あのね…

ドイツからイスラエルへ到着。相変わらず暑かった。

飛行場にはテロ防止の為に、銃を持つ輩達が立っていた。
その間をくぐり抜け、パスポートコントロールへ。

「ノースタンププリーズ。」中近東へ出張がある為にこれを言わないと
とんでもない事になる。
スタンプ押されたら中近東諸国入国できへんし。

何も聞かれずに、パスポートを返された。普通に返されたので
パスポートを見なかった。これがあとで面倒なことになる…。

客先のドライバーが待っていた。車に乗る事３時間。
客先に行くと思いきや、なぜか、ドライバーの家に到着。
いきなりのドライバーの家族紹介。

しかし、相変わらず軍隊が多い所だ。徴兵制度があるこの国は
男女共に軍服を着て、空の銃を持っていた。

客先の会社もテロ防止の為なのか、鉄格子で囲われている。
行った事ないけど刑務所にお世話になる気分やった。

客先には先に仕事をしていたイギリス人がいた。
話題は仮ビザの事だった。

「しかしヒデー話だな！普通来させんけどな。」とイギリス人がいった。
まーね、たかだか３日の為に。

客先も「そんなことだったら呼ばなかったのに。
　　　　なんでそうなったんだ？」

あのね、君らが騒いだんでしょ。だから来たの。何いっとん！

「なにか俺たちに出来る事はないか？」と客先。

オイラは「グッバイフォーエバー！」とだけ言っておいた…。

仕事を始める。と、
客先が「そんなに無理するなよ、金型を作り変えるから」

おいら「え？」

客先「日本から金型買ったけど、この部品とあの部品はうちで作り
　　　変えるから、ちょっとスタートさせれば良いだけだから。
　　　ドイツ事務所には伝えたつもりだが」

おいら「…。」

事務所のおっさん何考えとんねん！アホちゃうか！
これで２回目やで！1回目はフランス。これもただ客先の部品待ち。

それをわざわざ、オイラを使って日本から部品持ってこさせて。
おっさんダメやでー。

その客先の言葉でやる気が失せてきたオイラだった…。
そしてパスポートを見て、もっと気分が最悪になった……。

無理だよねやっぱり。

ドイツ　フランクフルトへは日曜日に到着。
そこから乗継便で目的地へ。

空港で待っていたのは事務所の雇われ所長。
この人、色々と問題の多い男で結局というより
やっぱり解雇された……。

まっ、それはいいとして、このおっさんが空港でオイラを
迎えに来ていた。
ちょー珍しい事だ。っていうよりは普段はありえんね。
絶対ない！不思議に思ったオイラ。

なぜ迎えに来たかは”イイわけ”をいうためだったらしい。
このおっさんの早とちりで問題がでかくなり仮ビザがパーなった。

その事に気づいたのはイスラエルで客と話した時とその後に
オイラが日本へ帰国した後に先代から電話があってからだ。

やっぱり、あのおっさんが普通迎えに来るわけないわなと
思った。

それはさておき、おっさんの車に乗りホテルまで行く。
車の中では、おっさんが「飯を食いに行くかとか」といっとったが
オイラは「疲れとるんで、ええです。いりまへん」
もう、ほっといておくれ。

次の日はイスラエル。

この日は社長秘書（男)が迎えに来た。彼と空港まで行った。

車の中で、「移民局行く時間あるんですかね？」と一応尋ねる。
秘書が「いやー、無いんだよね。俺もさ色々ととあたってみたけど
　　　　ブツクサブツクサ…。」
要するに、無理なわけやね。話が長いよおたく。

空港へ着くと、チケットを渡され、秘書はさっさと帰っていった。
さてと、イスラエルですか…。

何もなきゃいいんですがね。

だって、たかだか3日の出張に日本から派遣ですから。
高いで～～～！
　

パーでんねん

というわけで、仮ビザがパーになったんですねん。

一瞬よぎったのが「また取りにいくの～～！」

営業課がイスラエルの客先に電話して、おいらのビザがパーに
なった事を伝えると、気の毒に思ったのか飛行機チケット代及び
ホテル代を支払うといってきた。

おいら的には「そりゃそうだろ、人の都合を勝手に変えてからに！」

だが、余計なことにおいらの部署の部長が
「そんなことさ、客先がしなくて良いんだよ！もうビザを取りに
　行けばいい事なんだからさ！客先に言っておけ。気にするなって。」
と営業課に言ってしまいましたとさ‥‥。

お前がいくんちゃうやろ！誰が行くとおもっとるねん！
おっさん、あのな、ビザ取りに行くだけでも大変なんやで。
地元から、電車乗って新幹線に乗り換えて。
朝早くいかな大使館の仕事は、はよー終わってまうから、
めっちゃ早起きせなならんし。

そもそも、おっさん、あんたイスラエルは行きたくないって自分で
いいなはったやんけ！
ヨーロッパは行くけど、中近東は行かない。イスラエルは
中近東だから行かないって確か、いっとたけどあんたな、いい事
教えてあげる！イスラエルは中近東だけど中近東ちゃうで！

周りにどれだけ敵がいると思っとりますの？
それに、サッカーでもイスラエルはヨーロッパに属してるの。
知ってましたか？
息子さんサッカーやってるでしょ。よーく聞いとき！

まードイツも‥。ちゃう、どいつもこいつもパーでんねん。

そして、出張の日が来た‥‥。

もしもの場合があるという事で、行きのチケットのみを持って
帰りのチケットは持たないようにさせられた。

もしもの場合というのは、ドイツの移民局へ行く時間がもしかしたら
あるかもしれない！

という、とっても浅はかな希望らしい。

そして、ドイツへ向かう飛行機へと乗った‥‥。

急いで

ドイツ駐在員になる前。

3ヶ月X3回の長期出張期間が終了し、いよいよドイツビザを
発行する為日本のドイツ大使館へ行き手続きをした。

手続きが終了し、再度地元へ戻り1週間ほど待ち1週間後また
大使館へ。

大使館で仮ビザを発行。これを今度はドイツの移民局へ行き
本ビザに変えると2年間滞在ビザとなる。

そして、仮ビザを貰うときにこういわれた。
「これはあくまで仮のビザでこのビザでドイツを出た場合
　無効になります。気をつけてください。」

これで、ドイツに行けば駐在員だ。そう思った矢先‥‥。

ドイツ事務所から日本本社に電話がかかってきた。
イスラエルで金型のスタートアップがあるとの事。
先代駐在員がいるから大丈夫だろう。とここまでは当たり前。

が、先代駐在員の方々が出張中。イスラエルの客は超急ぎで
スタートアップを望んでいる。
イギリス人の代理店エンジニアが2日間だけ先にイスラエルに
入るが彼には他の仕事があるのでそれ以上は滞在不可能。

そこでとっても嫌な矢がささったのがおいら。

しかし、出張計画上ドイツ到着は午後5時過ぎ。
もちろん移民局など開いてるわけがない。

ドイツからイスラエルへ向かう飛行機は朝9時。
移民局へ、行く暇などない。

事情を知った先代駐在員達はこの決定に猛反対！
少しだけ待ってもらえればイスラエルのフォローが出来る
との事。

しかし、頭の硬いおっさん達、え～常務たちってやつらね、
「急いで行け～～～！」だって。

そー、おいらのドイツ仮ビザはこれで、パーになりました。

なんやねん

まー、仕事で一番困ると言ったら”二日酔い”

これはおいらじゃない。一緒に働いてるウェールズ人。
次の日、仕事だっちゅーのに深酒して、体全体が酒臭せ～！

日本と違い、個人で休日を取るのでそれはそれでかまわねんけど
二日酔いは、はっきりいって仕事の邪魔。
仕事が数倍に膨れ上がるから小丸っ中年。
いや、こまるっちゅうねん！

挙句の果てには「Sorry mate.」どあほ！

そして、仕事が上手くいかないと、
「助けてくれよ、上手くいかないんだ～」とぼやきだす。
あたりまえじゃ！深酒するからじゃ！

おいらはそういう時は必ず最初に「No」といっておく事に決めている。
理由は‥‥特にない。

そんな時、やつらは必ず、「I thought you were my friend．」
と、言う。
な～にが、Friendだ！もし、おいらがこの会社を辞めたら
1年経たないうちに、直ぐに名前すら忘れるくせに。
お前達とは、仕事の同僚。それだけ！

頼るだけ頼って、何もないやんけ。Give&Takeせーや！

そうそう、ずいぶん前に息子と公園に遊びに行った。
公園に行く途中に飲み物を買っていこうと、インド人経営の店に行き
ジュースを購入。

その店屋に、一人のおばあちゃんが買い物をしていておいらの
息子を見て微笑んだ。
おいら達が店を出ると、おばあちゃんもその直ぐ後から出てきた。

おばあちゃんはおいらの息子を見て
「彼はとってもいい子に見えるね。髪の毛もとっても良い色。
　私も、中国人の親戚がいるけど、あなたの息子さんの色の方が
　とっても良い色。素敵ねー。」と言った。

おいらは「いやー実はおいらたちゃー日本人ですねん。」

おばあちゃん「更にいいじゃない！」

おいらは心の中で「‥‥何が？」

そしたらおばあちゃんがなぜか戦争の話をした。
「あれはね、南ウェールズ人のせいじゃないのよ。
　北ウェールズ人がいけないの。本当に酷い話よ！」

おいら「‥‥。そうなんだ。あっもう時間だから。それじゃ。」
本当に南と北のウェールズ人同士仲悪いねんな。
同じ、ウェールズ人やんか。なんやねん！

さー、いざ公園に行こうとしたらジュースを飲んでいた息子が急に
「パパ、遊ぶのは‥あ・と・だ。」といいだした。
おいらは「どうした？」息子「う○こがしてー」
一大事だ！息子の手を引きながら足早に家に向かう。

息子「もうだめだ～！」
やっやばい！こんな時親ならどうする！そう考えたおいら。
「ダップンダ～（脱糞だ）」とヘンなおじさんの真似をした。

笑い出した息子。何とか波を切り抜けた。
ほー、良かった。