らるるのIT業界ピックアップニュース

日々IT系ニュースサイトを巡回して興味を持ったニュースをずらずらと紹介。

仮想通貨を操作して逮捕

2008年01月25日 02時23分54秒 | 業界動向
[internetウォッチ] ネクソンのサーバーに不正アクセス、仮想通貨3,606万円入手した少年逮捕
ニュースサイトの記事を見る限り、仮想通貨を「入手した」「盗んだ」から逮捕、という論調が多いです。厳密には違います。

今回の逮捕理由は、不正アクセス禁止法違反です。つまり、通常の利用者のアクセス方法とは異なるような種類のアクセスを行うことで通常の利用者にはなしえないような操作をサーバ側にしたということです。つまり、仮想通貨を増やしたという結果が問題なのではなく、仮想通貨の増やし方が問題だというわけです。

仮想通貨や仮想アイテムはサービス提供元のサーバ上にデータとして存在するもので、それらには通常財産権は認められません。つまり、アイテムや仮想通貨は厳密には利用者のものではないんですよ。なので、窃盗などは通常適用されません。財産権がないという主張は通常ゲーム運営側よりなされます。もし財産権を認めてしまうと、サーバ障害などでデータが消えた場合に補償に発展してしまうからです。

というわけで、今回のような事例は通常、不正アクセス禁止法で処理されます。このため、仮想通貨の増やし方に問題がない場合は罪に問われません。このあたりが、RMTを法的に問えるかどうかの話につながります。

ウィルス作成者が著作権侵害で逮捕

2008年01月25日 01時53分10秒 | 著作権
[Internetウォッチ] アニメ「CLANNAD」の画像を表示するウイルス、作成者を著作権侵害で逮捕
世間的には「ウィルス作者が逮捕」と伝えられてしまっていますが、一応今回は「著作権法違反」ってことになってます。ウィルスを作ったことそのものを問える法律がないから、っと理由までつけてくれていることが多いです。逮捕理由をもっと正確に書くと、アニメ「CLANNAD」の画像を含むプログラムをWinny上で無断で公開していたという公衆送信可能権の侵害、ってとこでしょう。

著作権侵害なので親告罪です。著作権者(の代行者)からの要請がないと警察は動かないことになります。同時逮捕の他の2人は動画公開したりしてるんで明確ですが、このウィルス作成者の場合は静止画を無断使用したということで、わざわざ親告したりせず通常は見逃すケースが多いでしょう。そこをあえて、ということなので、ウィルス作成者であった事実を受け止めてのことなのでしょう。

ただ、著作権に問うたことにより別の心配が生まれます。非親告罪化ダウンロード違法化です。今回の「原田ウィルス」は活動の中でWinnyネットワーク上での増殖を行うため、感染者が意図せずウィルスの公開者となり公衆送信可能権侵害をし、しかもそれが非親告罪化時には即逮捕、なんてこともあり得ます。また、ダウンロード違法化により、著作物を含むような別のウィルスを追加ダウンロードするタイプのマルウェアなんかも、感染してダウンロードすると即違法、てな感じになり得てしまうかもしれません。

という具合に変な議論に向かってしまう可能性があるため、今回の件については、運用面で多少混乱が起こるのを承知で、ウィルス配布行為を罪に問えるようにすべきだと私は思います。もちろん、導入に当たっては、ウィルス活動行為とはどのようなものなのかについて徹底して検討するという前提でですけど。