およそひと月ぶりに、アニワル医師から、3月18日の東京シンポジウムでの報告のための来日についてメールが高田宛に届きました。
彼は(医師としての)立場を明確にしたいと述べています。また、来日し、これからの研究について私と会い話し合うことを楽しみにしているとのことです。
私も、その手紙を読み直ぐに、ウイグル人医師として健康影響調査の結果を、純粋に医学的に報告される立場を支持する内容の返信をいたしました。
彼は、彼の明確な立場を私が納得の上で、公言したいとのことでした。そこで、二人の手紙を、以下のように公開させていただきます。
親愛なる 高田純教授
私たちがメールのやり取りを開始して以来、特に中国の核実験のシンポジウムへ私が招待されてから、多くの問題が騒がしく聞こえてきます。3月の訪日に対して、多くの日本人が何故発言するのか、私にはわかりません。
あなたもご存知のように、あなたが親切にも可能にしてくださった、今回の訪日と私の講演を大変楽しみにしています。あなたもご存知のように、私の目的は、世界の多くの人々と組織に中国の核実験について知らしめることです。
私は、長年にわたり日本へ何度も訪問してこの話題を話し、そして将来の研究を実行することを望んでいます。それを可能にしたいがために、私自身を独立した立場を保つ必要があり、如何なら政党や運動を支持したり関与しないと考えています。
従って私は、会議で私が独立な個人として論じること、そして関連するどのような出版物においても、それを明確にすることを、あなたとともに明確化したいのです。また、講演のはじめに、そのことを述べるつもりです。
私はこのことがあなたとその組織について失礼にならないことを強く望みます。しかし、こうすることで、日本が中立であるとの私の政治的理解への混乱を純粋に防止できるのでお許しください。
あなたは、私の立場を、出版物においても明確にしてくださいますか? 私は、まもなくあなたに会えるのをとても楽しみにします。
ご多幸を祈って、
アニワル トフテイー
2009年2月21日
親愛なる アニワル様
あなたの立場を示すお手紙を拝見しました。まず、最初に、私は、あなたがウイグル人医師として健康影響を調査した結果を、純粋に医学的に報告される立場を支持いたします。
中国の核実験災害の調査は、科学ではありますが、あなたの祖国の社会的な悲劇でもあります。その悲劇の原因は自然災害ではないところに、調査および報告が、他の科学とは全く異なる困難があるのです。これはあなたもよくご存知のことです。
日本人の大学教授である私も大いなる困難を感じているので、ウイグル人であるあなたは、それ以上の困難があることは理解しているつもりです。
今回の中国の核実験災害に関するシンポジウムは、日本ウイグル協会の主催で、私は報告の依頼を受けました。私は、私自身が行なってきた科学調査結果をシンポジウムにて報告し、現在あるシルクロードの地の問題点を明らかにし、今後の科学調査の進展の方向を示すつもりです。それが、核爆発災害学と放射線防護学を専門に世界を調査してきた日本の科学者の責任と信じるからです。
今回の来日は、あなたが希望する日本でのこの主題での研究について、二人で話し合う機会にもなるので、私は、白石さんおよびイリハムさんに、あなたの招待講演を推薦したのです。
中国の核実験災害はあなたの祖国の社会問題に留まらず、国際社会の注目を受けるはずです。さらに、国際社会の報道機関が今回のシンポジウムでの人道的な見地からの科学報告を無視するようなことは決してないと強く信じています。つまり今回のシンポジウムが、悲劇の解決につながる第一歩となることを私は願っています。
いずれにせよ、世界で最初に核災害を受けた日本で、あなたと私が、シルクロードで引き起こされた未曾有の中国の核実験災害の科学報告をすることは、大きな歴史的意味があります。是非、医学的見地から、あなたの調査結果を東京で報告してください。私はあなたの勇気に敬意を表します。
東京であなたと会えることを楽しみにしています。
元気にお越しください。
高田 純 理学博士
札幌医科大学教授
2009年2月23日