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柄谷行人『講演集成1995-2015 思想的地震』2017・ちくま学芸文庫

2023年10月18日 | 随筆を読む

 2017年のブログです

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 柄谷行人さんの『講演集成1995-2015 思想的地震』(2017・ちくま学芸文庫)を読みました。

 本の帯には、大いなる破壊の後に、思想は何を語れるか?とありますが、2011年の東日本大震災による被害を受けて、柄谷さんが考えたこと、語ったことが集められています。

 柄谷さんの本はこれまでにも何冊か読んでいますが、なかなか難しい本が多く、そんなにたくさんは読めていないのですが(柄谷さん、ごめんなさい)、今回は講演集なので、少しは読みやすいかな、と思って、手に取りましたが、やっぱり難しかったです(再び、ごめんなさい)。

 そんな中で、しかし、印象に残ったことを一つ、二つ…。

 まずは、東日本大震災で大勢の死者が出たことは、柄谷さんにとってとても大きな衝撃だったようで、講演の中では、それ以前の大震災や戦争などによる被害も含めて、それらの被害を踏まえた考えの変化などについて触れられています。

 大勢の死者の存在が、楽観を許されない現実の再認識を促し、柄谷さんの思想にとって、大きなインパクトになっているようです。

 また、ギリシアの政治から民主主義のあり方を論じたところでは、議会と広場での討論を比較して、草の根の民主主義(柄谷さんはそうは言っていませんが…)の大切さに触れているように思います。

 そして、議会だけでなく、広場での討論やデモの大切さを再確認しています。

 ここはたいへんに勉強になりましたし、今後ももっと思索を深めたいと思いました。

 一つだけ不思議に思ったのは、柄谷さんが村上春樹さんをあまり評価していないところ(?)。

 お二人とも、反権力、反官僚制、戦争反対などと、考え方が似ていると、じーじなどは思うのですが(村上さんは声高には述べませんが、作品の底流にはそういう邪なる力への闘いが読み取れると思います)、初期の村上作品の作風のせいか、柄谷さんは少し距離を置かれているように感じます。

 そこがちょっとだけ不思議な感じがします。

 しかし、じーじにとっては、お二人とも大切な存在。

 今後も目を離さずに、注目をしていきたいと思います。 (2017 記)

 


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