Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2022年12月号 カクマの環境改善のための大掃除とゴミのリサイクル 

2023年08月23日 | 健康
by トロッサ・アスラト/ KANERE ボランティア記者

2019年、カクマ難民キャンプの難民は、環境を清潔に保つための廃棄物管理事業を試験的に開始した。難民主導の開発統合クラブ(FRADI)が環境の持続性を基本理念に、カクマ2で地域の環境と健康を守るためのリサイクル事業を始めた。廃棄物を使用可能な製品に変換することによって、社会・環境・気候という差し迫った課題に乗り出したのだ。


【写真】 環境:カクマの大掃除――トロッサ・アスラト撮影/ KANERE

「6年前の2013年にも、キャンプの廃棄物汚染を減らすため、地域密着型の同様の事業が動き出したが、廃棄物処分場が不足し、立ち消えになった」とラファエルは回想する。

廃棄物のリサイクル
現在、400人以上の女性と11人の身体障害者が、プラスチックと非分解性製品を収集しリサイクルすることで自らの環境を守っている。リサイクルとは、廃棄された物を利用可能な製品に変える方法である。このチームは毎朝カクマの4つのキャンプとカロベイエイ居住区の3つ村で、各ブロックごとに廃棄物を集めることからリサイクル作業を始める。収集される廃棄物の主なものは、プラスチックの椅子、アルミ缶、ガラス瓶、紙、木材、プラスチック製品などだ。彼らは集めたものをカクマ2ブロック2に運び、種類ごとに分ける。

「カクマはとても汚れているので、私たちが率先してきれいにし環境を守ろうと地域社会に働きかけてきました」とラファエル・バシマは言う。彼は、2009年にコンゴ民主共和国から逃れてきた難民でプロジェクト・マネージャーである。「主な懸念は衛生環境です。私たちは炭素を過剰に生成するプラスチックなどの廃棄物を減らして気候変動を抑えようと努力しているのです」とも言う。

リサイクルは新しい原料を調達・加工するのに必要なエネルギーを減らせるので、炭素の排出量を下げることになる。またゴミ廃棄場から出るメタンの放出を抑える可能性もある。

カクマ難民キャンプは、設立以来30年にわたり環境と人間にとって有害な廃棄物をため込んできた。廃棄物処分場はFRADI のような組織にとって大きな問題だった。当キャンプの最大収容人数は7万人だが、2022年8月には居住者は20万人を超えた。そこで、トゥルカナ郡政府は難民と受け入れ地域の住民を統合する新しい居住区をカクマの北西40kmの場所につくった。「特にサブキャンプの処分場不足が大きな問題だった」とラファエルは言う。

FRADIは郡政府からカクマ2の1ヘクタールの土地を、また難民サービス部門からカロべイエイ・プロジェクト用にビレッジ1の1ヘクタールの土地を追加で確保できた。昨年、FRADIは活動地域を、カクマと受け入れ住民が暮らしているカロべイエイ・タウンに広げた。

FRADの活動は、カクマ、カロべイエイおよびその周辺の町のプラスチック廃棄物削減に大きく寄与した。「2019年11月にプロジェクトを開始して以来、10トン以上のプラスチックがリサイクルされ、生活環境が改善し、メンバーは収入を得られるようになった」とラファエルは付け加えた。

FRADは、リサイクル技術を駆使して地域社会のニーズに応じた製品を開発している。新たにリサイクルされた製品には、釘、カップ、皿、学習用定規、コロナ用マスクをはじめとする防護製品等がある。

現在、当組織にはプラスチックのリサイクルに使用する2台の加工機械がある。溶解・形成してプラスチックを価値ある新製品にリサイクルし、難民の地域社会に転売できるようにしている。リサイクルされた製品の販売から生じる収入は、活動費用やメンバー500人の収入になる。FRADのメンバーの大半はさまざまな国籍の難民女性である。FRADはこれまでに、ナイロビの会社8軒に38トンもの準リサイクル資材を販売した。


【写真】カクマの環境整備――トロッサ・アスラト撮影 / KANERE

ラファエルによると、FRADIは廃棄物を管理することで毎月収入を得ているという。しかし収入を得るのは容易ではなかった。当初、女性メンバーは難民社会から文化面での激しい抵抗に遭った。プラスチックを集めることに関して、「みんなにからかわれたり馬鹿にされたりしました」。土壌の浸食、洪水、強風に対処するため、FRADI は2022年、難民キャンプと難民を受け入れている地元の村に5000本以上の樹木を植えた。カクマと新たな居住区には20万人以上の難民が暮らしているので、薪の需要が高まり、液体や固体の処分場所が足りなくなり、水が不足するという問題が出てきた。カクマにしてもカロべイエイにしても、資源が乏しいところに多くの難民が住み始めたので、樹木、土地、水および野生生物に一層の負荷をかけている。

「持続可能な17の開発目標(SDGS)が決められている――ある地域で行動すると結果的に他の地域に影響が及ぶ。そして開発は社会・経済・環境が持続するようにバランスをとらなければならない」と国連開発計画(UNDP)ケニアは述べている。

樹木は酸素と混じりけのない炭酸ガスを産出する。命は樹木なしには続かない。また樹木は大気中のほこりを取り除きスモッグを減らすので、我々が吸いこむ空気が良くなり、呼吸器状態が改善する。空気の質を上げるという樹木の働きは、我々が樹木から受ける最大の恩恵のひとつである。FRADIはこれまでに、マンゴー、アボカド、パパイヤなど9000本以上の木を地元の村に植えた。4月22日の「世界地球の日」には地球上に投資するというテーマを思い出しながら、地元の村々に100本の木を植えた。


気候変動という差し迫った問題が続くなかで、FRADIのようなインパクトのある難民主導の草の根組織を支援することは、気候変動への努力を続けるのに最良な方法といえる。気候変動に立ち向かう個人個人の行動が集まれば、いずれ大きな影響力になると言われる。個人の行動に関する国連のキャンペーンによると、世界の温室効果ガス排出の3分の2は個人の世帯から出ているため、我々の食事、旅行、および電気の使用方法を変えることで効果が期待される。

この活動の課題について、「現在当組織がかかえる問題は、地元の銀行からの資金獲得です。銀行は担保に資産を要求してきますが、FRADIは地元の銀行に担保として差し出せるような資産を持っていないのです」とラファエルは言う。

FRADIはこのインタビューの間、カクマ・カロべイエイ・チャレンジ・ファンド(KKCF)を通じて、地元と難民の若者たちに2000件の仕事を提供する一方、当地域に人工林をつくるため1万本を植樹するための500万ケニアシリングのローンを要請した。これはインターナショナル・ファイナンス・コーポレーション(IFC)のプログラムで、アフリカ・エンタープライズ・チャレンジ・ファンドと共に実行される。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿