Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2010年6月号 難民フリープレス「KANERE」の厳しい立場:記者が経験した報道の自由と人権への露骨な攻撃

2010年11月17日 | 人権
KANEREによるニュース報道の現場は、今年の初めから急に動きにくくなっている。これは難民にとって危険な兆候だ。カクマキャンプの難民は、フリープレス(自由新聞)で自分たちの権利を主張し、他からの影響を受けない独立した新聞を通して生の声を伝えることを願っている。キャンプでは、KANEREのジャーナリストの保護と安全が危険にさらされている。

2010年3月、KANEREの記者は各種の脅威や危険に直面し、基本的な安全が妨げられ、報道活動が停止する事態になった。

一例として、昨年の11月、KANEREの編集長は顔見知りの男3人に襲われ、家を破壊された。この襲撃で、編集長は大切な個人の持ち物と書類を失った。ケニア警察への報告と提訴、及びUNHCR当局への裁判の申し立てにもかかわらず、編集長の事例は、裁判所で取り上げられずにいる。本件の詳細な報告は、“All Africa”(http://allafrica.com/stories/201003220456.html)に記載されている。


3月19日、UNHCRとLWF(ルーテル世界連盟)の警備主任、UNHCRサブオフィスの所長、KANERE編集長が非公開で会合を持ったが、UNHCRは、KANEREやその編集員たちといざこざが起きたことを認めようとしなかった。

UNHCRのサブオフィス所長は、会合を呼びかけるに至った全体の状況を話し、LWFの警備主任に、なぜLWFがKANEREのリーダーたちを探していたのか説明するように求めた。この会合では、UNHCRもLWFも共に、国外からキャンプに入ってくる個人的な訪問者の存在に注目していて、訪問者たちはKANEREと関係があるに違いないと疑っていた。

彼らは、2010年の2月にエチオピア出身の一人の訪問者がいたことを問題にした。当局は、その訪問者が難民にお金を配っていたと主張したが、そのような訪問者についてKANEREは全くあずかり知らない。KANEREのリーダーたちが、この件に関してLWFの警備主任に呼び出された理由も定かではない。

UNHCRやLWFにより報告のあったエチオピア人訪問者については、エチオピア・コミュニティーの会長がKANEREのジャーナリストに話をしてくれた。会長は、訪問者がキャンプから追い出されたことを憤慨していた。訪問者は親切な支援者だったという。「彼はフランコホテルで、難民のために食べ物をを注文して無料で配り、クリスマス休暇のためにと言ってお金を寄付してくれた。ただ、我々も彼の目的は知らない」

LWFの警備主任は、警備スタッフにKANEREの指導者を探すよう指示はしたが、KANEREの指導者には何の問題もなかったとも述べた。彼のスタッフが判断を誤り、編集長や編集員といざこざを起こしてしまったとのことだった。「我々とKANEREの間には何の問題もない。調査し明らかにするように命令しただけだ」と警備主任は言う。

警備主任のこうした陳述は我々に協力的に見えるが、編集者たちにこの会合への出席を強要したやり方には憂慮している。KANEREのリーダーを呼び出そうとしている段階で、LWFのスタッフはエチオピア・コミュニティーの会長に、KANERE編集員に会った訪問者がいたのでケニア政府とUNHCRはKANEREに疑惑を抱いていると話しているのだ。

会合の終わりに、KANERE編集長は、彼自身の安全と編集員の保護のため、警備を強化するよう要請し、「私は、自身の身の安全と保護を求めるとともに、このキャンプ全体の状況を懸念している」と述べた。編集長は警備当局に対し、今回彼への襲撃に関わった6人の加害者の名前を挙げて、これらの難民が2度とKANEREに近づいて問題を起こさないよう要請した。彼はまた、編集長襲撃事件は正式に提訴しているが裁判が遅れているので、UNHCRは、裁判に関する法律に従って、編集員の法的保護を確実にする手段を講じて欲しいと頼んだ。

3月29日午前11時ころ、編集長は、KANEREの元記者から電話を受けた。カクマの難民問題担当局(DRA)でケニア政府の職員に脅迫された。彼に関する詳細な情報が示され、KANEREの報道活動に関与することについて警告されたという。DRA職員は、彼と仲間たちが続けているKANEREの活動を停止しない限り、国外追放に匹敵するような処置がなされるだろうと脅迫したようだ。

「DRA職員は、私を指さし、命令し、難民登録番号などの個人情報に関して尋問してきました。お前がキャンプでやってきたことで、国外に追放することだってできるんだと言われました」KANEREの元記者は、脅迫を受けた30分後のインタビューで、こう話した。

この40分後、3人のKANEREの編集員が編集長と一緒にエチオピア・コミュニティーのレストランにいたところ、変種長にケニア警察の刑事から脅迫めいた電話がかかり、理由も告げられずにカクマ警察署に出頭するようにと命じられた。刑事はさらに「編集長本人が、今日中あるいは遅くとも明日の午前9時までに署まで必ず来るように」と言った。

脅迫と逮捕の危険を感じて衝撃を受け、KANEREは直ちにUNHCRの保護職員に電話をして、救援を要請した。しかし職員は助けてくれなかった。DRAの事務所にも通報したが、何の対応もしてくれなかった。警察が編集長を捜索している状況で、他の記者たちも、しばらくの間業務を停止した。本件については、UNHCRが近々KANEREとのミーティングを計画していて、まだ未解決のままだ。

KANEREの編集者たちは、こうした状況に不満を募らせている。編集者たちは、自分たちの報道が自由で独立したものであるように願っている。地元の人道支援団体は、いつも、話すことと実行することがかけ離れている、現場での脅迫的な言動とは全く逆の、安心させるような、口先だけのメッセージを伝えてくる。これら一連の出来事は、KANEREの活動を甚だしく妨げている。編集者たちの個人の命を危険にさらすだけではなく、独立した活発な報道を目指すKANEREの理想達成をも遅らせている。我々は、UNHCRと地元支援団体に対して懇願する。難民フリープレスを支援してほしい。人権を尊重してほしい。難民ジャーナリストがキャンプにより開かれた社会を創設していけるようにしてほしい。最近の手強い妨害にも関わらず、KANEREチームは、報道活動を通して、難民に関する公正で公明な議論の場を提供していくべく、懸命に活動を続けている。


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