Hg君夫妻が近くにあるショッピングセンターに行った時、備えつけてある椅子のそばを通りかかると、4歳くらいの女の子が並べてあった椅子の間を通り抜けようとして、狭いので動けなくなり「おいどが挟まって動けない」と言っているのを耳にしたそうだ。今頃「おいど」なんてことばを小さい子が言うのは珍しいと思ったと話した。
「おいど」は、元は「尻」を意味する中世の女性ことばで、「御居処」と当て、京都で使われた。戦後私の家族は関西に移り住み、中学生の時に滋賀県の大津に住んだが、ここは京都に近いこともあって「おいど」は珍しいことばではなかった。もっとも我が家は東京にいたから、母も妹達も「おいど」は使わず「おしり」だった。「おいど」は大阪やその近辺でも使われたから、Hg君達もかつては耳にしていたのだろうが,今では珍しいと思ったのだから、あまり使われなくなったのだろう。私は、Hg君夫妻が見た女の子は、家で「おいど」を使う女性がいるか、京都あたりに住む家の子ではないかと思ったりもする。
尻を意味する古いことばに「ゐしき」(居敷き、臀)があり、着物の裏側の尻のところにつける布地を「居敷き当て」と言うところに今も生きているようだが、尻を表わす言葉としては地域によっては残っているかも知れないが、もう死語に近いのではないか。
尻を意味するいささか下品な言い方に「けつ」がある。これはちゃんとした場では男も使わないだろうし、ましてよほどの者でない限り女性は使うことはないだろう。ただ慣用句としては「けつの穴が小さい」とか「けつをまくる」、「けつを割る」、「空っけつ」などに生きているが、これも女性が使ったら興醒めだ。自転車に二人乗りすることを「二ケツ」というのだそうだ。
尻は口から入った物の最後の出口だから、「どん尻」、「びりっけつ」、「けつから数える」などと言う。
「おいど」といういささか懐かしい柔らかなことばから、少々下品な表現にまで触れたが、幼い女の子が「おいど」と言うのは何かしら可愛らしく思う。
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