蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

閏(うるう)9月と十三夜  (bon)

2014-10-07 | 日々雑感、散策、旅行

昨日(10/6)は、旧暦9月13日で、十三夜でした。

 生憎、大型で強い台風が浜松あたりに上陸するなどで、お月見どころではありませんでしたが、
この “十三夜” で、メール仲間うちで話題が飛び交ったのでした。
台風の方は、関東でも午後から風も穏やかになり、暑めの太陽が照り、台風一過の良いお天気になり、夕方には
きれいな夕焼けとなりました。18時前のベランダには、十三夜のお月様も美しい姿でお出ましでした。

 夕焼け(富士山の頂上部分が見えます)      十三夜のお月様(18時前頃 東30°方向)
     

 

 ランチの会を中心にしたメール仲間で、九州(福岡)在の友人が、一昨日に、ススキと栗を用意して、それに
日本酒の銘酒をスタンバイして、十三夜に備えたが、お天気が心配だと言ってきました。 

旧暦8月15日が “仲秋の名月”、そしてこの名月を観た人は、翌月の(旧暦9月13日の)十三夜(の月)も観る・・
というならわしが古くからあり、日本独自の風流を楽しむのですね。
お供え物から、仲秋の名月を “芋名月”、十三夜を “栗名月” とか “豆名月” と言ったりもしたそうです。

 話題が飛び交った理由は、この十三夜が今年は、171年ぶりに来月もう1回あるということから発展しました。

  ベランダから北方向(遠く日光方面の山々)        南方向(夕焼けに鴈のような雲・・)
     

 

ちょっと硬い話になりますが、お付き合いのほど、よろしくお願いします。

 太陰太陽暦(旧暦=天保歴)は、月の満ち欠けを基準に1か月を定めていて、その月の1日(ついたち)は
必ず新月(朔)が当てられ、朔から朔の前日までが旧暦の一か月で、平均29.5日となり、これを12か月、
大の月と小の月を大体交互にして、

  1年: 29.5×12=354日 (太陽暦=新暦は、365日ですから、11日短い) となります。

 毎月の始まり(1日)を “朔日(ついたち)” といいますね。 おふくろなんかは、“今日は、おついたち”とかいって、
この日、仏さんにお供えをしていたのを覚えています。

 現在(明治5年から)使われている新暦(太陽暦=グレゴリオ暦)は、季節と大体合ったカレンダーとなっていますが、
旧暦では、月の満ち欠けを基準にしているため、ひと月の日数が少なく、これを続けて行くと、次第に季節とのズレが生じ、
3年も続けると約1か月ズレてしまいます。 これを補正するために、3年に一度、“閏月”を挿入して、一年を
13か月とするのです。 具体的には、19年に7回(メトン周期)の閏月を挿入しているのです。

  つまり、19年では、 12×19+7=235か月となり、旧暦の1か月の日数は 29.530589日なので、
         旧暦での19年は、 29.530589×235=6939.688日 となります。

一方、新暦(太陽暦)で計算すると、365.24219×19=6939.602日  で大体等しくなります。

このようにして、旧暦(太陰太陽暦、天保歴)では、閏月を挿入して季節とのズレを解消(補正)していたのです。

 では、この閏月をどのようにして挿入していたのか、長くなりますが我慢して読んでみてください。

 旧暦(太陰太陽暦)は新月(朔)の日を1日(朔日)として、何月かは二十四節気のうちの12の中気[〇月中]に
よって次のように決まっています。(二十四節気については、このブログの2012.3.5の記事をご参照ください。)

  雨水[1月中](新暦2/19頃)の直前の朔の日……旧暦1月1日
  春分[2月中](新暦3/21頃)の直前の朔の日……旧暦2月1日
  穀雨[3月中](新暦4/20頃)の直前の朔の日……旧暦3月1日
  小満[4月中](新暦5/21頃)の直前の朔の日……旧暦4月1日
  夏至[5月中](新暦6/21頃)の直前の朔の日……旧暦5月1日
  大暑[6月中](新暦7/23頃)の直前の朔の日……旧暦6月1日
  処暑[7月中](新暦8/23頃)の直前の朔の日……旧暦7月1日
  秋分[8月中](新暦9/23頃)の直前の朔の日……旧暦8月1日
  霜降[9月中](新暦10/24頃)の直前の朔の日 …旧暦9月1日
  小雪[10月中](新暦11/22頃)の直前の朔の日…旧暦10月1日
  冬至[11月中](新暦12/21頃)の直前の朔の日…旧暦11月1日
  大寒[12月中](新暦1/21頃)の直前の朔の日 …旧暦12月1日

ここで、また復習ですが、月の満ち欠け(朔望)の周期は約29.53日で、中気と中気の間隔は単純にみると
約365.24日÷12=約30.44日ですから、中気と中気の間隔のほうが月の満ち欠けの周期より長いため、
中気と中気のあいだに新月(朔)が2回あって、中気に朔のない場合が起きてしまうことがあるのです。

旧暦で何月かは中気[〇月中]によって決められているので、中気に朔のない場合は前の月に閏をつけて
閏〇月としています。 これが閏月で、約3年に1回、19年に7回あるという風にしているのです。  
 前出の復習になりますが、

   19年の暦月数   12月×19年+7月=235月
   朔望月   29.530589日×235月=6939.688415日
   太陽年   365.242194日×19年=6939.601686日
で、19年に7回の閏月を入れて、太陽の位置による19年の長さがほぼ同じになります。
(これをメトン周期、章法(中国)といっています。)

たとえば、ネットでの例から具体的に見てみますと・・
『2009年の場合、夏至[5月中]と大暑[6月中]のあいだに新月(朔)が2回あったので閏5月ができました。
  5月24日…朔……旧暦5月1日…夏至の直前の朔の日
  6月21日…夏至…旧暦5月29日
  6月23日…朔……旧暦閏5月1日…閏月
  7月22日…朔……旧暦6月1日…大暑の直前の朔の日
  7月23日…大暑…旧暦6月2日

2012年の場合、穀雨[3月中]と小満[4月中]のあいだに新月(朔)が2回あって閏3月ができます。
  3月22日…朔……旧暦3月1日…穀雨の直前の朔の日
  4月20日…穀雨…旧暦3月30日
  4月21日…朔……旧暦閏3月1日…閏月
  5月21日…朔……旧暦4月1日…小満の直前の朔の日
  5月21日…小満…旧暦4月1日        』

ややこしいですが、よく見ると分かりますね。 更にネットには、次のような解説もありました。

『ちなみに1843年から190年間の閏年(/の次の数字が閏月)は次のとおりです。
  1843/9|1846/5|1849/4|1852/2 |1854/7|1857/5|1860/3
  1862/8|1865/5|1868/4|1870/10|1873/6|1876/5|1879/3
  1881/7|1884/5|1887/4|1889/12|1892/6|1895/5|1898/3
  1900/8|1903/5|1906/4|1909/2 |1911/6|1914/5|1917/2
  1919/7|1922/5|1925/4|1928/2 |1930/6|1933/5|1936/3
  1938/7|1941/6|1944/4|1947/2 |1949/7|1952/5|1955/3
  1957/8|1960/6|1963/4|1966/3 |1968/7|1971/5|1974/4
  1976/8|1979/6|1982/4|1984/10|1987/6|1990/5|1993/3
  1995/8|1998/5|2001/4|2004/2 |2006/7|2009/5|2012/3
  2014/9|2017/5|2020/4|2023/2 |2025/6|2028/5|2031/3  』

で丁度、9月が閏月となるのは、1843年から171年目の今年にあたるのです。

記事の最初に、今年は、十三夜がもう1回(計3回)あるといいましたが、171年ぶりに、閏9月13日(十三夜)が、
新暦の11月5日に当たりますので、この日も十三夜となる・・ということなんですね。
正確には、“閏十三夜”といえるかもしれません。

 

 新暦(太陽暦=グレゴリオ暦)の閏年はご存知ですね。 閏年の2月に1日追加する。 なぜ、2月なのか? 
古代では、2月が最後の月であったから・・??

  1. 西暦が4で割り切れる年は閏年である。
  2. ただし、100で割り切れる年は閏年ではない。
  3. ただし、400で割り切れる年は閏年である。

 

ところで、長くなって恐縮ですが、旧暦2033年問題というのがあるのはご存知でしょうか?

 春分を基点に太陽黄経360度を15度づつ24等分して決められた、定気法(空間分割法)では中気と中気の間隔は
約29.44日~約31.46日のあいだで変化します。で、定気法(空間分割法)を採用している旧暦では、中気と中気の
あいだが約29.83日より短かくなる時季に、1つの朔望月に2つの中気が含まれて暦月の月名を決められなくなる
可能性があることは既に理解されました。

 そこで、2033年秋~2034年春の旧暦の日付が、具体的に天保暦の置閏法にしたがってどのようになるかと
いえば・・(ネットより)

2033年7月26日(火)

7月1日

2033年8月23日(火)

処暑[7月中]

 

2033年8月25日(木)

閏7月1日

2033年9月23日(金)

秋分[8月中]

8月1日

2033年10月23日(日)

霜降[9月中]・朔

9月1日

2033年11月22日(火)

小雪[10月中]・

11月1日

2033年12月21日(水)

冬至[11月中]

 

2033年12月22日(木)

閏11月1日

2034年1月20日(金)

大寒[12月中]・朔

12月1日

2034年2月18日(土)

雨水[1月中]

 

2034年2月19日(日)

1月1日

2034年3月20日(月)

春分[2月中]

2月1日

2034年4月19日(水)

3月1日

2034年4月20日(木)

穀雨[3月中]

 

となり、閏月が7月と11月の2回あり、しかも10月が存在していないのですね。

 しかし、天保暦では冬至・春分・夏至・秋分を含む月は11月・2月・5月・8月と決まっているため、冬至の日の直前の
新月(朔)の日である11月22日(火)は旧暦11月1日、秋分の日の直前の新月(朔)の日である9月23日(金)は
旧暦8月1日となり、そのあいだの新月(朔)の日は10月23日(日)の1回しかないため、9月か10月のどちらかが
無くならざるをえないということに・・。

11月22日(火)の新月(朔)の日から12月22日(木)の新月(朔)の日までのあいだに小雪と冬至という2つの中気が
あり、優先順位からこれを11月とすると10月が無くならざるをえないことになるわけですね。

1月20日(金)からの暦月に大寒と雨水の2つの中気が含まれている点と2月19日(日)からの暦月に中気が
含まれていない点については、12月と1月は必らずしも中気と月名が一致していなくてもよいことと、中気を
含まなくても閏月にしなくてもよいという弾力性があるため、1月20日(金)からの2ヶ月は12月と1月ということで
問題はありませんが、2033年はそれだけの弾力性では対応しきれないという問題があるのです。 
なので種々の修正案が検討されています。

 

 今の日本では、旧暦に関する行事などは、ありませんから関係はないといえばないのですが、中国や韓国では、
春節や秋夕(チュソク)などの行事が今も盛んですし、日本でもカレンダーなどには、旧暦も書かれているなど、
影響はないとは言えないですね。

 

 これまでに、ブログアップしました関連記事です。立春と冬至(2014.1.31)、中秋の名(2013.9.19)、
うるう(閏)(2012.2.28)、二十四節気(2012.3.5)、十四夜・・(2011.10.10)、十五夜(2011.9.12)、上弦の月・下弦の月(2011.1.25 月齢の計算式など)

 

 風流な話題が、硬いお話になりました。 お疲れさまでした。

 

 

 昭和10年にヒットした~

 

 

 

 

 

 


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