Kakuma News Reflector 日本語版

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翻訳:難民自立支援ネットワークREN
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2016年2月号 「難民」という言葉 by アディス・アズナト

2016年04月19日 | 寄稿
ある日、私が受け持つ中学部の英語クラスの生徒に、「beauty」という英単語を知っているかと尋ねた。彼らは知らないと答えた。「それじゃあbeautiful は?」と聞くと、今度は「知ってる!」と皆一斉に答えた。次に、私の一番近くにいる生徒に、いつからこの言葉を知ってるのと尋ねると、少し間を置いて、5年くらい前だよと答えた。

私たちの誰もがおそらく、何かしら特別な言葉を心にしまい込んでいるだろう。ユニークな出会い方をし、いつでも思い出すことのできる言葉だ。

私にとって、『難民』という言葉がまさにそれだ。いつまでも忘れられない言葉。この言葉に出会ったのは1990年9月。それが今では、世界中にいる何千万という人々にとっての『アイデンティティ』や『肩書き』にもなっている。

エチオピアのアディスアベバ大学の学士課程に入学した最初の年の最初の学期、大学図書館の定期刊行物コーナーに行って、雑誌を読んでいた。New Africanという雑誌を読んでいるとき、「難民」という言葉が目に付いた。その意味を知らなかったから、学習者用英語辞典を手に取って調べてみた。定義には、現在UNHCR によって使われている難民の地位を指す言葉、とあった。あの時の私は、難民になるなんて日が、自分の人生に起きようとは、夢にも思わなかった。

その翌年、エチオピアとケニアの国境付近のモヤレという町で、自が難民と呼ばれる身であることに気付いた。その根拠は、あの辞書の定義の中に2つ3つ書かれていた。今、私はこの言葉を学んだ記憶にとどまらず、「難民」という「アイデンティティ」を持ちながら、20年もの間、一人の難民として人生を歩んでいる。


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