らるるのIT業界ピックアップニュース

日々IT系ニュースサイトを巡回して興味を持ったニュースをずらずらと紹介。

遠隔録画機器のレンタルは複製権違反?

2008年05月31日 05時19分02秒 | 著作権
[Internetウォッチ] 「ロクラク」レンタルサービスに著作権侵害の賠償を命じる判決
オリンピック前なので、放送各局は積極的ですね。

今回のロクラクの場合、機器は独立しているので、ホスティング用のシステムとして一体と見なされた「録画ネット」の例よりもむしろ、「まねきTV」の事例に近いでしょう。

「まねきTV」との違いは、運営元が機器販売とレンタル事業の両方を行っていた点、機器は録画機能を持っていた点、でしょう。これまでの流れからすると、機器販売とレンタル(ホスティングもしくはハウジング)を同じ運営元が行うと運営元がサービス提供の主体と見なされアウトということになります。今回はこちらの理由で侵害が認められてます。

それに対し「録画機能を持っていた」点ですが、録画機能を持っていたら複製権でストリーミングだけなら公衆送信権で争われるわけで、ここが争われたとしてもストリーミングオンリーと大差はなかったのではないかと思われます。

というわけで、「ロクラク」運営元がレンタルサービスをやめ、どこか別の業者がレンタルサービスするという形に持って行けば、また争点が変わってくるでしょう。

"ポケットU"は公衆送信権を侵害するか

2008年05月25日 03時58分19秒 | 著作権
[ケータイウォッチ] ドコモ、携帯で自宅PC内のコンテンツを見られる「ポケットU」
「ポケットU」という新サービス自体は、歓迎している人も多いのではないかと思われます。ただスラッシュドットの記事を眺めてて気づいたのですが、これって公衆送信権の侵害に当たらないかを要検討しないといけないです。このへんが詳しいです。

MYUTAまねきTV録画ネットの問題にあるように、テレビ番組や音楽ファイルをリモートで利用するために用意されたサービスは、いろいろとグレーゾーンがつきまといます。今回の"ポケットU"も、サービスの主体性を中心に、問題提起がなされそうです。

上記3つのサービスと比較し、根本的に違うのは自宅サーバを利用するという点です。地理的にも所有者的にも、これ以上「ユーザが主導でやる」と主張できる点はないでしょう。

逆に、リモートVPN接続するためのソフトやゲートウェイ機能、トランスコードすること、これらはドコモが主体で行うといって申し分ないでしょう。VPNソフトの提供やVPNのためのゲートウェイ提供は普通に考えれば白ですが、ケータイ向けにトランスコードすることはかなりグレーです。トランスコードをゲートウェイでやるとほぼ黒でしょう。自宅サーバでやらせるにしても、VPNソフトを提供している・提供しているサービスに乗せるためのトランスコード機能を提供している、というあたりでかなりグレー側に傾いてしまうかと思います。

というあたりから、「主体性はどこにあるのか」が焦点になるはずです。

将来的に「DVRのコンテンツもDLNAとVPNで見られるようにする」とも発表しています。DVRと自宅鯖の間はDLNA+DTCP-IPを使えば侵害しないと担保されるだけに、自宅じゃないところを通る場合はどうなのかあたりはかなり曖昧な世界です。これまではいわば弱小相手でしたが、今回は相手がドコモだけに、放送局やJASRACはどう出るのでしょうか。(相手がドコモだけに、ビジネスのことを考え何も言わない、とかなるとアレですね。)

・・・自分でやれば何も問題が起こらない。技術的な問題は何もないだけに、もめてるのがアホしいと思う今日この頃です。

人質と交換にダビング10が始まろうとしている

2008年05月15日 02時54分48秒 | 業界動向
[PCウォッチ] 補償金制度拡大案への多くの疑問 (本田雅一のAV Trends)
本来なら何の関係もない「私的録画録音補償金制度」の対象機器拡大を人質に、ダビング10が始まろうとしています。「現実的な案」という意味では仕方ないのかとも思いながらも、長期的に補償金をなくすといいつつ今回は拡大する方向だったり、やはり今回の件を疑問に思う人は多いでしょう。

そんな疑問点を、過去の経緯も含め、本田氏が改めて記事にまとめてくれています。個人的に追加したい点としては、
  • ダビング10という総務省管轄の放送行政のことになぜ文化庁が口を出しているのか
  • アナログ複製は著作者の権利を損ねず、再エンコなデジタル複製は著作者の権利を損ねているというのか
  • 全世界を見渡しても無料放送にDRMをかけてるのは日本だけ、それでもまだ続けるつもりなのか
あたりかな。なんというか、過去のCCCDの件をどう解釈しているんだろうか。

ちなみに、人質としてオリンピック開催もあります。開催そのものがアレな点もありますが、そもそも毎回オリンピック前にはテレビやレコーダの需要が伸びる現象があり、JEITA含む電機メーカは需要を後押しするダビング10案に折れないわけがないと踏んでいるかと思われます。

2011年アナログ停波に合わせて自滅の方向一直線に急がなくてもいいのに。そんなにコピーされたくなけりゃコピーネバー信号ででも放送すればいいのに。というか、もはやテレビ放送そのものがも一時期ほどの巨大さを保てなくなってるだけかも。