滋賀県東近江市、蒲生平野の唯中にある。この辺りは大小の山峰が多数散在して独特な景観をみせている。琵琶湖の水位が高かった古代においていずれも島だった事が覗える。平野の中に唐突に現れる山々の姿は古代人の信仰の対象として崇められていたのだろう・・・。中でも箕作山の南に張り出した太郎坊山の岩山は特異な印象でご神体山信仰の象徴とも語られる山である。
この山は太郎坊宮(阿賀神社)のご神体で、赤神山とも呼ばれる。創祀は約1400年前、推古天皇の御宇 聖徳太子が当地「箕作山」に瓦屋寺を建立された時、当地の霊験が顕著であることを聞き、国家の安泰と万人の幸福を祈念されたと言われている。
山頂直下には太郎坊宮(正式名は阿賀神社)が祀られている。神道に天台宗、修験道の信仰が相交わった信仰形態のもとに今日の太郎坊信仰道が確立された。
夫婦岩:本殿の前に高く聳え立つ高さ数十メートルの二つの巨石は、別名「近江の高天原」とも唱えられ、その昔大神の神力を以って巨石を左右に押し開きおつくりになったものと伝えられる。この間を通って参拝するものは、即座に病苦を除き諸願成就されるが、悪心あるものは「岩に挟まれる」と言われる。心が引き締まり、一種の尊い霊感を覚える神秘的な存在。
見るからに神秘的な霊山は神体山信仰、磐境信仰発祥の地と言われている。従って磐境信仰の定型である山上には奥ツ磐座があり、山麓には奥宮を遠望でくる場所に巨大な磐座の辺ツ磐座と祭祀場もある。
太郎坊と呼ばれるのは神社を守護している天狗さんのお名前で、鞍馬山次郎坊の兄とも呼ばれます。勝運授福の神として霊験あらたかな神様ですが、特に地鎮祭などにはバリバリお力を発揮して頂けそうな心強い庶民の味方の神様です。