暗いニュースが多い中で、期待とロマンに満ちた、壮大な宇宙の快挙については、もう
すでにテレビや新聞などで次々と報道されていますから、何を今さら!の感は否めませんが、
やはり、ここは取り上げないわけにはゆかない気がしたのです。
2014年12月3日に種子島宇宙センターからH-IIAロケットにより打ち上げられ、はるばる
小惑星「リュウグウ」を目指して4年強にわたる、3億4000万㎞の旅を続け、昨日(2019.2.22)
午前7時半頃に無事到着し、予定した弾丸を発射したとのニュースに関係者の喜びはいか
ばかりかと思います。 正式な発表は、これより1時間ほど後で行われましたが、3億4000
万kmというのは、電波でもその到達に約20分もかかり、地球からの信号に対して往復では
40分もかかるのです。 こんなに遠いのですね。
直径600mのリュウグウの表面わずか6m四方が着地点だと言いますから、その技術の精度
には驚きです。
はやぶさ2 (池下章裕氏提供)
(JAXA HPより)
これより先、2003年に打ち上げられた「はやぶさ」は、小惑星「イトカワ」から、微粒子
を採取して、再び地球に帰還しましたが、あの時は、姿勢制御、軌道修正用のスラスタ
(推力)の故障など数々のトラブルに見舞われながら、必死の対応により それこそ感動的
な帰還を果たし成果を上げました。
小惑星は、太陽系では、地球と同じ仲間で、水星と木星の間にたくさんの小惑星が存在
する小惑星帯があり、これら小惑星は、スペクトル等によって次に示しますように大きく
3つのグループに分類され、
・C型小惑星:炭素質で、発見されている小惑星の75% このグループに、B、F、G型等が
ある。
・S型小惑星:ケイ素室で、発見されている小惑星の17%ほどと想定されています。
・M型小惑星:金属質。ニッケル、鉄が主成分
更にこの他、小さなグループとしてA型、D型、T型・・などいくつかの型があるそうです。
で、先の小惑星「イトカワ」は、S型小惑星で石質でしたが、今回の「リュウグウ」はC型
小惑星で、より原始的な物質で、有機物(炭素を含む科学化合物)や水を多く含む天体と考
えられており、炭素と水は、人類を含む地球上の生物の最も基本的な要素ですから、地球
生命の原材料ともいえるのです。なので、今回はこの物質が採集出来るわけですからその
分析に大きな期待が寄せられているのです。
このプロジェクトの目的から、その意義について JAXA HPから抜粋して以下に引用さ
せていただきました。
・科学的意義
太陽系の起源や進化、生命の原材料を調べる。地球本体、海水、生命を作った原材料物質
は、惑星が生まれる前の原始太陽系星雲の中に存在していたが、太陽系初期には同じ母天体
の中で、互いに密接な関係を持っていたと考えられる。この相互作用を現在でも保っている
原始天体(C型小惑星)を探査し、そのサンプルを分析することで、太陽系の起源・進化の
解明や生物の原材料物質を解明する。
・技術的意義
日本独自の深宇宙探査技術の継承と発展を目指す。小惑星探査機「はやぶさ」は世界初の
小惑星サンプルリターンとして、数々の新しい技術に挑戦したミッションです。その経験を
継承し、より確実な深宇宙探査を行える技術を確立し、さらに新たな技術にも挑戦し、今後
の新たな可能性を開く。
・探査としての意義
「フロンティアへの挑戦」を行うことで、科学技術のイノベーションや産業・社会への
波及、国際的なプレゼンスの発揮、青少年育成等の効果が期待でき、未踏の地に踏み込む
ことで、新しい科学技術を創造し産業に貢献するとともに、天体の地球衝突問題(スペース
ガード)、宇宙資源利用、友人探査のターゲット等の科学以外の観点からも小天体に対応す
ることで社会に貢献することを目指す。
そして最後に、次のように纏められていました。すなわち、
『リュウグウは、C型の小惑星ですから、今から46億年前に太陽系が生まれた頃の、水や有
機物が、今でも残されていると考えられています。 地球の水はどこから来たのか、生命を
構成する有機物はどこで出来たのか。そのような疑問を解くのが「はやぶさ2」の目的です。
また、最初に出来たと考えられる微惑星の衝突・破戒・合体を通じて、惑星がどのように
生まれたのかを調べることも「はやぶさ2」の目的です。 つまり、「はやぶさ2」は、
太陽系の誕生と生命誕生の秘密に迫るミッションなのです。』
「はやぶさ2」は、これからしばらく小惑星に滞在して今年末頃、小惑星を出発して2020年
12月頃に地球に帰還する予定だそうですから、どうぞ、無事に任務を果たして、そのカプセ
ルが地球に届いて“宝の箱”が開かれるのを待ちたいものです。
小惑星等について、当ブログにこれまで「スペースガード」(2017.5.22)および「第2の
地球」(2018.2.20)にそれぞれ記事アップしています。 「スペースガード」記事より、
主な小惑星に関する表を以下に再掲しました。
はやぶさ2、着陸成功 小惑星で試料採取挑戦
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