みちくさ便り

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「回想の谷川岳」

2003年02月12日 | 乱読本

「回想の谷川岳」安川茂雄 河出書房 2002.8.20 (お勧め度:★★★☆☆)

 

この本は、著者がある一時期に情熱を燃やした谷川岳を中心に、回想的に書き綴ったものである。

戦時中の日本全体が末期的な様相を呈していた頃は、登山行為など今では想像も出来ないほど困難な時代であった。

装備は勿論、食料にも事欠き、電車の切符さえ手に入り難いという非常時であったにもかかわらず著者は情熱的に登山活動を続けた。一ノ倉沢の名立たるルートを矢継ぎ早に登っていったのである。

著者の初登攀記録となった、谷川岳幕岩正面ルンゼ状岩壁の「秋のある登攀より」は、迫真の状況・心理描写が圧巻である。

一章は.「回想の谷川岳」、二章には谷川岳以外の山の随想を集めた「山の歳時記」、三章には「山をめぐるノート」と題してウェストンと一日本人、ヒマラヤや谷川岳における登山思想などが収めてある。