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業務&ITコンサルタントのひとり言

コンサルティング活動を通じて感じることを勝手気ままに記載

人事管理と給与体系のあり方(1):日本企業の給与体系の課題

2010年08月17日 08時24分30秒 | 日記
戦後長い間、日本の企業は年功序列の給与体系であった。その為、それほど努力をしなくても給与が上がっていた傾向があり、能力が伴わなくても組織上の立場が年齢と共に上がっていった。反面、欧米系の企業では、能力があれば若い時期から管理職に就くケースが多く、若者にとって”やりがい”を感じやすい傾向にあった。その為日本の企業でも、アングロサクソン系の国の多くの企業が採用している"成果主義的"な給与体系を導入した企業が多く出てきた。しかし、この成果主義的な給与体系に多くの欠点があり、最近は成果主義的な考え方を改めている企業も多い。がしかし、昔の年功序列には戻っていないのではないだろうか。そして、正社員の給与をある一定以上に保つ為に、低賃金の雇用を非正規社員として確保している傾向にある。

成果主義の導入に失敗した原因はいくつかあるが、まず一番に云えるのが、企業や社会の制度は、その国の文化に則っている、または人々の考え方を考慮した仕組みである必要がある。イギリスやアメリカ以外の欧米でさえ、アングロサクソン的なドライな成果主義に抵抗を感じているのに、日本人または日本の社会にそれが合うはずがない。これは、成果主義の導入を推し進めたコンサルタントの失態ではないだろうか。

また細かい話になるが、成果主義で仕事の内容を評価する前に、その仕事の内容を示した「職務定義(Job Description)」が必要で、そしてその職務を遂行する為に求められる基礎能力である「経験(Job Requirement)」の定義も必要である。外資系の日本法人でもこの定義が曖昧な中、純粋な日本の企業にこれらの明確な定義をしいるところは殆どないであろう(注:パートやアルバイトを多用している企業では明確になっている場合も多い)。仕事の内容も定義せず、その結果を評価する手段をつくることが出来ない為、その代わりとして社員個人に目標を設定させ、その目標に対する結果で評価している状態であった。要するに、公平な評価基準を持つことが出来なかったのである。

ではどうすべきだろうか。大きく分けて、二つの課題がある。一つは新しい日本的な給与体系の構築である。それは昔ながらの年功序列と欧米的な成果主義を旨く融合すればよいのではないだろうか。もう一つは非正規社員の待遇改善にある。これは政治的な判断も必要になるが、今回のテーマの最後に記載する。
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