
国連が侵略国ロシアと被侵略国ウクライナを対等に扱い、双方に即時停戦を求める総会決議を挙げる、なんてありえない。
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2022年2月24日にロシア軍によるウクライナ侵略が開始されてから1年まであと1週間。
国連総会は、ロシアによるウクライナ侵攻から1年になるのに合わせて2月22日から緊急特別会合を開きますが、そこで採択される予定の決議案草案は、ロシア軍に対してウクライナからの
「即時、完全、無条件の撤退」
が主たる内容となっています。
そもそも国連自体が、第二次世界大戦までの戦争の歴史を踏まえて結成されたもので、国連憲章ではまず侵略戦争を絶対に許さないことが掲げられています。
プーチン大統領とロシア軍によるウクライナ侵略は、そのような人類の戦争違法化の歴史、国連憲章という国際法の根本に真っ向から違反するものですから、ロシアの即時・完全・無条件の撤退が国連総会の決議になるのは当然です。
米独がウクライナへの戦車提供を決定。ウクライナ戦争はより危険な領域へ。国連憲章に反してウクライナを侵略し、戦争犯罪を繰り返しているロシアのプーチン大統領は直ちに停戦し軍を撤退させるべきだ。
さらに2月15日に国連加盟国に配布された決議案最新版では、ロシア軍によるウクライナのインフラ施設や学校、病院などに対する意図的な攻撃を直ちに停止するよう要請しています。
これらのロシア軍の行為も市民に対する無差別殺戮を禁止する戦時国際法に違反するから当然です。
さらに、この国連決議案では、強制的に連行された子どもを含む民間人の帰還を求めることも盛り込まれています。強制連行の禁止も民間人の保護を定めたジュネーブ条約やジェノサイド条約などに違反する国際法違反行為で、これはもう戦争犯罪です。
そして、この国連決議案では、強制連行のみならず、市民に対する拷問や殺戮などのロシア軍による重大な戦争犯罪については、公正かつ独立した調査と訴追によって責任を追及する必要性を強調しています。
親露派の鈴木宗男氏らが何と言おうが、これが人類が積み上げてきた国際法の歴史からして当然の結論であり、国連加盟国の多くが賛成するのは確実です。

国際司法裁判所がロシアに対し、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置命令(法的拘束力あり)。「ロシアによる武力行使は国際法に照らして重大な問題を提起しており、深い懸念を抱く」
これに対して、2月8日の毎日新聞に、鈴木宗男氏の盟友で親露派の評論家佐藤優氏による
という小論が掲載されたのですが、中身は、最近創価学会へのおもねりが著しい佐藤氏による、創価学会の池田大作名誉会長が発表したとされる「ウクライナ危機と核問題に関する緊急提言『平和の回復へ歴史創造力の結集を』」の紹介です。
佐藤氏は池田大作氏が書いたというこの論文について手放しでほめるのですが、
『この緊急提言で重要なのは、池田氏がこの戦争についてロシアによる侵略という表現を使っていないことだ。
停戦を実現することを現実的に考えるならば「お前たちは侵略国だ」と非難されている状況ではロシアが交渉の席に着く可能性がなくなるからだ。』
と言っています。
しかし、ロシア軍によるウクライナ侵略は誰が見ても侵略ですが、それを侵略と言おうが言うまいが、今やプーチン大統領が停戦協議に応じる可能性など全くないので、侵略という言葉を使わないのは意味がなく、ロシアの蛮行を曖昧化するだけでナンセンスです。
そして、池田大作氏が
『そこで私は、国連が今一度、仲介する形で、ロシアとウクライナをはじめ主要な関係国による外務大臣会合を早急に開催し、停戦の合意を図ることを強く呼びかけたい。
その上で、関係国を交えた首脳会合を行い、平和の回復に向けた本格的な協議を進めるべきではないでしょうか』
と言っている(とされている)ことを、佐藤氏は
「ウクライナ戦争を巡る西側連合の立場は一枚岩ではない。」から「池田氏の提言は実現可能性が十分あると筆者は考える。」
というのですが、冒頭で見た国連総会の決議案の内容を見れば、ロシアとウクライナまで参加した主要な関係国による外務大臣会合など夢のまた夢なのは明白です。
だいたい、一枚岩でない西側がロシアとウクライナを呼んでなぜか一堂に会することができるという池田氏や佐藤氏の主張自体が論理矛盾です。
G20首脳会談の真っ最中にロシアがウクライナに最大規模のミサイル攻撃。ウクライナの迎撃ミサイルがポーランドを誤爆し死者を出し、一時は世界大戦の危機に。
佐藤氏ら親露派はロシアを即時撤退させるのは無理、だから即時停戦というのですが、ロシア軍は撤退はしないけれども停戦には応じる可能性が高いなどという事はあり得ません。
プーチン大統領は2023年1月にあったエルドアントルコ大統領からの一方的停戦の要請に対して
「ウクライナがロシアの要求に従い、新しい領土(占領地)の現実を受け入れるならば、ロシアは真剣な対話にオープンだ」
と、停戦協議の前提としてウクライナが絶対飲めない条件を言い切っていますから、そもそも対話だの協議だのする気なんてないんです。
そして現に、その翌日にプーチン大統領の方から一方的に申し出たギリシャ正教のクリスマス停戦でも、ロシア側が一方的に停戦するからウクライナ軍に応じろという話だったのに、その期間中もロシア軍はウクライナ市民に攻撃してしまっています。
トルコ大統領から「一方的な停戦の宣言」を求められ「ウクライナが新しい占領地の現実を受け入れるならばロシアは真剣な対話にオープンだ」と言い放ったプーチン大統領が36時間だけのクリスマス休戦宣言(酷い)
また、佐藤氏はNATOの東方拡大がロシア軍によるウクライナ侵略の原因だというのですが、客観的に起きていることを見れば、ロシアはウクライナ戦争で真っ先にウクライナの首都キーウを攻撃し、戦争中にウクライナ4州の併合宣言をしていて、その前には2014年にクリミア半島の併合もしています。
ですから、プーチン大統領がウクライナ戦争を始めた主たる動機は、ウクライナの政権転覆や、ウクライナの領土をロシアのものにするという領土的野心だったことは明らかです。
劣勢に回ったロシアがまた蛮行。ロシア軍が実効支配する親ロシア派武装集団が今月、ウクライナ東・南部4州ロシア併合への住民投票。まさにクリミア併合と同じ国際法違反の侵略手法だ。
プーチン大統領によるウクライナ4州の併合条約調印に対して、ゼレンスキー大統領がNATO加盟手続きを加速する申請書に署名。この非は一方的にロシアにあり、プーチン大統領がまず4州併合を撤回するべきだ。
他方、このロシアによる4州併合でこれまで中立だったフィンランドやスウェーデンがNATO側に追いやってNATO加盟を決めても、プーチン大統領は平然としているのですから、NATOが東方拡大してウクライナがNATO加盟をしようとしていたことがウクライナ戦争の原因だというのは、ウクライナがナチズムだから戦争した、西側諸国もナチスだというのと同じで、ロシア側の宣伝に過ぎません。
ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵略を正当化。「ナチスのイデオロギーが現代的な装いで再びわが国の安全保障に直接的な脅威をもたらしている」。現代のナチスは国内外の人民を弾圧・殺害するプーチン政権だ。
また、ロシアと欧米諸国でNATOがこれ以上東側諸国の加盟を求めないという東方不拡大の約束が誰と誰の間でどの程度明確にあったかも判然としませんが、少なくともロシアとNATOとの間でNATOが東方拡大しないという条約は存在しないし、国際協定もされていないので、NATOが東方諸国の加盟を「勧誘」したとしても、それは国際法違反ではもちろんありません。
他方、NATOに続々と入った東側諸国にはどんな軍事同盟に入るか選択する自由があり、それはその国の主権の範囲内の行為ですから全く合法です。
ウクライナがNATOに加盟しようとしたのも、EUに加盟しようとしたのとまったく同じで、主権の範囲内であって完全に適法です。それは軍事同盟自体が世界平和にとって妥当かという話とはまた別問題なのです。
ですから、ウクライナがロシアの逆鱗に触れることを承知でNATOに加盟しようとしたことは政治的選択としては誤っていたことが今から見れば明らかですが、だからといってこれが法的に違法なわけではないのです。
以上から、このようなウクライナやNATOの国際法に適合する行為を理由に、侵略という完全に違法な行為をロシアがする権利がないのは当然で、ロシアの侵略は正当化される余地が全くありません。
戦争中に原発を攻撃したこと、原発を占領して攻撃基地にしたこともロシア軍が史上初。もちろん国際法違反だ。
ウクライナ戦争「どっちもどっち」論には道理がないとする日本共産党の立場は至当。侵略しているロシアの行為の違法性こそ著しく重大。そこから議論を始めない橋下氏らがロシア擁護派とされるのは当然だ。
さて第二次大戦後、他国への武力行使を最も多数回してきたのはもちろんアメリカ合衆国ですが、アメリカを含み、大国が小国の領土をこれほど露骨に侵略した例はほかにありません。
プーチン大統領は自らをピョートル大帝に模して語ることがたびたびあるのですが、まさにプーチンロシアがやっていることは世界を19世紀20世紀の戦乱の時代に引き戻そうという行為です。
「NATOの東方拡大」はプーチン大統領によるウクライナ侵略の「動機」ではあり得ても、ウクライナ戦争の「原因」とは言えない。ウクライナ戦争の原因はロシア軍によるウクライナ侵略以外にあり得ない。
これに対して抵抗を続けているウクライナ政府に対して、佐藤氏ら親露派は核戦争を招きかねない危険な行為だというのですが、その核戦争ってロシアがウクライナから追い出されそうになった時に核兵器を使うという話ですから、佐藤氏らが非難すべきはロシアであって、ウクライナではありません。
例えば、ベトナム戦争の時に戦況が不利だからと言ってアメリカが核兵器の使用を検討していることが当時明るみになったら、これは全世界がアメリカを非難したはずです。
北ベトナムが激しく抵抗するから、ほらアメリカが核兵器を使いかねないだろ、核戦争の危機を招いたのはベトナム人民だと批判する人やだから北ベトナムに停戦せよと主張する人などいたわけがありません。
にもかかわらず、プーチン大統領がそれ自体が国際法違反である核による威嚇を何度も何度もしても、プーチン大統領とロシア軍を責めるのではなく、なぜかウクライナとNATOが核戦争の危険を招いていると批判する佐藤優氏や伊勢崎賢治氏らはダブスタというよりもはや異常としか言いようがありません。
【2022年回顧1】ウクライナ戦争の教訓は軍備では戦争を防げず戦争が始まったら停戦は至難という事実。日本の最高の安全保障戦略は先制攻撃能力による抑止ではなく、憲法9条による平和外交での緊張緩和だ。
エセ平和主義者の伊勢崎氏は、欧米諸国によるウクライナ軍への軍事援助を批判し、アメリカが起こしたいくつもの戦争で被害国に軍事援助などしてこなかったのに、ウクライナにだけ援助するのはダブルスタンダードだと言い募ります。
しかし、それを言うなら被侵略国に対する軍事援助は批判しながら、侵略国であるロシアに対して攻撃用無人クローン機を多数輸出してウクライナの市民とインフラに莫大な被害を生ぜしめているイランを伊勢崎氏らが批判しない方がよほどダブスタです。
経済制裁については次回書く予定ですが、平和主義者を装う伊勢崎氏らが、ロシアへの経済制裁をかいくぐって安い原油をロシアから大量購入するなどしてロシアの戦争継続を可能にしているインドや中国のことをも批判しないのも、まるで矛盾です。
伊勢崎氏は今は日本共産党叩きに夢中ですが、彼のような人は日本のまともなリベラル平和主義者を貶めることができればいいのですから、どうしようもないです。
日本の護憲派が、ロシア敵視に見事に翼賛化し、日本社会の極度の安全保障化に抵抗する力を削いでいるのは、専守防衛と戦争を同一視できない性である。
— 伊勢崎賢治 (@isezakikenji) December 16, 2022
日本で、事もあろうに護憲派が、ロシアは絶対悪だって盛り上がってしまったら、アメリカの言いなりに防衛費が増大するのは、当然でしょうが。
— 伊勢崎賢治 (@isezakikenji) December 28, 2022
平時での党員の粛清を是としている勢力が、ジェノサイドやジュネーブ条約が規定する戦争犯罪を罰する国内法は必要ないと言っている。それが九条護憲という平和主義を騙っている。どれだけ恐ろしいことか分かりますか?
— 伊勢崎賢治 (@isezakikenji) February 6, 2023
九条を持ちながら、日本が軍拡を重ねいつの間にか世界屈指の軍事大国になってしまったのは、自分達の命令が重大な戦争犯罪を引き起こした時に最も重く罰せられるのは首相を頂点とする自分達「上官」である、という自覚を持たせない九条が原因です。でも、その是正には改憲から始める必要はありません。
— 伊勢崎賢治 (@isezakikenji) February 16, 2023
↑もはや意味不明
以下の
アメリカの産軍複合体はウクライナという新たな「市場」を見つけた。第二次大戦後、世界中で戦争をしまくり、イスラエルによる武力行使を放置するアメリカに、ロシアによるウクライナ侵略を非難する資格はない。
等の記事にも書いてきたように、ウクライナ戦争が続く限り、欧米の産軍複合体が大儲けするという構造も頭が痛いのですが、それもこれもロシアが侵略したのが悪いのであり、またロシアが撤退すれば終わることです。
ロシアは撤退しない、停戦もしないという現実を前提に考えると、ロシアが停戦に応じるまでは西側諸国からの軍事援助を続けざるを得ないのが現実です。
実際、傭兵や囚人まで動員しているロシア軍が、軍事援助がなくなって弱体化したウクライナ領土に攻め込んだら、恨み骨髄のロシア軍によってウクライナ市民と兵士にどんな殺戮と蛮行が繰り広げられるか、想像を絶します。
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2023年2月16日 6:49 (2023年2月16日 7:33更新)日本経済新聞

【ニューヨーク=吉田圭織】国連総会がロシアのウクライナ侵攻から1年に合わせて採択する決議案の内容が15日、わかった。ウクライナのゼレンスキー大統領が提唱するロシア軍の全面撤退などを含む10項目の和平案を支持し、ロシアに対して即時攻撃停止を求める。
日本経済新聞が入手した採択予定の決議案では「国連憲章に基づいた包括的で、公正かつ永続的な平和を実現させる必要性を強調する」とした内容が盛り込まれている。ロシアに捕虜交換や民間インフラや住宅、学校、病院などに対する意図的な攻撃を直ちに停止するよう要請。国際社会にはウクライナ侵攻による食料安全保障や核の安全の問題などに対処するようにも求める。
決議案は15日、国連加盟国に配布された。国連外交筋によると、22〜23日に開く国連総会の緊急特別会合の最終日に採決に持ち込む予定。ウクライナ侵攻からちょうど1年となる24日には安全保障理事会で閣僚級の会合を開く。安保理では常任理事国のロシアが拒否権を発動できるため、声明や決議の採択は見送る見通しだ。
国連総会はロシアによるウクライナ侵攻後、緊急特別会合を開いて侵攻非難や人道状況に関する内容など合計で5つの決議を採択してきた。最大では140カ国以上からの賛成票を得られ、今回採択予定の決議案でも同様の支持を得たい考えだ。
“露軍即時撤退”など求める決議案全容判明 来週の国連総会で採択目指す
2/16(木) 10:12配信
日テレNEWS
ウクライナ侵攻から1年になるのに合わせて来週開かれる国連総会で採択を目指す、ロシア軍の即時撤退などを求める決議案の全容が判明しました。
国連総会は、ロシアによるウクライナ侵攻から1年になるのに合わせて今月22日から緊急特別会合を開きます。
会合では、各国の代表らが演説を行った上で、ロシア軍に対してウクライナからの「即時、完全、無条件の撤退」を求める決議案の採択を目指します。
15日に各国に配布された決議案の最新版では、インフラ施設や学校、病院などに対する意図的な攻撃を直ちに停止するよう要請しているほか、強制的に連行された子どもを含む民間人の帰還を求めることも盛り込まれています。
さらに、ロシア軍による重大な戦争犯罪については、公正かつ独立した調査と訴追によって責任を追及する必要性を強調しています。
総会決議は、国際社会の総意としての意味を持ち、何か国が賛成するかが焦点です。
1月下旬、米国、ドイツ、ポーランド、オランダなどが主力戦車をウクライナに提供することを決定した。ロシアは激しく反発している。準備や訓練の期間があるので戦車が実際に供与されるのは春以降になるだろう。戦車はポーランドからウクライナに入り、鉄道で戦闘が行われている東部や南部に移送されることになる。ロシアは鉄道や橋りょうへのミサイル攻撃を本格化する。戦闘員のみならず一般住民の犠牲者が急増することになる。さらにウクライナの鉄道輸送がまひするので、食糧供給にも支障が生じる。人命を救うために一刻も早く停戦を実現しなくてはならないと筆者は考える。
この関係で、1月11日、池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長(創価学会名誉会長)が発表した「ウクライナ危機と核問題に関する緊急提言『平和の回復へ歴史創造力の結集を』」が極めて興味深い。創価学会は連立与党である公明党の支持団体だ。従って、この提言は生命尊重、人間主義、平和主義という基本的価値観を創価学会と共有する公明党に影響を与える。池田氏の緊急提言は現実の政治に影響を与える要因であるにもかかわらず、マスメディアでの扱いが小さいのは不思議だ。池田氏はウクライナ戦争を自らの戦争体験と結びつけて語る。
<昨年2月に発生したウクライナを巡る危機が、止(や)むことなく続いています。
戦火の拡大で人口密集地やインフラ施設での被害も広がる中、子どもや女性を含む大勢の市民の生命が絶えず脅かされている状況に胸が痛んでなりません。
避難生活を余儀なくされた人々も国内で約590万人に及んでおり、ヨーロッパの国々に逃れざるを得なかった人々は790万人以上にも達しました。
“戦争ほど残酷で悲惨なものはない”というのが、二度にわたる世界大戦が引き起こした惨禍を目の当たりにした「20世紀の歴史の教訓」だったはずです。
私も10代の頃、第2次世界大戦中に空襲に遭いました。火の海から逃げ惑う中で家族と離れ離れになり、翌日まで皆の安否がわからなかった時の記憶は、今も鮮烈です。
また、徴兵されて目にした自国の行為に胸を痛めていた私の長兄が、戦地で命を落としたとの知らせが届いた時、背中を震わせながら泣いていた母の姿を一生忘れることができません。>(1月11日「聖教新聞」電子版)<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2023/02/07/20230207pol00m010002000p/8.webp?1" type="image/webp" /></picture>
池田氏はこの戦争がもはやロシア・ウクライナの2国間の枠組みを超えて世界的危機に発展しつつあることを冷静に認識している。
この緊急提言で重要なのは、池田氏がこの戦争についてロシアによる侵略という表現を使っていないことだ。停戦を実現することを現実的に考えるならば「お前たちは侵略国だ」と非難されている状況ではロシアが交渉の席に着く可能性がなくなるからだ。そして具体的に以下の提案を行う。<そこで私は、国連が今一度、仲介する形で、ロシアとウクライナをはじめ主要な関係国による外務大臣会合を早急に開催し、停戦の合意を図ることを強く呼びかけたい。その上で、関係国を交えた首脳会合を行い、平和の回復に向けた本格的な協議を進めるべきではないでしょうか>(前掲「聖教新聞」)
池田氏の提言は実現可能性が十分あると筆者は考える。ウクライナ戦争を巡る西側連合の立場は一枚岩ではない。ドイツ、フランス、イタリアの政治エリートはウクライナ戦争の泥沼化を望んでいない。ポーランド、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニアの首脳は、ウクライナが勝利するまで戦争を続けよと主張する。米国の政治エリートは、明確な方針をもたずに動揺している。
いずれにせよ、このうちのどの国もロシアと直接戦闘をすることを避けようとしている。そのためウクライナに対する武器供与は質量共に限定的になり、ウクライナが望む迅速な提供も行われない。このような米国を中心とする西側連合によって「管理された戦争」において、ウクライナが勝利を収めることはできない。いずれかの時期で戦線が膠着(こうちゃく)し、停戦交渉を余儀なくされる。その時期が早ければ早いほど多くの人命を救い出すことができる。
停戦の合意を図るために関係国が努力してロシアとウクライナの外相を交渉の席に着かせる努力をすべきだ。専門家(外務省の事務方)レベルの交渉ならばすぐに着手できるはずだ。日本は西側連合の一員であるが、ウクライナに殺傷能力を持つ武器を供与していない(今後も供与すべきでないと私は考える)。これが日本がロシアとウクライナの仲介をする上で重要な要素になる。現在、一部の外務官僚が岸田文雄首相のウクライナ訪問を画策しているが、そのような訪問でこの戦争に深入りするよりも停戦に向けたイニシアチブを取る方が国際社会における日本の地位を高めることになる。
<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2023/02/07/20230207pol00m010003000p/8.webp?1" type="image/webp" /></picture>
プーチン大統領“クリスマス停戦”宣言も実態伴わず 攻撃続き…ゼレンスキー大統領も非難
配信 日本テレビ
日テレNEWS
ロシアのプーチン大統領はロシア正教のクリスマスに合わせた停戦を宣言していましたが、東部や南部で攻撃は続き、実態は伴いませんでした。 プーチン大統領はロシア正教のクリスマスに合わせ、日本時間の8日午前6時を期限とする36時間の停戦を一方的に宣言していました。 ところが7日、東部ドネツク州の知事は住宅や病院などが砲撃を受けてけが人が出たとしているほか、ウクライナ南部ヘルソン州の知事は「1日39回の砲撃を受けた」と述べています。 一方、ロシア国防省はウクライナ軍からの攻撃に応戦したものだとしていて、停戦は事実上、成立しませんでした。 ウクライナのゼレンスキー大統領は「モスクワが発するあらゆる言葉がいかに虚偽であるかを改めて思い知った」と述べて非難しています。
2つの記念日 プーチン大統領と国民
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/475729.html
ちなみにウクライナのEU・NATO加盟が憲法に書き込まれたのが19年2月ポロシェンコ政権の時。EU・NATO加盟の方針を撤回するなら、国民の総意が必要になる。だが、当時国民は納得しなかっただろうし、現在なら自明だろう。
また、マイダン革命はロシアとの決別を意味していた点も留意すべき。ウクライナが汚職にまみれている点はよく報道されている。この腐敗は、ロシアの「戦略的腐敗」によってもたらされている。この手法でモルドバ、或いはアフリカ諸国に影響力を及ぼしている。賄賂、金品、リベートなどの同様の戦術をロシアが武器化し、ターゲット国を不安定化させ、外交政策上の利益をひそかに得る手口。マイダン革命後の西側諸国の支援は、国民の権利を保障すべく腐敗を改革していくものだった。ウクライナやモルドバは必死に腐敗と戦っているが、この道は険しい。特に司法の腐敗は深刻だ。
Ukraine: How to Oppose Russia’s Weaponization of Corruption
https://www.usip.org/publications/2022/06/ukraine-how-oppose-russias-weaponization-corruption
Russia in Africa: Undermining Democracy through Elite Capture
https://africacenter.org/spotlight/russia-africa-undermining-democracy-elite-capture/
ロシアとの決別を意味するマイダン革命がプーチンの逆鱗に触れたのは、影響力喪失を見せつけられたためだろう。それもプーチンの大嫌いな「革命」によって。