利休の茶室日記

侘び寂びを求めて、何を思う

流通革命から平和を

2005-10-05 | 出会った本
野田正彰先生の「経営者人間学」(ダイヤモンド社)という本があります。
1988年1月初版発行となっていますので、かれこれ18年以上も前に書かれた本です。
野田先生が15名の著名な経営者にインタビューを行って、サブタイトルとなっている「リーダーはいかにして創られるか」をテーマにまとめ上げられています。

一番に登場するのが、先日他界された中西功(こうは、エに刀)さん。
すでにダイエーが業績悪化後のインタビューです。私財を投じて流通科学大学を創設し、アジア、アフリカからも留学生を受け入れ、国際舞台で活躍する流通の専門家を養成することにより、中内さんが「流通から暮らしと命と平和を守る」ことをめざしたいと語っています。

「先進国は食卓の半分は捨てとる」
「途上国の流通過程では、産地から消費地まで運ぶのに半分は捨てとる」
「だから流通の近代化が世界規模で進めば、世の中、少しはよくなるだろう」と。

ダイエーは創業から30年たち、巨大化。組織的なオペレーションなど近代的な経営手法が導入され、中内さんの情熱的な行動の根源にあった、自分と企業(構成員)との流通革命のための同志的一体感は失われつつある。
だから青年期の”志”の世界へ立ち戻ろうと、流通科学大学の開校をめざしたのだ、と野田正彰先生は分析しています。

私は、その後の18年間の歩みを知りませんが、
中内功さん、どうぞ安らかにお眠りください。

きっと流通革命から戦争のない平和が訪れることを祈りつつ、
志と人は育っていることでしょう。