シルクロードと科学 ある物理学者の独りごと Silk Road and Science

天山山脈の北の麓の都アルマトイに、私が初めて訪れたのは平成7年(1995年)10月でした。

2月21日付けのアニワル医師からのメールと高田の返信

2009-02-23 17:20:32 | シルクロードの民族と核実験災害

 およそひと月ぶりに、アニワル医師から、3月18日の東京シンポジウムでの報告のための来日についてメールが高田宛に届きました。

 彼は(医師としての)立場を明確にしたいと述べています。また、来日し、これからの研究について私と会い話し合うことを楽しみにしているとのことです。

 私も、その手紙を読み直ぐに、ウイグル人医師として健康影響調査の結果を、純粋に医学的に報告される立場を支持する内容の返信をいたしました。

 彼は、彼の明確な立場を私が納得の上で、公言したいとのことでした。そこで、二人の手紙を、以下のように公開させていただきます。

親愛なる  高田純教授

 私たちがメールのやり取りを開始して以来、特に中国の核実験のシンポジウムへ私が招待されてから、多くの問題が騒がしく聞こえてきます。3月の訪日に対して、多くの日本人が何故発言するのか、私にはわかりません。

あなたもご存知のように、あなたが親切にも可能にしてくださった、今回の訪日と私の講演を大変楽しみにしています。あなたもご存知のように、私の目的は、世界の多くの人々と組織に中国の核実験について知らしめることです。

私は、長年にわたり日本へ何度も訪問してこの話題を話し、そして将来の研究を実行することを望んでいます。それを可能にしたいがために、私自身を独立した立場を保つ必要があり、如何なら政党や運動を支持したり関与しないと考えています。

 従って私は、会議で私が独立な個人として論じること、そして関連するどのような出版物においても、それを明確にすることを、あなたとともに明確化したいのです。また、講演のはじめに、そのことを述べるつもりです。

 私はこのことがあなたとその組織について失礼にならないことを強く望みます。しかし、こうすることで、日本が中立であるとの私の政治的理解への混乱を純粋に防止できるのでお許しください。

 あなたは、私の立場を、出版物においても明確にしてくださいますか? 私は、まもなくあなたに会えるのをとても楽しみにします。

ご多幸を祈って、

アニワル トフテイー

2009221

親愛なる アニワル様

 あなたの立場を示すお手紙を拝見しました。まず、最初に、私は、あなたがウイグル人医師として健康影響を調査した結果を、純粋に医学的に報告される立場を支持いたします。

 中国の核実験災害の調査は、科学ではありますが、あなたの祖国の社会的な悲劇でもあります。その悲劇の原因は自然災害ではないところに、調査および報告が、他の科学とは全く異なる困難があるのです。これはあなたもよくご存知のことです。

 日本人の大学教授である私も大いなる困難を感じているので、ウイグル人であるあなたは、それ以上の困難があることは理解しているつもりです。

 今回の中国の核実験災害に関するシンポジウムは、日本ウイグル協会の主催で、私は報告の依頼を受けました。私は、私自身が行なってきた科学調査結果をシンポジウムにて報告し、現在あるシルクロードの地の問題点を明らかにし、今後の科学調査の進展の方向を示すつもりです。それが、核爆発災害学と放射線防護学を専門に世界を調査してきた日本の科学者の責任と信じるからです。

 今回の来日は、あなたが希望する日本でのこの主題での研究について、二人で話し合う機会にもなるので、私は、白石さんおよびイリハムさんに、あなたの招待講演を推薦したのです。

 中国の核実験災害はあなたの祖国の社会問題に留まらず、国際社会の注目を受けるはずです。さらに、国際社会の報道機関が今回のシンポジウムでの人道的な見地からの科学報告を無視するようなことは決してないと強く信じています。つまり今回のシンポジウムが、悲劇の解決につながる第一歩となることを私は願っています。

 いずれにせよ、世界で最初に核災害を受けた日本で、あなたと私が、シルクロードで引き起こされた未曾有の中国の核実験災害の科学報告をすることは、大きな歴史的意味があります。是非、医学的見地から、あなたの調査結果を東京で報告してください。私はあなたの勇気に敬意を表します。

 東京であなたと会えることを楽しみにしています。

 元気にお越しください。

高田 純 理学博士

札幌医科大学教授

2009223


6 「中国核実験災害問題シンポジウム 090318 東京」

2009-02-17 14:58:49 | シルクロードの民族と核実験災害

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中国による居住区でのメガトン級の核実験で、大量の核の砂が広範囲に降り、148万人以上が死傷したと推定された。(「中国の核実験」医療科学社、2008より)

核の保有国、核実験を実施した国は複数あります。しかし居住区域で大規模な地表核実験をした国は中国だけです。周辺への影響を全く考慮に入れない核実験を行うという、まさに悪魔の所業といえるでしょう。

 中国は、新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)の楼蘭付近で、1964-1996年に46回、総出力20メガトンの核実験を行い、周辺住民への甚大な健康被害と環境汚染とがもたらされています。しかし中国政府はその実験事実を公開せず、周辺への影響調査ですら行っていません。

 シンポジウムでは、日本人科学者およびウイグル人医師から、核実験災害の調査結果が報告されます。それにもとづき、中国の核実験災害の問題点および国際社会における日本の役割を考えます。

【場 所】東京都千代田区永田町1-1-1 憲政記念館

   丸ノ内線、千代田線 国会議事堂前駅 2番出口から徒歩7

           有楽町線、半蔵門線、南北線 永田町駅 2番出口から徒歩5

【日 時】平成21318

開演 17:30 講演 18:30 終了 20:30

【講演内容】

1.「中国の核実験災害とその問題点」 理学博士 高田純氏

2.「健康影響の調査」 医師 アニワル・トフティ氏

3.「日本の役割」 ジャーナリスト 櫻井よしこ氏

4. 各団体よりのコメント

【主 催】日本ウイグル協会会長/世界ウイグル会議日本代表 イリハム・マハムティ

【後 援】放射線防護情報センター、放射線防護医療研究会、呉竹会、長崎の原爆展示をただす市民の会任意団体イリハム応援団

【講演者】 

高田 純氏         放射線防護情報センター主宰、札幌医科大学教授

アニワル・トフティ氏  在英ウイグル人協会会長

櫻井 よし子氏     国家基本問題研究所 理事長

     事前申し込みされる方は日本ウイグル協会宛にお願いします。

MAILkessokyo@nifty.com

URLhttp:// uyghurhotline.com/

開催案内のチラシ http://uyghurhotline.com/090318simposium.pdf


ラクパ・ツオコ氏との会談 2009.2.13

2009-02-15 08:12:52 | シルクロードの民族と核実験災害

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一昨日、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所ラクパ・ツオコ代表と会談いたしました。これは、本ブログでも登場いたします有本香さんの紹介により実現し、ご一緒していただきました。大変意味のある3時間でした。

 その話題は、シルクロードでの中国の危険極まりない核実験、チベット国内での中国の核施設からの環境汚染と住民の健康影響、今始まったウイグルの人たちの健康影響調査の方法、この未曾有の核災害における加害者と被害者、3.18東京シンポジウムと前日の外人記者クラブでの記者会見、ダライ・ラマ法王の日本への期待、そして私からのチベット調査の提案でした。

 ラクパ氏が大変関心を持たれ、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所の協力を得た形で、高田純チベット調査の具体的な目標が定まりました。これにより、東トルキスタン、チベットとシルクロードで、中国共産党政府が加害者となった核災害・環境汚染・健康影響調査が、より広がりをもって前進することになりました。みなさまのご支援よろしくお願いいたします。

 人権・人道に国境なし

                      高田純 2009215


日本ウイグル協会 声明  2009.2.6

2009-02-14 23:23:59 | シルクロードの民族と核実験災害

日本ウイグル協会より、水谷尚子氏の妨害に対して声明が発表されましたので、皆さまへお知らせいたします。

http://uyghurhotline.com/090214announce.php

日本ウイグル協会 声明

200926

日本ウイグル協会を預かる会長として、初めて声明文を発表いたします。

昨年、313日に世界ウイグル会議よりイリハム・マハムティは日本エージェントとして指名を受けました。その後、世界ウイグル会議副総裁・スイット・トムトルコ氏が6月に来日し、「日本ウイグル協会」が615日に設立され代表に指名されました。活動の趣旨は、中国共産党の我が民族に対する非道な統治を止めさせる事です。

在日ウイグル人として初めて政治活動をする中で、各界で活躍される多くの支援者が現れた事は驚きでした。昨年は中国の人道なきオリンピックに対する反対デモを2回行いました。また活動が広がる中で、チベット、モンゴル、ウイグル3民族連帯のシンポジウムとデモも行う事もできました。

今年は「中国の核実験」の実態を、世界の人々に知ってもらう為の活動に力を注ぎたいと計画しております。この問題は、中国共産党が行った人類に対する犯罪と認識しております。3月18日に憲政記念館において「シルクロードにおける中国の核実験災害と日本の役割」と題してシンポジウムを開催いたします。このシンポジウムには、札幌医科大学教授・核防護学専門家高田純氏(理学博士)や現地調査に参加したウイグル人医師アニワル・トフティ氏(イギリス亡命中)が参加します。

この開催に水谷尚子氏からの妨害が入っております。シンポジウムの内容は既に一部広報しておりますが、この妨害行為については、パネリストの高田純教授のブログでも公表されております。(http://www15.ocn.ne.jp/~jungata/index.html)。

水谷尚子氏は「日本ウイグル協会」が立ち上がった後から今まで、私たちの活動に対し執拗に妨害行為を行ってまいりました。日本ウイグル協会としては、これらの妨害工作に対し逐一反論することを控え、水谷氏とは別個に活動すると述べるに留まりました。

しかしこの度は、イギリスからアニワル・トフティ氏をシンポジウムのパネリストとして招聘することに対し、断固阻止すると宣言しております。この件に対し、抗議声明を出さなければ、影響が大きく広がり、シンポジウム開催の障害になるのみでなく、今後の日本ウイグル協会の活動に支障が出ますので、広報する事にいたしました。

ネット等に於いて水谷氏よりの誹謗中傷があちこちで行われておりますが、妨害行為の真実の細目は「日本ウイグル協会」及び「イリハム応援団」の方にお問い合わせていただければ対応いたしますので、ご連絡ください。

事情をご賢察くだされ「日本ウイグル協会」活動にご協力いただきたくお願い申し上げます。

日本ウイグル協会会長 イリハム・マハムティ

以下200811月に世界ウイグル会議から出された、日本ウイグル協会支持を呼びかける文章を転載します。

WUC、日本ウイグル協会の活動への支持を呼びかける

http://www.uyghurcongress.org/jp/news.asp?ItemID=1225596479&mid=-2139923529

 世界ウイグル会議は、東トルキスタン民族運動の需要により、ウイグル問題を欧米だけではなく日本(日本国民及び日本政府)にも知っていただき、ウイグル問題への理解とウイグル民族運動への支持を広げていくことを重視してきた。そして、近年世界ウイグル会議の活動に理解と支持を示してきた日本人の方々の懸命な努力により、ウイグル問題が日本社会にも知られるようになってきた。

 そんな中で、ウイグル問題を日本で広げていくための活動を今後組織化していくために、日本ウイグル協会が作られ、世界ウイグル会議の指導を受けながら日本で活動を始めた。世界ウイグル会議は、在日ウイグル人及び日本人の方々に、世界ウイグル会議を代表して日本で唯一活動している日本ウイグル協会の活動を支持することを呼びかける。

世界ウイグル会議

2008112


シンポジウム開催を応援するみなさんの声!!!  ③

2009-02-11 05:40:18 | シルクロードの民族と核実験災害

長崎の原爆展示をただす市民の会・事務局の北村芳正様から、広島・東京シンポジウム09への声援が寄せられました。

         ありがとうございます、J

東京シンポジウム09

http://uyghurhotline.com/ 

広島シンポジウム2009

http://junta21.blog.ocn.ne.jp/blog/cat10005261/index.html

高田先生

少しご無沙汰してしまいました。

広島と東京のシンポジウム開催のお知らせ、大変画期的なことと胸躍らせております。

広島の件は、早速知人に知らせておきました。偶然にも広島大学医学部関係者に知り合いがいるとのこと、是非誘い合わせて参加したいと言っていました。無論、広島の「反核平和」運動の実態に少なからず憤りの念を持っている人たちです。なかなか表立った活動は難しいようですが、この問題を国民に広く認知させることで少しでも「反核平和」の欺瞞をただすことが出来ればと、先生のお取り組みに強い興味を示していました。

私も出来れば、参加したいと思っております。

東京の方は、こちらは必ず上京して参加いたします。もちろん東京の知人関係にも知らせるつもりです。

長崎での私どもの活動についても、先生にご相談したいこともございますが、まずは会っていただかなくてはと思っております。申し訳ありませんが札幌まではなかなか行けませんので、この機会にお時間を戴ければ、大変ありがたいことでございます。

何卒宜しくお願い申し上げます。

また、アニワル医師のお話を聞けるのも、なかなかない機会と思います。BBCの番組録画を長崎原爆資料館で展示・上映ができないものかと思っておりますので、そのようなご相談も出来れば幸甚に存じます。

なお、櫻井よしこ先生の国家基本問題研究所は、私も会員です。お話が聞けるのはとても楽しみです。

この問題について日本国民が目や耳をふさいでいることは許されないことです。知った者はそれを他に知らせていく責務を負うと思います。先生のお取り組みを妨害する動きがあることは本当に悲しいことです。しかし、この問題を知ったならば、先生と志を同じくする人は全国に多く出てくるはずです。私もその末端に加わり続けたいと思っております。

東京・広島のシンポジウムの成功をお祈りいたします。がんばって宣伝いたします。

              北村芳正  2009.2.6

ビデオについて、長崎原爆資料館で上映できれば大きな意義があります。実現のために、知恵を絞りましょう。私も、NHK国際部の知り合いに、放送を要請したことがあります。NHKが本気になれば、実現できるはずですが。核被災地・長崎での皆さまの取り組みを期待しています。日本ウイグル協会は、今年の8月、長崎で中国の核実験災害の問題を訴えると聞いています。是非、応援してください。よろしく、お願いします。 東京シンポジウムの宣伝、ありがとうございます。多くのお知り合いに参加いただけたら、うれしいです。 

                             高田 純  2009.2.11