ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

荻原浩『花のさくら通り』2015・集英社文庫-『オロロ畑でつかまえて』、『なかよし小鳩組』、そして……

2024年09月14日 | 小説を読む

 2020年8月のブログです

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 荻原浩さんの『花のさくら通り』(2015・集英社文庫)を読みました。

 これも旭川の本屋さんで見つけました。

 面白かったです。

 そして、いい小説です。

 ユニバーサル広告社という小さな広告会社をめぐる小説で、『オロロ畑でつかまえて』『なかよし小鳩組』に続く第3弾。

 前2作もとても面白い小説でしたが、今回もすごいです。

 今回はある商店街が舞台ですが、主人公だけでなく、その他の登場人物がとても生き生きとしています。

 商店街の変革をめぐるドタバタ劇は、やはり組織と個人の問題や生き方の問題に繋がっていて、じーじには結構、重いテーマですが、荻原さんは一見軽快に描きます。

 加えて、主人公と、その別れた妻に引き取られた娘とのやり取りが少しの哀しみをそえます。

 さらには、若いカップルの許されない(?)恋愛、中年男性の生き様、などなど、さまざまな人間模様が展開します。

 荻原さんはこれらを軽快にとても面白く描きますが、その底には深い哀しみや憤りや怒りなどが渦巻いているように感じられます。

 生きることの喜びと切なさ、じーじがこう書くとなんだか陳腐になってしまいますが…。

 ラストがまたいいです。

 良質の映画を観ているようです。      (2020.8 記)

 

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藤山直樹『続・精神分析という営み』2010・岩崎学術出版社-その2・「甘え」と秘密をめぐって

2024年09月14日 | 精神分析に学ぶ

 2022年8月のブログです

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 藤山直樹さんの『続・精神分析という営み』(2010・岩崎学術出版社)を久しぶりに再読しました。

 今回もいろいろなことが勉強になりました。

 特に今回、じーじが参考になったことは、「甘え」と秘密の関係と、自由連想についての考察。

 いずれも鋭いです。

 秘密の問題については、精神分析でいろいろな方が論じていますが、今回、藤山さんは、「はにかみ」と「甘え」いう現象を取り上げて説明をします。

 そして、おとなになるためには秘密が必要であり、それが「甘え」や「はにかみ」の世界に包まれるような関係が大切といいます(それで合っていると思うのですが、間違っていたら、ごめんなさい)。

 一方、自由連想。

 藤山さんは、自由連想は、単に自由に連想をすること、ではなく、自由に連想をしたことを語ること、に意味があるといいます。

 そして、患者さんが治療者に連想を語ることの一方、治療者は連想したことのすべてを語らず、もの想いすることの重要性を説きます。

 改めて、そう指摘をされると、本当に大事な点だな、と思います。

 まだまだ勉強不足で拙い理解だとは思いますが、さらに勉強を深めていきたいと思います。      (2022.8 記)

 

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