蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

キネマの天地  (bon)

2019-08-24 | 日々雑感、散策、旅行

 2~3日前にBSで日本映画を観ました。
 松竹大船撮影所50周年を記念して制作された『キネマの天地』です。上映は1986年
(昭和61年)で、舞台は、松竹が撮影所を大船に移転する直前の 1934年(昭和7~8年)
頃の蒲田撮影所での映画製作を中心とした、当時の映画人の情熱や時代背景を踏まえた
楽しい映画でした。

      (ネット画像より)

 映画は、井上ひさし らの脚本、山田洋次監督で、この映画制作のため、年に2作上映し
ていた『男はつらいよ』(寅さん)を1年間お休みしたそうです。 画面に次々と現れる
キャストは、「寅さん」シリーズでお馴染みの顔ぶれが揃って、まるで寅さん映画の続き
を観ているような感じを受けたのでした。

 当時の浅草帝国館を取り巻く浅草は、娯楽の殿堂が連なり大勢の客で賑わい、映画館内
は、まだ活弁による語りで、トーキーではありませんでした。 カフェやバーなどはいわ
ゆるモダン流行の晴れやかな雰囲気が強調され、反面、地下組織の思想犯とそれを追う
刑事などを織り交ぜた時代背景も強調されていました。

 

 そんな中、『キネマの天地』は、蒲田撮影所での新作品『浮草』(ツルゲーネフ原作)
を映画化するところから、キャスティングなどの紆余曲折を経て、無事完成・成功するま
でを、山田洋次監督独特の時代背景、庶民感覚、人情話などが織り交ぜられた楽しい作品
でした。
      

 「寅さん」映画と錯覚する印象が強く、それがまた愉快で、シーンに出てくる俳優は、
劇中主役で、映画館の売り子から大部屋女優、そしてスターにのし上がる田中小春(有森
也実)以外は、その父・喜八は渥美清、仲良し隣人のかみさんは倍賞千恵子、旦那は前田
吟、その息子に吉岡秀隆、女優役に美保純、それに下條正巳、三崎千恵子、笠智衆、劇中
監督に すまけい、助監督は中井喜一、さらにその他笹野高史、 松坂恵子、松本幸四郎、
堺正章、ハナ肇、桜井せんり、関敬六、佐藤蛾次郎などなどまだ他にも、勢揃いの感が
ありました。

     

 当時の蒲田撮影所は、田中絹代がスターへの一歩を踏み出した頃で、劇中の田中小春は、
田中絹代のイメージだとか、そのような映画製作の黄金期にあり、フィナーレの「蒲田
まつり」での『蒲田行進曲』を歌う、晴れやかな小春、とそれを陰で支えてきた父は、
晴れ舞台となった小春の主役映画を観ながら息を引き取る、そんなコントラストで終わる
のでした。

 映画の歴史が大きく展開し、全盛時代を迎えるそんなエネルギーの一端を残したい映画
人の思いを、蒲田撮影所を中心とした物語に込められているのかもしれません。

      (ネット画像より)

 この映画は、日本アカデミー賞の優秀作品賞、優秀監督賞、優秀脚本賞、優秀主演男優
賞、優秀助演男優賞、優秀助演女優賞、優秀新人賞など総なめにしているのでした。


 ネットの評に、『「キネマの天地」のしみじみとした人情味豊かな人間模様を描いた
映画の感動は、捨てがたいし、当時の日本の文化史の一面を描写していて、記録としても
貴重であると思う。 あの人情豊かな古き良き日本の風物や人生模様は、もう残されて
いないのだろうか? 』の下りがありました。

 

 

 

 

 

 

 


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