ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

「悩み」,「苦しみ」,「絶望」,そして,それらとともに生きること

2024年09月01日 | 心理臨床を考える

 たぶん2011年ころのブログです

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「悩み」と「苦しみ」。

 若い頃は「悩み」がいっぱいあって,毎日が大変でした(もう一度若くしてあげる,といわれても,お断り!という感じです)。

 でも,年を取ると鈍感になるのか(?),少し「悩み」が減ってきて,少しだけ楽になってきた感じがします(それでも毎日がいろいろな「悩み」や 「苦しみ」の連続であることには変わりがありませんが…)。

 「悩み」はこうして乗り越えなさい,とか,「悩み」なんて大丈夫,なんてことはとても言えません。

 しかし,若い時は「悩み」がずっと続いて,「絶望的」になって,先が見えない,と思いがちですが,そうとも限らないのかもしれません(実は六〇近くになったじーじにもまだわかりませんが…)。

 ただ,「悩み」が「苦しみ」に直結するようなことは,ひょっとすると年とともに減ってくるのかもしれません。

 それは単に鈍感になるせいかもしれませんし,周囲からちやほやされるのが減ってくることが普通になるせいなのかもしれません。

 いずれにせよ,少しだけ「平穏」になってくるような気がします。

 あるいはまた,人生にある程度の「諦め」ができるせいなのかもしれなせん。

 ちなみに,「諦め」という言葉は,夏目漱石さんもいうように,もともとは仏教用語で,人生を明らかに観る,という意味だそうです。

 年を取って,いろいろと「諦める」ことが多くなって,それで「苦しみ」が多少とも減るなら,それもいいことかもしれないですね。

 「幸せ」はその先にあるのかもしれません。

 若いさなかのいろいろと敏感な状況にいて,さまざまな「悩み」で苦しんでいる人には,そうはなかなか思えないかもしれませんが,長い目で見ればそういうこともあるのかもしれません。

 そう信じたいと思います。

 いずれにしても,「悩み」や「苦しみ」が全くなくなるということはなさそうです(それでは仏さまです)。

 私たちは人間ですから,「悩んだり」,「苦しんだり」して,当然です。

 大切なのは「悩み」や「苦しみ」があっても、なんとか生きていくことではないでしょうか。

 ごくたまにはいいことがあるかもしれません。

 それが「幸せ」なのかもしれないです。

 「幸せ」とは「悩み」や「苦しみ」が全くない状態ではなくて,それらがあっても,なんとか生きていくことなのかな,とも思います。

 「悩み」や「苦しみ」とうまく付き合いながら,あまり焦らずに,ゆっくりいろいろと考えていきたいなと思います。     (2011?記)

     *

 2020年12月の追記です

 フロイトさんは、耐えがたい不幸を普通の不幸にするのが精神分析、といいました。

 いいかえると、精神分析は不幸と付き合っていける力をもたらす方法なのかもしれません。      (2020.12 記)

 

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佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』2019・新潮文庫-その2・深夜ラジオをめぐる青春物語です

2024年09月01日 | 小説を読む

 2023年秋のブログです

 2019年にブログを書いているのをすっかり忘れていて、また書いてしまいました。少しでも違った視点が出ていれば幸いです。

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 佐藤多佳子さんの『明るい夜に出かけて』(2019・新潮文庫)を再読する。   

 佐藤多佳子さんはご存じのように、『一瞬の風になれ』で2007年本屋大賞を受賞している実力派。

 じーじは映画にもなった『しゃべれども しゃべれども』も大好きだ。

 その佐藤さんが、深夜ラジオのリスナーの青春を描いた小説だ。

 青春といっても、しかし、主人公も周りの人間も少し変(?)。

 主人公は、女性恐怖症(?)の男子大学生で(じーじと同じ)、大学を留年し、コンビニでアルバイトをしている。

 バイト先の先輩や店長などとの生活がリアルに描写されて、とてもおもしろい。

 主人公は、深夜ラジオのファンで、投稿者でもある。

 しかし、昔、投稿をめぐって、傷つくという過去を持つ。

 そこに、ラジオのリスナー仲間がからみ、少し変わった青春物語が展開する。

 かなり変なことが、普通に理解できるような不思議な感じ。

 じーじは、早寝早起きなので、深夜ラジオの世界は全くわからないが、読んでいるとなかなか興味深い。

 新しい形の青春物語といったところだ。

 その中で、それぞれが悩み、少しだけおとなになる。

 本作は2017年に山本周五郎賞を受賞、難しいテーマを重層的に描いてるところが評価されたようだ。

 少し変わっているが(?)、現代の青年のひとつのあり方を描いた力作だと思う。      (2023.9 記)

 

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