2013年12月号 ケニア難民協会（RCK）主催の法律意識向上フォーラム

ケニア難民協会（RCK)は、カクマでの16日間にわたる性差別撲滅運動の時期に合わせて、法律意識向上フォーラムを実施した。

ケニア難民協会（RCK)はケニアのNGOで、1998年にケニアや東アフリカ地域の難民や庇護希望者の権利を保護、促進するために設立された。その後、難民キャンプ内に場所を移して、難民のために無償の法律相談を続けてきた。カクマに移動したのは2010年。それ以来、難民認定（RSD)手続きが行われる期間中、難民に助言や専門的な意見を与えている。

さらに、難民はしばしば、物事を知らなかったために犯罪の被害者になったり、出身国以外の場所で罪を犯した場合の重大性を理解していなかったために困難に陥ったりする。ここ10年以上、難民個人や団体は、多くの裁判に係わってきたが、法律専門家がいないために惨めな判決結果に苦しめられてきた。しかし最近は、RCKの活動のおかげで状況はかなり改善されてきた。

RCKは、キャンプ来てからずっと倉庫に収容されたも同然の生活を送ってきた難民の権利を擁護することに注力してきた。また、キャンプの支援スタッフ、ケニア警察の人道的難民対策部門、難民リーダー、コミュニティーのメンバーなどを対象に、難民法やその他の法律について、教育を行ってきた。


【写真】　意識向上フォーラムの参加者

今年のフォーラムは、キャンプの9つのゾーンすべての居住者を対象にした。それぞれのゾーンで、ゾーンリーダーが事前調整し、ゾーンのニーズに合った形で実施された。あるゾーンでは、性差別による暴力（SGBV)がクローズアップされた。他のゾーンでは、家庭内暴力、薬物乱用、有害な文化習慣などが話題となった。

キャンプの住民は、閉じ込められた区域に住み、10年以上もそこが我が家となってきた。長期の居住にもかかわらず、彼等は権利、義務、責任などについて知らされてこなかったあらためて知る権利を与えることで、RCKはこうしたギャップを埋めている。　「このフォーラムは、難民の中でも特にキャンプに新たに来た人たちを対象に、難民法に基づく法律や権利、義務を教えていく」と、　RCKカクマのプログラムマネージャー、マルティン・ペペラ氏はカネレに語った。

〈16日間の性差別撲滅運動〉
16日間の性差別撲滅運動は、女性に対する暴力撲滅国際デーである11月25日に始まり、国際人権デーである12月10日まで続けられる、国際的キャンペーンである。16日にもわたるこのキャンペーンの目的は、地域レベルであれ、国際レベルであれ、難民キャンプでの性暴力は人権に対する侵害だという意識を高めることである。今年のテーマは、「家庭の平和から世界の平和へ：軍国主義に立ち向かい、女性への暴力を終焉させよう」だった。

難民キャンプの居住区では、性差別による暴力（SGBV)や家庭内暴力が頻繁に起きている。カクマでのSGBVの殆どは、少年や男性による少女や女性に対するものである。しかしながら、年を経るにつれて、性差別による犯罪の割合は減少している。これは、保護システムが有効に作用し、安全や快適さをもたらす法律の強化により、キャンプに透明性がもたらされてきているためと思われる。

〈意識向上セッション〉
キャンプの9つのゾーンすべてで、少なくとも1日の意識向上フォーラムが開かれた。この意識強化期間中、難民は、難民法に記載されている難民の権利について、本当の知識を身につけていった。


【写真】　配付された難民法のコピー

難民たちは、彼らのほぼすべての質問や疑問への答えをもらい、生き生きとした討議ができた。2006年のケニア難民法のコピーが全、すべての参加者に配られた。難民法の小冊子は、カクマで最もよくつかわれる4つの言語、つまりスワヒリ語、英語、ソマリ語、オロモ語に翻訳されている。

ほぼすべてのフォーラムで、参加者は大きく膨らんだ。どのフォーラムも、参加者は100人程度と予測していたが、多くのところでその2倍以上であった。カクマ１ゾーン２やカクマ3では、参加者が多すぎて隙間が無くなり、ホールの隅から隅まで使って討議が進められた。

「もしできることなら、RCKにお願いして、来年はもっと沢山のセッションを開いてほしい」と　南スーダンの難民リーダーが懇請した。

RCKがカクマ住民への弁護活動や法律支援を始めた3年前までは、難民は無料の法的支援など受けられなかった。「難民コミュニティーは、ケニアの難民の権利を保護し、共に戦ってくれるRCKの献身に心からの感謝を捧げます」　コンゴ人の　ゾーン３のリーダーはこう評価している。

難民コミュニティーによると、カクマでのRCKの活動は、キャンプ内での法的支援や偏見のない対応で民主的な管理を展開し、難民の権利向上にも前向きな影響を与え始めている。