Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2020年11月号 “ウィルス”。スピーカー付き自動車。それにまつわる話 /カネレ・ゲストライター:シャーリー・オウェンガ

2021年01月23日 | コミュニティーとカルチャー
【写真】近隣のホストコミュニティにいたマスクをつけた子ども。カロベイエイのヴィレッジ1でKANEREによるラジオ放送中に。撮影:2020年KANERE 

ケニアの難民キャンプと言えば、食料を運ぶキャンタートラックの音、ごついテントを吹き抜ける風、あちこちに草が生えている埃っぽい広大な野原、古着を着てその場しのぎの遊びをする無数の子どもたち、といったイメージがあるかも知れない。

あなたが抱いているイメージがそうだとして、そのことを非難するつもりはない。なぜなら、それが主要なメディアによって伝えられているイメージだからだ。しかし、活気のある国際的な風景という別のイメージもある。カクマキャンプと近隣のカロベエイ居住区は、トゥルカナ郡カクマ市のはずれに位置しており、そこでは約20万人の認定難民および庇護希望者から成る少なくとも22か国の人たちが暮らしている。そこは活気のある国際的な地域であり、活発な経済活動を行っている。

しかし、キャンプの住民たちは市場をすぐに利用できる一方で、情報不足に直面している。多くはフェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアから、信頼性の乏しい情報を得るしかない。

コロナウィルスがケニアで猛威を振るい始めたころ、あるアイデアが生まれた。これはその後、アルジャジーラやグローブ・アンド・メールといった国際的なメディアの注目を集めることになる。

難民の人々に必要な公衆衛生情報を提供するために、GIZ市民平和サービスは、ナイロビのKCOMNET(Kenya Community Media Network)のUmoja Radio for Peaceチームとファクトチェックデスク、カクマのKANERE(Kakuma News Reflector)、カロベエイのRefugee radio REF FMと協力し、オフライン放送による奉仕活動を実施した。

“昔の学校”のようだが効果的な戦略だ。持ち運び可能な発電機から電源を供給し、スピーカーを取り付けた車で居住区を運転して回りながら情報を発信するという計画だ。スピーカーからはファクトチェックされて翻訳されたコロナウィルス防止に関する情報や、ケニア政府からの最新情報、そして保健省が推奨する安全基準などが放送された。


【写真】カクマの4キャンプとカロベイエイを放送してまわるKANEREチームのスピーカー付き自動車“ウィルス”

放送は数か月に渡って実施された。オフライン放送に参加したカクマの難民コミュニティのリーダーであるヒボは、キャンプ内の彼女の地区で、この車上番組による影響がどんなものだったか説明してくれた。

「スピーカーには多くの人が集まるので、特に活動の初めの頃は人々にソーシャルディスタンスを保つよう気づかせるのが必ずしも簡単ではありませんでした。でも時が経ち、推奨された安全策の重要性を学び、習得するにつれ、皆ソーシャルディスタンスを守り、外ではマスクを着用し、定期的な手洗いを実施するようになりました」

現在は、カクマ住民に対する精神衛生及び心理社会的支援に重点を置いた第2段階の介入活動に乗り出している。これは、新規感染事例の発覚に加え、トゥルカナ郡、特にキャンプの中における移動の停止、事業停止による収入減、物価の急激な上昇といった社会経済の変化を受けてのものである。

コロナウィルスの心理社会的影響に対処するに際して、意識改革に沿った健全な対処法を進めていくことが極めて重要になると信じている。


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