たぶん2017年ころのブログです
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精神科医の木村敏さんと作家金井恵美子さんの対談『私は本当に私なのか 自己論講義』を久しぶりに再読しました。
1984年に買って読んでいるようなので、30数年ぶりです。
買った時はまだじーじの臨床の実力が本当に初心者の時でしたので、あまり印象に残らずに今日まできてしまいました(木村さん、金井さん、ごめんなさい)。
今回は違います(?)。そうも言えませんが…。
まず、今回、気がついたのが、作家金井さん相手に木村さんの優しい精神科医ぶり。
診察室での精神科医、木村さんの温かい雰囲気がうかがわれます。
難しい理論を構築される一面とはまた違った精神科医本来の木村さんを見るようです。
もう一つ、気づいたことは、木村さんの精神病理学である臨床哲学の深化の途中経過をちょうど眺められる点。
今ではかなり確立されている木村さんの自己論や生命論が、この本ではまだまだ深化途中の形で、少し荒っぽく、しかし、エネルギッシュに、大胆に、見ることができます。
差異の差異化、場所の自己限定、自己の自己限定、など、懐かしい言葉が並びます。
このような思索と経験の中から木村さんの臨床哲学が進化してきたんだな、と感慨深いものがあります。
作家の金井さんに触発をされて、木村さんはていねいに細やかな考察を行なっており、以前よりは多少は力のついた(?)今の私でも、とてもスリリングに読めました。
今後は30年も放っておかずに、10年くらい内には(まだ生きているかな?)また読みたいなと思います。 (2017?記)
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2023年6月の追記です
木村さんの自己論や生命論はかなり難解ですが、興味深いものがあります。
自己や生命を完全に解明できているわけではないのだろうと思いますが、しかし、方向性は間違っていないような気がします。
少なくとも、精神病の患者さんの自己のあり方を考えるうえではとても参考になります。
今後も少しずつでも学んでいきたいなと思っています。 (2023.6 記)
先日初めて木村敏さんの本を読みましたが、少なくとも今のわたしの状態では全く頭に入ってきませんでした。ただ「臨床哲学」という発想はおもしろいですね。精神科通院歴25年のわたしには、精神科医はもとより、保健師にも、「哲学」の素養を持っていてほしいと思います。まあ、医療に携わるすべての人に、ですね。
「私はほんとうに私なのか?」ですか?
面白そうな本を紹介してくださりありがとうございます。
わたしはこのごろ、わたしはほんとうに「人間」なのか?とよく思います。
「人は人に生まれるのではない、人に成るのだ」と思うようになりました。そしてわたしは「人に成る」時期を持たずにこれまで来てしまったのだなと痛感しています。
読んで下さりありがとうございました。
人に成る、いい言葉ですね。
よく言われますが、人は人との間で人間になる、と。
おそらく、年齢に関係なく、一生涯、人との間で人間になっていくのだろうな、と思って、年老いたじーじ(わたしのことです)も頑張りたいと思っています。