細胞腫よりADC値が低いことは、
 テント上の上衣腫と、grade 2星細胞腫の鑑別に役立つ可能性がある
 ●PNETと上衣腫はADC値で鑑別可能(Results参照)
 ●脳室内腫瘍の鑑別として、
 subependymomaと、central neurocytomaはADC値で鑑別可能である

 ダラダラと書いてしまってごめんなさい。
 ちゃんとまとめることが出来ませんでした。自分で読み直しても、読みづらい…

 でも、結構参考になりそうなことが書いてあると思います。

 原文を読んだ方、「あそこはヘンだよ」というところなどありましたが、是非ご教授下さい。

2008年12月 抄読会

2008年12月18日 06時55分26秒 | 抄読会
 今月の抄読会は、九州IVR研究会の予行と重なったために中止(ないし延期??)となりました。せっかく読んだので、記録ついでにアップしました。
 
 昨日は、お菓子大臣による64列CTでの冠動脈プラーク分析の論文をアップしてもらいました。今週より稼働のSOMATOM Definitionは、通常の64列とは異なる点が多々ありましたが、ファントム実験の組み立てなど、参考になるところがありそうでした。

 今回、僕が選んだ論文はPRESについてです。今年のミッドサマーセミナーで外してしまった症例です…ちゃんと復習していなかったのでそれも兼ねて。

Alexander M. McKinney et.al
Posterior Reversible Encephalopathy Syndrome: Incidence of Atypical Regions of Involvement and Imaging Findings
AJR: 189, October 2007 904-912

●Objective
・PRESについて、典型的あるいは非典型的な病変部位を来す頻度と、非典型的な所見の性状を調査した。

●Material and Methods
・2施設で、9.5年間にPRESが疑われた111症例中、(画像あるいは臨床所見の経過により)診断の確定した76例。
・撮像法
 基本的にT1WI,T2WI,FLAIR像及び、DWIや造影後T1WIの追加
・FLAIR像所見により、浮腫の重症度分類を作成
 ・Mild
 ・Moderate
 ・Severe
 に分類
・病変部の部位、性状について記載

●Results & Discussion
・111例中、76例がPRESと診断された。
 PRES以外としては、subacute hypoxic-ischemic encephalopathy (HIE) with cortical edema lacking cleary restricted diffusion on the initial MRI, bilateral subacute posterior infarcts, central or extrapontine
myelolysis, chronic white matter lesions, reversible chemotherapy-related deep white matter lesions without
the cortical or subcortical edema usually seen in PRES

・PRES症例
 女性40名、男性36名(5~80歳、平均33.5歳)
 シクロスポリン(34例)、高血圧(17例)、子癇(5例)など。
 *本研究で明らかとなった新たな病因:
 →ヨード造影剤に対するアナフィラキシー反応
 →アルコール離脱症候群

・病変の分布
 頭頂後頭葉:75/76例(98.7%);例外の1例はコカイン中毒で脳幹、視床、深部白質にsevere edemaあり
 前頭葉:60/76例(78.9%)
 側頭葉:52/76例(68.4%)
 小脳:26/76例(34.2%)
 視床:23/76例(30.3%)
 脳幹:14/76例(18.4%)
 基底核:9/76例(11.8%)

 皮質または、皮質下白質のみに浮腫を来していた症例:54/76例(71.0%)
 皮質、皮質下白質+深部白質に及ぶ症例:22/76例(29.0%)

 *前方循環領域に病変がある症例は多いが、眼窩前頭皮質のみ侵された症例はない
 *片側性に腫瘤状の病変を呈した症例:2例  
  →腫瘍や、炎症、感染症による白質脳症との鑑別が必要:CyAの減量による病変の改善など
 *頭頂後頭葉に病変の無い、あるいはわずかな病変のみのPRESもある
  →基底核や脳幹部を主座とする疾患とは、検査所見や臨床経過での鑑別が必要
・拡散強調画像
 実質と同程度:41/75例
 高信号(T2 shine through):21/75例
 拡散低下:13/75例 ** 点状~小斑状の拡散低下域 周囲に広い血管性浮腫を伴う
  2/13例では、10~20%の拡散低下を示し、その一部が萎縮となった 
・hemorrhagic PRES
 SAH:10/13例
 実質内:5/13例
 実質内+SAH:2/13例 

・増強効果 26/69例で増強効果(+)
 
・FLAIR像における重症度の相関関係
 ○ADC値:弱い相関(r=0.271, χ2=5.443, p=0.32)
 ○出血:弱い相関(r=0.267, χ2=5.415, p=0.33)
 ○増強効果:相関無し(r=0.072, χ2=0.356, p=0.99)
 ○血圧:収縮期および、拡張期で明らかな相関は見られない;ただし、高血圧と子癇によるPRES症例を除く
 
●Conclusion
・非典型的な病変分布を呈するPRES症例は、一般に考えられているよりも高頻度である。
・非典型的な画像所見(増強効果、拡散制限、出血)などは、FLAIR像における
重症度と相関は少なく、適切な治療を行えば画像所見は改善する。


 思ったより、様々な画像所見を呈するということが勉強になりました。表現形はPRESであっても、また、様々な病態生理が絡んでいるということを想定すると、読影の助けになるのかもしれません。予後を推定するという意味でも、PRESを鑑別することは有用なのだと考えます。

2008.12.17抄読会

2008年12月17日 19時44分18秒 | 抄読会
冠動脈プラークのCT値についての文献を読んでみました。

Soft and Intermediate Plaques in Coronary Arteries
:How accurately Can We Measure CT attenuation Using 64-MDCT?.
AJR 2007;189:981-988

目的:softおよびintermediate プラークの64列MDCTのCT値の精度を確認する

対象と方法:
径3-4mmの冠動脈モデル、心臓模型(ALPHA2,Fuyo Corporation)を用い、
CT値が47H程度のアクロニトリルブタニジンスチレン樹脂、
110H程度のアクリルをそれぞれsoft、intermediate プラークモデルとして使用。
使用機器はGE LightSpeed VCT、実際の臨床施行例を参考に、
非イオン性造影剤(イオパミロン370)を用い
test bolus(15mlにてtest injection)にて
0.7×体重の造影剤を用い10秒間で注入、同じ速度で生食で後押し。
コリメーションは64×0.625mm、ローテーションスピードは0.35s/r、
管電圧は120kV、管電流は650mA、ピッチを0.175に設定。
再構成は心拍数60以上は2セグメント再構成、
80以上は4セグメント再構成法を使用、
心拍なしおよび心拍数50bpmの場合はハーフ再構成を使用。

変動するパラメータは
 心拍数(50,65,80,95)、
 再構成法(ハーフ、セグメント)、
 冠動脈増強効果(150,250,350,450H)、
 CT値測定領域(血管腔側、プラーク中央)、
 プラークの形状(D型、円形、偏心形)、
 プラークによる狭窄の程度(25,50,75%)。

異なるパラメータの組み合わせ間でsoftおよびintermediate プラークを比較。
 
統計解析には反復測定分散分析、ウィルコクソン符号順位検定、
マンホイットニーU、クラリスウォリス検定を用いた。

結果:
softプラークの測定は、低心拍数で、冠動脈増強効果が250H程度であり、
ハーフ再構成を用いた時に正確であった。
softおよびintermediate プラークともに血管腔近傍の値が高く測定され、
プラーク中心より高く測定された。
狭窄度が50%以上のプラークは正確なCT値の測定が可能であった。

結論:
64列MDCTにおいて冠動脈プラーク、特にsoftプラークはCT値測定には
冠動脈の増強効果が重大な影響を与える。
大きなプラークサイズ、血管腔近傍でなくプラーク中央部での測定、
250H程度の冠動脈増強効果、低心拍数の時にプラークCT値の精度が上昇した。


てな感じでかいてみましたが。。。
日本語おかしかったらすみません

デュアルエナジーCTによる潅流画像と肺換気血流シンチグラフィの比較

2008年12月08日 09時00分55秒 | 抄読会
 週末は、遊んでいただけではありません。
 今回は複数の施設から発表されていたという、Definitionによる肺潅流画像についての論文です(まだon lineで公開されているだけのようです)。

S.F.Thieme et.al
Dual energy CT for the assessment of lung perfusion-Correlation to scintigraphy
Eur J Radiology 2008

Introduction
肺塞栓の診断において、CTは血栓そのものの描出で診断するが、シンチグラフィは病態生理に基づいた診断ができる
DSCTを用いると、CTAと同時に灌流画像を得ることができる可能性がある

Materials and methods

被験者:
 急性肺塞栓疑い:6例
 慢性肺疾患のフォロー:7例
 
DECT:
 管電圧/電流:140/30,80/210 kV/1mAseff (CareDose 4D)
 rotation time:0.5s
 コリメーション:14×1.2mm
 ピッチ:0.7
 撮像方向:尾→頭方向;静脈からのアーチファクトを減らすため
 造影剤:Ultravist 370 80ml
 造影法:4ml/s, 100ml生食フラッシュ CareBolusで、肺動脈到達後7秒後に撮像
 画像再構成:3mm D30使用 140,80,合成(80kV:30%,140kV:70%)
  Siemens MMWP(multi-modality workplace with Syngo software version VA20)のlung perfusion softwareを使用した灌流画像
 読影:造影欠損部を伏せて、潅流欠損部を評価する方法
    80kVのFOV(26.8cm)でカバーされていない部位を記述
    別の読影者が肺動脈造影欠損部を記述(完全閉塞か否かまで)

換気血流シンチグラフィー:
 99mTc-MAA
 テクネガス

Result
 シンチグラフィ:7例の患者に区域、亜区域レベルの欠損を27ヶ所
 DECT:7例の患者に28ヶ所の欠損あり
 6例の患者については、両方のモダリティで合致
 2例は偽陰性
 1例は偽陽性
 4例の患者では、両方のモダリティで均一な灌流あり
 
 患者間での解析:DECTで28ヶ所の欠損あり。2例の偽陰性と、1例の偽陽性あり
         感度75%、特異度80%、陰性適中率66%

 区域間での解析:24区域の欠損あり???
         DECT:3ヶ所の偽陽性と、5ヶ所の偽陰性
         感度83%、特異度99%。陰性適中率98%

 B-systemのFOVでカバーできなかったのは85%の症例(11/13)、18%の区域(44/247)
 →症例ベースでは、診断能に影響しなかった:肺底部に病変のある症例は、他の区域に所見があるため


 CTAとの合成像の検討
  4例で、潅流欠損に一致した血栓が描出
  2例で、DECTとシンチグラフィーで欠損あるが、血栓の所見なし:ともにPEの既往あり、1例はその後肺高血圧あり
  1例で区域レベルに非閉塞性の多発欠損あるが、灌流は均一


Discussion
 造影1時相におけるヨードの分布を灌流と考えても良い
 シンチグラフィをgolde standardにしたので、患者間で感度75%、特異度80%となっているのは、シンチグラフィーがプラナー像であるためと、撮像日が異なるためでは?
 DECTによるCTA+灌流画像はone-stop shopとなる可能性がある。

 SPECTとの比較    
 肋骨や、濃い造影剤の入った血管からのbeam hardening artifactからのアーチファクトが潅流欠損と間違うことがある
 →解剖との対比が必要
 color-coded画像とCTA、肺野条件との合成画像は、真の潅流欠損を鑑別するために臨床上有用
 CTAで血栓を指摘できず、DECTとシンチグラフィで多発性の潅流欠損を認めた症例が2例
 →灌流画像と併せることで、CTAでの血栓描出能の向上が期待できる
 →慢性期の機能評価、予後評価にも有用かもしれない
 →慢性肺高血圧の原因推定になるかもしれない
 
 Xeガス吸入DECTの可能性

 Study limitation
 ・シンチグラフィのプラナー像をゴールデンスタンダードとしている点
 ・被験者数が少ない点、検査の適応を制限している点
 
 詳細な評価のため、肺野条件との合成画像を利用すること、Dynamic perfusiion MRIやSPECTとの比較が必要

 Conslusion
 CTA撮像時に余分な被曝をさせずに、灌流画像を撮像することで、肺動脈塞栓症やその他の肺疾患に有用である可能性がある

 まさに、Conclusion通りの印象です。造影方法を検討して、ぜひプロトコールに入れてみたいですね。

デュアルエナジーCTによる物質の分離について

2008年12月04日 07時48分04秒 | 抄読会
 まずは、Thorstenらにより、デュアルエナジーCTによる物質の分離についての論文を読んでみます。

 Thorsten et al. Material differentiation by dual energy CT: initial experience. Eur Rdiol (2007) 17: 1510-1517

 はじめに
・CTで用いるX線のエネルギーでは、体内を構成する元素との主な相互作用はコンプトン散乱と、光電効果である(原文はphoto effectでしたが…)。
 このうち、光電効果は、X線のエネルギーにより大きく変化する。また、軟部組織のCT値はX線のエネルギーによってあまり変化しないが、原子番号の大きな物質は変化が見られる。例としては、造影剤に用いられるヨードがあり、このヨードは低い管電圧においてより強い増強効果が得られることが知られている。
・脂肪・水・軟部組織は、横軸に140kV、縦軸に80kVにおける、それぞれCT値をプロットするとほぼ直線の関係が得られる。そして、あるボクセル内にそれぞれの物質+ヨードが含まれるとこの直線から大きく逸脱する。このため、逸脱の程度からヨードを分離することが出来る。
 
 Material and Method
 被験者10名:腹部5名、四肢2名、頭頚部2名、肺(動脈)1名を、以下の条件で撮像し、画像を検討した。
・管電圧/電流:80kV/65mA、140kV/190mA
・造影剤:Iopromide(Ultravist 370)ヨード量 0.5g/kg body weight
    静脈相は2ml/s 90sec後
    動脈相は5ml/s ボーラストラッキング法を使用
 
 Result
・腎血管筋脂肪腫の例:
 仮想単純CTでは脂肪の検出は困難
 Averaged imageでは可能
 Color- codedでは、増強部分が描出
・肺塞栓例:
 iodine distributionを軸位&冠状断で再構成
 肺塞栓に伴った潅流欠損が明瞭に描出
・手:
 腱(コラーゲン)の分離が良好に行われる
・骨と造影血管の分離:
 全体に良好だが、頭蓋底では一部beam hardeningにより、わずかに骨が残存
 
 Discussion
・規定の被曝線量下で、アプリケーションを用いて良好な画質を得ることができた
・Tendon & Ligament viewは改善の余地あり
・少数での検討であるために、更に多くの症例での検討が必要である

 デュアルエナジーCTによる物質の分離がどのようなものか、ほんの少しだけわかった気になりました。実際に、単純CTのみでどの程度のレベルで組織が分離可能なのかは、もう少し基礎データが必要なのでしょう。
 また、肺の潅流画像のアプリケーションは、造影1相からヨードの分布を見ており、通常の潅流画像で得られる情報とは性質が異なるようです。もし造影1相で、潅流状態が推測できるのであれば、他の臓器でも有用となる可能性があるかもしれません。この辺りの理論をもう少し、詳しく勉強する必要があります。

 では、今回はこのあたりで。