秋晴れの一日、紅葉を求めて雨飾山へ行ってきた。雨飾山は深田久弥の百名山で有名で、幸か不幸か?中高年者を中心に多くの登山者が絶えない山である。
太平洋南岸の発達した低気圧が冬型の気圧配置を強化させ、北アルプスでは秋特有の吹雪により、多くに登山者が犠牲になった。非常に痛ましい事故であり、改めて登山する側の責任を感じた・・・そんな天候と打って代わって、今日は一日快晴の中、少しずつ紅葉した山を十分堪能する事ができた。
国道148号線から姫川の支流中谷川沿いに小谷温泉があり、ここから更に奥の大海川沿いに小谷高原キャンプ場があり、ここが雨飾山の入山口である。5時20分にキャンプ場前の駐車場に着いたが、既に20台前後の車が駐車している。今朝は天気が良いので多くの登山者が入山する事だろう。(実際、帰り際には、駐車場は満車で近くの路肩にも車が溢れていた。たぶん100人程度が入山したのでないだろうか?)
早々に身支度を整え山道に入る。最初は大海川の湿地帯に少し下り、木道を進み左手の尾根に取り付く。ジグザグの登山道の両脇にはブナの大木があり、少し湿った粘土質をじっくりと踏みしめて登る。いつも登り始めのこの時に「山に来て良かった!」と思うのである。大きなトラバースをしながら少しずつ登って行くのだが、見晴らしは殆んど効かない。服装を秋モードにしたせいか、暑くて汗が滴り落ちてくる。
前方から沢の音が聞こえてきたら荒菅沢である。沢筋に下る少し前に、初めて雨飾山の布団菱と呼ばれる白い岩壁が姿を現す。鋭い岩峰は海谷山域に似た荒々しさで圧倒される。(写真は、荒菅沢に下る手前で撮影)
白く音を立てて流れる荒菅沢を渡渉し、対岸の尾根へ取り付く。ここからが核心部である。急坂を一歩一歩ただ下を向いて歩くだけである。時々樹間から頂上が見え隠れするが、ただひたすら、汗を滴らせながら登るのみである。ブナの森林限界を過ぎ尾根上に出ると、一変して周りの景色が開け今までの疲労が吹き飛んでしまう。
雨飾山は、その名の通り比較的天候が良くない山である。日本海に近く気流が不安定なため、ガスが湧いたり、雨が降ったりが多いのだが、快晴の今日は幸運なのだが、日光を遮る物が何もないので暑くて堪らない。
無風ピーカンの笹平に到着し、高原状のなだらかな道をルンルン気分で暫く進んだ後、最後の急登が始まる。距離的には幾らも無いのだが、はやる気持ちと疲労感で結構きつく感じる。少々ガレているので、落石に注意しながら登って行くと頂上である。
山頂は、二つのピーク(と言うより丘?)で、360度の視界が得られる。今日は快晴で、南西方向には、冠雪した白馬岳や北アルプス。北方向には、日本海、糸魚川の町、駒ヶ岳、鬼が面山、鋸岳。東方向には、焼山、火打山。南東方向には高妻山、戸隠、の山々を望む事ができた。「百名山」は、混雑して敬遠気味なのだが、ここ雨飾山は確かに素晴らしい山である。
コースタイム
10月10日(火)快晴
・小谷高原キャンプ場(5:43)~ブナ平(6:35)~荒菅沢(7:14)~笹平(8:24)~山頂(9:00)~荒菅沢(11:00)~ブナ平(11:27)~小谷高原キャンプ場(12:05)