2017年のブログです
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梨木香歩さんの『家守綺譚』(2008・新潮文庫)と『冬虫夏草』(2017・新潮文庫)を読みました。
最初に文庫新刊の『冬虫夏草』を買って、読み始めたところ、これが『家守綺譚』の続編だとわかったので、『家守綺譚』も買って、ひとり旅に持ってきて、一緒に読みました。
とても不思議な小説です。
梨木さんの小説には、不思議な小説が多いですが、これもかなり不思議な小説です。
しかし、読後感は、とても清々しいです。
そう、清らかになる感じです。
舞台は100年くらい前の琵琶湖湖畔の街々と、鈴鹿山中の村々。
文士である主人公と、友人、さらには周囲の人々と動物たち、草花、木々などとの交遊です。まさに交遊。
そして、この世とあの世との交遊もあります。
不思議なおとなのおとぎ話といってもいのでしょうか。
声高ではありませんんが、本当に大切なものはなんだろうかという問いかけがあります。
生きるとは、死ぬとは、弔うこととは、という問いもあります。
こころ静かに、さまざまなことを考えさせられる、いい本です。
旅先で、まさに一人でじっくりと読むのが似合う、いい本でした。 (2017.8 記)