らるるのIT業界ピックアップニュース

日々IT系ニュースサイトを巡回して興味を持ったニュースをずらずらと紹介。

ますます溝の深まるダビング10と補償金問題

2008年06月17日 02時00分28秒 | 著作権
著作権利者側JEITAでの決裂を、総務大臣総務省審議会が政治的に動かすことになると思いきや、経済産業省を含め、いまいちダビング10を押し切ろうとしているわけでもなさそうな今日この頃です。

日頃政治的な話は控えている本田氏2度もほえていたり (小寺氏はほえっぱなしですが)、権利者団体も手をゆるめることがなかったり、「もういいんじゃね?」と思っている人(=私)からすると、この上ないほどの乱闘をリアルタイムで見ることができており大変満足です。

去年・今年くらいでストリーミング動画配信がにわかに流行りつつあったりと、このままでは2011年でもうテレビ業界はだめかもわからんね、と思い始めている今日この頃です。

遠隔録画機器のレンタルは複製権違反?

2008年05月31日 05時19分02秒 | 著作権
[Internetウォッチ] 「ロクラク」レンタルサービスに著作権侵害の賠償を命じる判決
オリンピック前なので、放送各局は積極的ですね。

今回のロクラクの場合、機器は独立しているので、ホスティング用のシステムとして一体と見なされた「録画ネット」の例よりもむしろ、「まねきTV」の事例に近いでしょう。

「まねきTV」との違いは、運営元が機器販売とレンタル事業の両方を行っていた点、機器は録画機能を持っていた点、でしょう。これまでの流れからすると、機器販売とレンタル(ホスティングもしくはハウジング)を同じ運営元が行うと運営元がサービス提供の主体と見なされアウトということになります。今回はこちらの理由で侵害が認められてます。

それに対し「録画機能を持っていた」点ですが、録画機能を持っていたら複製権でストリーミングだけなら公衆送信権で争われるわけで、ここが争われたとしてもストリーミングオンリーと大差はなかったのではないかと思われます。

というわけで、「ロクラク」運営元がレンタルサービスをやめ、どこか別の業者がレンタルサービスするという形に持って行けば、また争点が変わってくるでしょう。

"ポケットU"は公衆送信権を侵害するか

2008年05月25日 03時58分19秒 | 著作権
[ケータイウォッチ] ドコモ、携帯で自宅PC内のコンテンツを見られる「ポケットU」
「ポケットU」という新サービス自体は、歓迎している人も多いのではないかと思われます。ただスラッシュドットの記事を眺めてて気づいたのですが、これって公衆送信権の侵害に当たらないかを要検討しないといけないです。このへんが詳しいです。

MYUTAまねきTV録画ネットの問題にあるように、テレビ番組や音楽ファイルをリモートで利用するために用意されたサービスは、いろいろとグレーゾーンがつきまといます。今回の"ポケットU"も、サービスの主体性を中心に、問題提起がなされそうです。

上記3つのサービスと比較し、根本的に違うのは自宅サーバを利用するという点です。地理的にも所有者的にも、これ以上「ユーザが主導でやる」と主張できる点はないでしょう。

逆に、リモートVPN接続するためのソフトやゲートウェイ機能、トランスコードすること、これらはドコモが主体で行うといって申し分ないでしょう。VPNソフトの提供やVPNのためのゲートウェイ提供は普通に考えれば白ですが、ケータイ向けにトランスコードすることはかなりグレーです。トランスコードをゲートウェイでやるとほぼ黒でしょう。自宅サーバでやらせるにしても、VPNソフトを提供している・提供しているサービスに乗せるためのトランスコード機能を提供している、というあたりでかなりグレー側に傾いてしまうかと思います。

というあたりから、「主体性はどこにあるのか」が焦点になるはずです。

将来的に「DVRのコンテンツもDLNAとVPNで見られるようにする」とも発表しています。DVRと自宅鯖の間はDLNA+DTCP-IPを使えば侵害しないと担保されるだけに、自宅じゃないところを通る場合はどうなのかあたりはかなり曖昧な世界です。これまではいわば弱小相手でしたが、今回は相手がドコモだけに、放送局やJASRACはどう出るのでしょうか。(相手がドコモだけに、ビジネスのことを考え何も言わない、とかなるとアレですね。)

・・・自分でやれば何も問題が起こらない。技術的な問題は何もないだけに、もめてるのがアホしいと思う今日この頃です。

独禁法違反疑いでJASRACに立ち入り

2008年04月24日 02時30分33秒 | 著作権
[SlashdotJ] 私的独占の疑いで公取委がJASRACに立ち入り検査
詳細がほとんど報じられていないのでなんだかよくわからないことになってますが、どうも、「包括的契約」に問題があるのでは、という説が有力です。

例えば、先日ニコニコ動画におけるJASRAC管理下楽曲利用の契約があります。ここでは「ニコニコ動画の売上の1.875%をJASRACに払えば、JASRAC管理楽曲使い放題」というものになってます。もしJASRAC管理下楽曲以外の楽曲を使わなかったら売り上げの1.875%をJASRACに払い、もしJASRAC管理下楽曲以外の楽曲も使ったら売り上げの1.875%をJASRACに払いかつJASRAC管理外楽曲分もその管理団体へ払う、となります。つまり、JASRAC管理外楽曲を使わない方が支払いが少なくて済むことになります。これがJASRAC以外の団体の参入を阻害していると判断できなくもないです。

この手の包括的契約は結構前から放送局となされています。今回は放送局との契約について立ち入りではないかということですが、同じ理屈で行くなら他の多くの分野についても指摘されかねないでしょうね。

Winnyキャッシュによる公衆送信権侵害で逮捕者

2008年03月25日 02時33分43秒 | 著作権
[Internetウォッチ] Winnyで地図ソフトを“ダウンロード”して公衆送信権侵害、2人が送検
Winnyは、(実質変換の仕組みがばれているに等しいとはいえ)、変換するまでは中身がわからない「キャッシュ」を交換するP2Pシステムとなっています。このため、たとえキャッシュをたくさん蓄え送信可能状態にしていたとしても、その中身がわからなければ公衆送信権侵害に問えないのではないかという論が成り立っていました。

今回の逮捕は、その論を一段崩すことになるのでしょうか。

本件の場合、自身で著作物のソフトをダウンロードしたことがあるという事例になります。ダウンロードしたことそのものは現時点では罪に問えないです。今回は、ダウンロードしたことがあるならソフトの変換元のキャッシュを持っていることになり、キャッシュは公衆送信可能状態になっており、結果キャッシュの中身が著作物ソフトであることを知りながら公衆送信可能状態にしていたためアウト、という論になっています。

いずれにしても、ダウンロード行為そのものをとことん追い詰めていきたいという意志が伝わる気がします。

ウィルス作成者が著作権侵害で逮捕

2008年01月25日 01時53分10秒 | 著作権
[Internetウォッチ] アニメ「CLANNAD」の画像を表示するウイルス、作成者を著作権侵害で逮捕
世間的には「ウィルス作者が逮捕」と伝えられてしまっていますが、一応今回は「著作権法違反」ってことになってます。ウィルスを作ったことそのものを問える法律がないから、っと理由までつけてくれていることが多いです。逮捕理由をもっと正確に書くと、アニメ「CLANNAD」の画像を含むプログラムをWinny上で無断で公開していたという公衆送信可能権の侵害、ってとこでしょう。

著作権侵害なので親告罪です。著作権者(の代行者)からの要請がないと警察は動かないことになります。同時逮捕の他の2人は動画公開したりしてるんで明確ですが、このウィルス作成者の場合は静止画を無断使用したということで、わざわざ親告したりせず通常は見逃すケースが多いでしょう。そこをあえて、ということなので、ウィルス作成者であった事実を受け止めてのことなのでしょう。

ただ、著作権に問うたことにより別の心配が生まれます。非親告罪化ダウンロード違法化です。今回の「原田ウィルス」は活動の中でWinnyネットワーク上での増殖を行うため、感染者が意図せずウィルスの公開者となり公衆送信可能権侵害をし、しかもそれが非親告罪化時には即逮捕、なんてこともあり得ます。また、ダウンロード違法化により、著作物を含むような別のウィルスを追加ダウンロードするタイプのマルウェアなんかも、感染してダウンロードすると即違法、てな感じになり得てしまうかもしれません。

という具合に変な議論に向かってしまう可能性があるため、今回の件については、運用面で多少混乱が起こるのを承知で、ウィルス配布行為を罪に問えるようにすべきだと私は思います。もちろん、導入に当たっては、ウィルス活動行為とはどのようなものなのかについて徹底して検討するという前提でですけど。

後ろ向き過ぎる放送地域外特定技術

2007年10月13日 02時08分04秒 | 著作権
[ITmedia] 放送地域「外」だけにアニメ無料配信 携帯で地域特定 - ITmedia News
ローカル局で放送されているアニメを、ローカル局放送されていない地域に住む人にだけネット配信するためのシステムが紹介されています。

あえてボロクソにいいますが、なんでこう、後ろ向きで意味のなさそうに見えるモノを作ろうとするんでしょうかねぇ。結局のところ、この仕組みはアニメを放送しているローカル局への配慮以外の何者でもないです。こういう地域特定システムがない方が遥かに効率的だとわかっているのに。

こういうのを見ると、放送法の存在そのものがもはや時代遅れなのではないかと思い知らされます。

アメリカでGPL違反メーカへの訴訟

2007年09月23日 00時27分14秒 | 著作権
[ITmedia] オープンソース擁護団体、GPL違反でデジタル家電メーカーを提訴 - ITmedia News
GPLなライセンスのパッケージを使っていることを認めつつもGPLなパッケージを組み込んだ製品の利用者にソースコードを開示していないということで、アメリカで提訴がされたという話です。

そもそも、GPLが著作権法の枠内で認められるライセンスなのかどうかという根本的な問題から、GPL違反に対する賠償がどの程度になるのか(公開義務を課すだけでなく賠償金なども取れるのか)など、訴訟の方向によってはかなり注目される裁判になる可能性があります。まぁ、アメリカなのでたぶん和解になっちゃうでしょうけど。

日本のメーカもここ数年GPLなあれやこれを使っている製品が増えています。そこんところのリスクの見極めも含めて、注目される裁判になる可能性があります。

著作者検索のためのポータルサイト構築発表

2007年09月01日 23時37分09秒 | 著作権
[Internetウォッチ] 創作者団体協議会、著作権者情報検索のためのポータルサイト構築を発表
著作物利用促進という観点でこれまで幾度か提案されてきた、著作物の権利保持者を登録・検索するためのデータベースを持つポータルサイトを作ることが発表されています。

こういうのって、どれだけお金をかけずに大量の項目を網羅的に集められるかにかかっているかと思われます。そういう意味ではGoogleあたりにやっといてもらった方が・・・とか思えなくもないところです。

作り出す前から失敗しそうなのが目に見えなくもないですが、まぁ多くの人に利用されて著作物利用が促進されるといいですね(ぉ

映画の著作権保護期間の解釈の余地

2007年08月31日 02時03分18秒 | 著作権
[SlashdotJ] チャップリン作品の格安DVDに著作権侵害の地裁判決
チャップリンの出演映画をチャップリン個人の著作物ととし、旧著作権法に解釈により、チャップリンの死去の年から保護期間を算出する、てななかなかすっ飛んだ解釈による判決が出ています。

旧著作権法の適用を受けるのはどの範囲の著作物なのか、チャップリン出演映画をチャップリン個人の著作物と認められるかどうか、あたりが争点でしょう。

そういや、ソフトウェアって作るだけで著作権が生じるんだったっけ。。今公開しているソフトウェア類は、今から50年後70年度、何がどうなっていることやら。

総務省裁定で地デジ再送信の方向へ

2007年08月21日 02時33分31秒 | 著作権
[AVウォッチ] 福岡民放に地デジ再送信への同意を求める裁定
アナログでは事実上放任だったCATVの再送問題ですが、デジタルでもアナログと同様に視聴者は見れて当然、という感じの論理で地デジ再送信OKの方向になりそうです。福岡の放送事業者側は
、「区域外再送信は地域免許制度を形骸化する」、「大分の放送事業者の視聴率が低下して経営に悪影響を及ぼす」、「著作権処理が不十分」
っと一見曖昧な反論が述べられてます。

が、結局のところ、キー局との番組提供による系列下のビジネスモデルに風穴開けられそう、という理由で反対ということのようで。地域免許制度をタテに地域格差(地元局を見ざるを得ない状況)を作りだしその格差を利用して地方局がもうける(キー局は地方局から貢がせる)仕組みが崩壊しかけないとして警戒しているわけですかね。

廉価版が出にくい日本のデジタルチューナ

2007年08月07日 01時53分10秒 | 著作権
[ITMedia] 5000円以下地デジチューナー「実現難しい」と各社 - ITmedia News
あんまり身内擁護するのもよくないんですが、とりあえず書いておきますね。
米国では地デジチューナーが約60ドルで売られている例もあるという
これを根拠に5000円以下を要求していますが、これを根拠にするには、日本のデジタル放送がアメリカのそれと同程度であることが大前提になります。この前提がそもそもの間違いです。

ご存じの通り、世界中で日本でだけ、ARIB標準規格によるデジタル放送をしています。また、コピーワンスなる奇妙な方式を採用していて、妙な管理費とコピーワンス運用に準拠する義務が事実上存在します。こんな独自規格満載な方式をやってる国に喜んで参入する外国の企業はあまりいないでしょう。結果、競争が起きにくい土壌ができあがります。

著作権保護期間を世界標準の70年に、とかぼやいているのなら、この奇妙なデジタル放送方式をコピーワンス運用見直し含めて世界標準に併せるべき、と主張させるべきなのではないでしょうか。

補足: ARIB標準規格が他のDVBと比較してそんなに変わっているってわけでもないですが、ARIB標準規格をやっているのが現在日本だけである(もうすぐブラジルが加わるらしい)ので、海外企業としてはサポートしたくないのは当然のことでしょう。

とりあえずコピーナインタイムスに落ち着くことに

2007年07月19日 04時18分03秒 | 著作権
[AVウォッチ] 「コピーワンス」見直しは、コピー9回+1回へ
約2年前にコピーワンス見直しへ動き出したわけですが、これに対する1つの結論が、今回の「コピーナインタイムス」ということなのでしょう。各方面からなんだかよくわからないコメントがたくさん寄せされていますが、とりあえずはこのコピーナインタイムスという方向でいったんは落ち着くことになりそうです。

で、これを発表した直後になにやら場外乱闘が起こっているようで。インプレスのコピーナインタイムスを伝える記事中にもよく読むと、
 ただし、EPNの推進を訴えてきたJEITAについて芸団協は、「委員会で権利保護と利便性の解を訴えてきて、着地点を求めてきたが、JEITAだけが“解決策はEPNだけ”、と言い続け、COG+n回の話し合いに入ってこなかった。さらに、文化庁の委員会で私的録音録画補償金制度廃止を訴えるなど、当委員会の合意を壊そうという動きをしてきたことは極めて遺憾」と牽制した。とか書いてあったり。どうやら権利者団体側はすでに「JEITAは敵!」という認識で一致しているようで。

そもそものJEITA側の「補償金制度廃止」案は、DRMと補償金制度の両立はあり得ないという話からきていると私は認識しています。デジタル技術の発達で無劣化コピーが可能になりオリジナルの価値が相対的に低下してしまってきているので無劣化コピーできる媒体に補償金を課そう、てのが流れだと私は認識しています。まぁこの理解もあくまで小寺氏のコラム芥子入れただけのものではありますが。

で、たとえば「9回までしかコピーできない」という信号入りの状態でしかダビングできないのは無劣化コピーなのかどうか、孫からのさらなるコピーが一切不可になるというような孫コピーは無劣化コピーなのかどうか、あたりが1つの焦点なのかなぁと思います。それか、そもそもの「デジタル無劣化コピーに対する補償金制度」という認識が間違いなのかどうか。

なんか、「コピーワンスをコピーナインタイムスに緩和したんだから、補償金制度の対象を汎用HDDに拡大しなければいけない」とかそのうち言い出しそうで怖いです。

オンラインストレージへの著作物アップは違法?

2007年05月29日 01時57分47秒 | 著作権
[ケータイウォッチ] 音楽ストレージサービスには音楽著作物の利用許諾必要~東京地裁
録画ネットやまねきTVと類似した事例になります。

今回の事例は複製権違反ということになっています。利用者が持つMP3などを着うた形式に変換するのを業者が主体的に行っているという判断なのでしょう。なので、着うた形式への変換をユーザが行いそれをアップロードするならNGではないと判断が下ることかと思われます。

・・・うーん、個人が自分で変換作業をやれば違法ではなく、業者が変換作業を手伝うとアウトなのか。なんか直感的には違う気がするんだよなぁ。そもそも、フォーマット変換が「複製」になるってのもなぁ。

まぁ、直感なんてどうでもよくって、着うた販売という今まさに存在する商売のじゃまになるものはアウト、ってことなんでしょうかねぇ。

2007年4月までの音楽配信とDRMの流れのまとめ

2007年04月10日 01時09分28秒 | 著作権
[ITmedia アンカーデスク] 「EMIは打つ手がなかった」――DRMフリー化と「CCCD」という無駄 そして日本は
ITmedia News:EMI、全楽曲を「DRMなし」に――iTunes Storeで販売という話題についていろいろと騒がれている今日この頃ですが、津田氏のコラムがアップされてます。もともとDRMなんて百害あって一利なしな考えの方なので、それなりのフィルタを通して読む必要があるでしょう。

ただ、"DRMフリー化"の評価というよりは、これまでの音楽業界とDRMを巡る約10年の流れを読むという意味で、それなりにまとまった記事になっていると思われます。市販DVDの広まり、CD-Rの普及、Napster/Gnutella/WinMXのP2Pソフト、デジタルオーディオプレーヤの発売、(ウォークマンからの移行という意味での)iPodショック、CCCDの失敗、Sony BMG のRootkit問題、といったここ10年の流れを一通り押さえているので、そのへんの事情を余りよく知らない人にはためになる気がします。

津田氏は"EMIは打つ手がなかった"としていますが、そこんとこは実際はどうなんでしょうねぇ。まぁそのうちいろいろと話が見えてくるでしょう。

で、この流れが日本にどう影響するのかというのがちょっと心配です。少なくとも今回のEMIの決定に、日本国内での東芝EMIの販売に関することは含まれませんし、日本ではDRMがんじがらめの着うたが普及してますし。個人的には、オンライン販売の音楽を買うよりも、レンタルして自分で移していた方が、値段の面でも使い勝手の面でもはるかに楽なんですがね。そういう状況がそもそもどうなんだという話もありますが。