2024年2月のブログです
*
小澤征爾さんが亡くなられた。
翌日の「朝日新聞」第2面全体に村上さんの追悼文が載った。
すばらしい文章。小澤さんとの楽しい思い出や貴重な思い出が、温かく、綴られていた。
そこには、子どものような、率直な姿の小沢さんが描かれていた。素敵な文章だった。
しっかりとした「喪」の姿がそこには表れていた。
そこで、じーじも、本棚の横に積んであった本書を読んで、喪に服そうと思った。
小澤征爾・村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(2011・新潮社)。
悲しいときは、十分に悲しむことが大切。そうでないとこころが壊れてしまう。
そして、本書を読むことで、小澤さんと村上さんの素敵なおつきあいを思い出したいと思った。
本書を読むのは、たぶん3回目か4回目。5年に1回くらいのペースで、じーじの読み方としてはまあまあ。
めずらしく(?)中身も少しだけ覚えていた。
以前、どこかにも書いたような気もするが、村上さんの質問で小沢さんの記憶がどんどん思い出される。良質のカウンセリング見ているようだ。
村上さんの質問や発言で、小沢さんがびっくりする場面があり、小沢さんが新鮮に考え出す様子は刺激的だ。
記憶に新たな意味が付与される瞬間を見ているような興奮を覚える。
時に子どものような小澤さんの姿が見られて楽しい。
本当に率直な人なんだなあと思う。
一方で、村上さんが心配するように、病み上がりなのに、音楽を愛するあまり、休みなく働きすぎたのかもしれないとも思う。
しかし、それも男の生き方の一つかもしれないとも思う。
偉大で、しかし、少しだけお茶目で子どもっぽい小沢さんの姿を堪能できて、悲しいけれど、幸せな数日だった。 (2024.2 記)