蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

麹菌  (bon)

2024-04-19 | 日々雑感、散策、旅行

 麹、酵母、酵素などについては、これまでもモヤモヤしていて、一度調べたこと
がありましたが、今一つスッキリとしていないところに、このところ「紅麹」を
使用したサプリが健康被害を出したとのことで大きな話題になっています。

 小林製薬が製造・販売する紅麹の成分を含むサプリメント「紅麹コレステヘルプ 」、
「ナイシヘルプ+コレステロール 」、「ナットウキナーゼさらさら粒 GOLD」を
摂取した人が腎臓の病気などを発症し、4月14日現在で、「医療機関受診者1381人、
入院した人231人、死亡者5人に上っています。因果関係はまだ特定されていません。」
(小林製薬が厚労省に報告)とあり、調査・検討が進められているとあります。

     問題となったサプリメント 
       (消費者庁HPより)

 農水省の記事に『 醤油や味噌、日本酒など、日本の伝統的な発酵食品に使われ
る「麹」は、「紅麹」と名前が似ていますが、異なる種類の生物(カビ)を利用
して作られたものであり、違うものです。

  麹は、穀類にアスペルギルス属の菌(主に、Aspergillus oryzae、Aspergillus
sojae、Aspergillus luchuensisなど)を増殖させたものであり、紅麹は、穀類に
モナスクス属の菌を増殖させたものです。』 とあり、専門的に難しいですが、
要するに別物であるということのようです。

 プレジデント誌によれば、それが今回、機能性表示食品の一環として販売されて
いるけれども、有効成分として入っている物質の本体は医薬品なのだそうです。
 医薬品が医薬品名で届けたら認可されないのに、医薬品を含む総称名ならば機能
性表示食品としてOKというのも合点が行かないところであると指摘しています。
そして、製薬会社である小林製薬は、このことをよく知りながら、医薬品に近い
効果を示す量を含むモノを、食品として売っていたところに、悪質さを感じざるを
得ないといっています。
 実際、小林製薬の紅麹サプリでは、紅麹原料を作る段階の工場はGMP準拠(Good
Manufacturing Practice、「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」)でなかっ
たことも明らかになっているそうです。

 

 それで、これまでもモヤモヤしていた麹菌や酵母菌、酵素などについて、丁度
1年前(2023.4.12)の拙ブログに記事アップしていますので、再掲になりますが、
一部割愛などして以下にコピペしました。

              

 そもそも、麹菌、酵母菌、酵母とは何か? 先ず、生物界は、原核生物と真核
生物に分類され、前者は原核生物界を形成しバクテリアなどの細菌類が属し、真核
生物には、原生生物界、植物界、菌界、そして動物界に区分され、いま求めるもの
は、この菌界すなわち菌類に属しているのです。

 菌類のうち真菌類は、純正菌類と藻状菌類に分かれ、後者の藻状菌類には毛カビ、
クモノスカビなどがあり、純正菌類には、マツタケやシイタケが区分されています
が、麹菌はさらに細かく分岐して真正子嚢菌に属する糸状菌だとあります。

     麹菌
       (ネット画像より)

 随分深い分類の中にありますが、この麹菌の大きさは0.15㎜程度で肉眼で
見える大きさだそうです。そしてその形状は図のように「じょうろ」のような
形をしているのです。このじょうろはアスペルギルスと呼ばれ、最も有名な麹菌
はアスペルギルス・オリゼー すなわち「黄麹菌」「ニホンコウジカビ」
で、日本
酒、焼酎、味噌、醤油、甘酒、味醂、米酢が作られているのです。

      コウジカビの構造模式図
       (ウイキペディアより)

 麹菌は、日本、中国、東南アジアなどの国にありますが、日本酒など多くの
発酵食品をつくる「黄麹菌」は日本にしか生息していない、そして泡盛をつくる
「黒麹菌」は沖縄にしか生息しないとあります。焼酎も黒麹菌で作られ
ます。

 これら日本の麹菌は米で作られますが、中国やその他のアジアでは、麦やコー
リャンを原料としとしてクモノスカビを植え付けた「餅麹」が使われ
ています。
紹興酒、老酒などです。

                

 麹は、米、麦、豆などの穀物に糸状菌、かびが生えたものすべてを指しますが、
713年にはすでにその存在は確認されていたようです。蒸した米を神棚に
供えて
おいたらそこにビが生えそれを「カムタチ」→「カウチ」→「コウジ」と
呼んだ
そうです。
 「麹」という漢字は、奈良時代初期に唐から伝来したとあ
りますが、その後中国
では「麹」ではなく「曲」というそうです。で、日本
では麹は米から作るのになぜ
麦篇の「麹」を使うのか?ということから江戸
末期には「糀」という漢字を作った
とあります。

         麹
           (ネット画像より

 

 醤油は麹を使って作られますが、これには「穀醤(こくびしお)」「魚醤」
「草醤」「肉醤」の4種類が奈良時代にはあったそうです。 穀醤は、小麦や
大豆の醤油で現在ありますが、魚醤は、秋田の「しょっつる」石川の「いしる」
などがあります。草、肉の醤油は今はないそうです。

 味噌はどうか? 味噌も奈良時代からあったそうです。で、味噌は、米味噌、
麦みそ、豆味噌がありますが、いずれも大豆で出来ており、米味噌は大豆に米麹
をかけて発酵させたもので、麦みそは、麦麹、豆味噌は豆麹を大豆にかけ
て発酵
させたものなんですね。

 黒酢は、米麹(黄麹菌)を蒸した玄米に入れて作るそうです。 また鰹節
「鰹節菌」という麹菌を使って作るそうです。

     

 麹菌の工業利用について簡単にご紹介します。 麹菌は様々な栄養源を菌体内
に取り込み、菌体外には様々な酵素を分泌します。

 この酵素が強力な分解力を持っているので、酵素製剤として利用されています。
 澱粉を分解してブドウ糖をつくるので製糖工場や醸造産業に、たんぱく質を分解
してアミノ酸をつくるのでこのうまみ成分を食品産業に利用し、酵素入り
洗剤にも
利用されています。この他にも活用されている例がありました。

 麹菌や麹そのものを食べることもあります。繊維質が多い中に高分子化合物
あり、腸を活性化する効果があるそうです。 米麹にお湯を加えると甘酒に
なり
ます。甘酒は、ビタミン類やその他の栄養素が豊富な飲み物で「飲む点滴」
とあり
ました。

                

 それで、麹菌と酵母菌と酵素の違いは何か? 整理しておきます。
 麹菌と酵母菌はともに微生物でいろんな穀類に生えるカビであるのに対して、
酵素は、生物ではなくその実態はたんぱく質で、様々な化学反応の触媒となる
たんぱく質なのだそうです。

 麹菌とは、コウジカビというカビの一種で、食べ物をやわらかくする酵素を出す。
また、麹菌はでんぷんをブドウ糖に、たんぱく質をアミノ酸に分解する
働きがあり
ます。麹菌を米や豆や麦につけたものがです。

 酵母菌とは、別名イースト菌と言われる微生物(半子嚢菌類=麹菌より上の分類、
真菌類)の一種で、日本酒の他パン酵母、ビール酵母、ワイン酵母が
あり、糖を
アルコールと炭酸ガスに分解するはたらきをします。

 なお、日本酒用酵母については、日本醸造協会により、酒質の安定向上のために
優れた特徴を持つ酵母を培養し、酒蔵向けに頒布しており、これを
「きょうかい
酵母」と呼び 多くの日本酒は、このきょうかい酵母を使って作
られているとあり
ます。

 発酵とは、微生物(乳酸菌、麹菌、酵母など)のはたらきによって有機物が分解
変化する状態をいい、発酵食品や農業用肥料の製造に用いられています。

 微生物の仲間には、麹菌や酵母の他、乳酸菌、納豆菌,酢酸菌などがあり、いわ
ゆる漬物やキムチなどは乳酸発酵ですし、煮大豆に納豆菌を加えて納豆
ができる
のですね。ただ、漬物の中には、浅漬け、千枚漬け、松前漬けなど
発酵を伴わない
ものもあります。

                

 ウイキペディアに『微生物は人類の生活や人類が暮らす自然環境の維持に、
接的・間接的に古来深い関わりを持っている。一部の微生物がヒトに対して
病原体
として作用したり、食物を腐敗させるたりする半面で、有用な働きも
している。』
とありました。

 お疲れさまでした。

 

 

HAUSER - Bésame Mucho

 

 

 

 


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