どんまい

いろいろあるけれど、それでいい。

if

2007年12月10日 | little story
「やっぱ、ここは集中できるなぁ」
2年前か。この場所で、俺は真剣な顔をして、
自分の自伝を書き綴った。

ひさしぶりに、テリヤキチキンバーガーを食おうと思って注文をしたのが、
テリヤキバーガーだったことに気づいたのは、
席についてからだった。

「チキン」という文字が入っていないだけで、
全然、違うものが出てくるんだよなぁと、
座った席に立てかけてあるメニュー表を手に取り眺める。
メニュー表の裏には、メリークリスモスと、
クリスマスの注文を取るための宣伝が書かれていた。

その店に、置いてあるスポーツ新聞は、
いつものように人気があって、読むことはできない。
ガラス越しの隣の人が読んでいる。
「読み終わったら、すぐに返してください」と心の中で、
その人にお願いをし、ぼーっと外に目をやる。

隣の深緑色の建物も喫茶店。
この店と隣の店が、実は一字違いだということは、
どれだけの人が気づいているのだろうか。

モスとモシ。
英語で「if」という名が、その隣の喫茶店の名前。
どちらの店が、先にできたのか気になりながら、
それは聞けねぇなと自問自答する。
今度、モシにも行ってみようか。


10年前。
俺達は、ファーストフード店に入って、話をするという考えがなかった。
それくらい金もなかった。
寒い夜空の下、アーケードのベンチに腰掛け、
真剣な顔で、お互いの野球論について話をしていた。

その友達とは、その後も何回か、
野球論だけではなく、教育についてだったり、宗教についてだったり、農業についてだったりと議論を交わした。
何か、そういう話をすること自体がおもしろかった。


数日前、その友達から、メールがきた。
「チーム、集団づくりで一番必要なことについて、お前の考え方を書いてほしい」
「組織論、最近、よくこのことを考える。人の組織の作り方、育て方」。
メールが来てからというもの、時々、考えていた。

「やっぱ、良い言葉が思いつかねぇや」と、
スポーツ新聞を閉じ、俺は店を後にした。



俺は、時々、気まぐれで、
「もし、俺がトップだったら、どうするか」と考える。
「ここでは、こう動いて欲しいだろうな」と考える。
「俺に怒って、みんなに戒めたいんだろうな。怒られやすい人でいよう」と思いながら、やっぱ怒られるのは、むかつくなと思ったこともある。

時々、チームにおいて何が必要なのかを考え、
結構、チームでやることの難しさを感じる。
しまいには、俺は、組織やチームでやるのは、あわねぇなと思う。

友達からメールが来た時、まず最初に頭に浮かんだ言葉は、「環境」。
リーダーに必要なことは、環境を整えること。
環境で、人は変わる。

ただ、環境。答えになっていないような気がする。
あまりにも漠然としている。
その環境をどういう風に作ったら良いかって、話を聞きたいんだよなと自問自答する。

やっぱ、コミュニケーションなんだろうな。
当たり前のようで、当たり前のようにできないコミュニケーション。
一番、必要なことは、「信頼」で、
「信頼」を築いていくための「コミュニケーション」。
コミュニケーションの積み重ね。

人には、感情がある。
当たり前だけど、そこが難しい。




『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎:新潮社

2007年12月08日 | book
広瀬川、中央公園、大学病院前・・・。
俺が大学生活、過ごした街。仙台。

仙台の街が舞台となる小説を書く伊坂幸太郎。
この小説を手に取った友達は、
俺と同じように、その街のことを思い出しているだろうか。

その本の帯びには、「精緻極まる伏線、忘れがたい会話、構築度の高い物語世界・・・」と書かれている。本当にそう。
何か、文章なのに、数式を読んでいるかのような、計算された一冊の本。

『ゴールデンスランバー』は、ジョン・F・ケネディー暗殺と重ね合わせた物語。
首相暗殺の濡れ衣を着せられ、逃げ切ることはできるのか。

「なくもないだろうな」とその本の世界にどっぷりはまる。
「こえ~な、逃げ切れるわけがねぇよ」と、次の展開が気になり、読み続ける。
気づいたら、早朝4時。

テレビゲームに、どっぷりはまり、気づいたら、早朝。
そんな大学生活を思い出し、気になりはしたが、その本を一旦、閉じ、布団に入る。



野球馬鹿論~北京オリンピック・アジア予選篇~

2007年12月04日 | baseball
「すげぇ」
テレビの前、サブローのスクイズを観ながら声を出した。
これで2-2の同点。
星野監督のすごさを、まざまざと観た気がした。

三塁にランナーが進塁した時、俺もスクイズを考えた。
ただ、その場面は満塁。
満塁でのスクイズは外された場合、一気にツーアウトになるケースが高く、サインを出しづらい。
一気に、流れは途切れる。
スクイズは、サインを出す方も、出された打者も、かなりびびる。
思いのほか、リスクが高い。
そんな作戦。

ボールが先行し、ツーボール。
その時点で、押し出しも頭をよぎった。
プレッシャーによる自滅。
同点。
そんな楽な展開に、こしたことはない。

ただ、楽な展開に、こしたことはないからといって、
そこを打者が狙うと、得てして打ち取られる。
打者は、守りに入ってはいけない。
今は、攻撃の時なのだから。

ファールボールで、カウント1-2。
その時、すでに、俺の頭から、スクイズは消えていた。
ストライクをとりにくるカウントだから、
犠牲フライでも打ってくれれば良いなと思っていた。

そこでのスクイズ。
絶妙。

思えば、昨日の韓国戦。
「大村って誰よ」って、よくよく観たら、ロッテの4番、サブロー。
韓国にいきなり先制をされて、すぐの同点弾もサブロー。

取られた後に、すぐに追いつく、そして追い越す。
そこが、韓国戦、台湾戦と、主導権を握ったまま、試合を進めることができたゆえん。


4年前のオリンピック予選は、勝って当たり前と思っていたけれど、
今回は、そんな気持ちになれなかった。
何せ出場できる国は一つ。

韓国には、WBCでも二度やられている。
その韓国に勝ったからといって、油断ならない国、台湾。

あまりの緊張で、「早く楽にしてくれ」という気持ちがよぎるほど、
ドキドキしながら、昨日、今日とテレビを観ていた。


サブローの同点弾もそうだし、
新井の勝負強い打撃にしてもそうだし、
宮本の走塁にしてもそう。
岩瀬の投球もそうで、
どの場面が、というのはなかなか言えないけれど、
それでも言ってくれと言われれば、
俺は、韓国戦に登板した中継ぎの「川上憲伸」が、すごかった。
いや、どの場面、どの選手もすごかったと答える。

韓国戦、初回にホームランを打った2番バッターであるコ・ヨンミンは、
2打席目も立て続けにヒットを打っていた。

5回裏、2アウト、1,2塁。
バッターは、そのコ・ヨンミン。
川上憲伸が、決める内角低めのストレートで三振。
川上憲伸が、マウンド上で、雄叫びを上げながら躍動する。

昨日の敵は、今日の友。
すごい心強かった。
中継ぎに川上憲伸がいるなんて、なんてチームなんだと思うね。
仮に先発が崩れても、すぐゲームを作り直せる安心感がある。
そんな投手。
中継ぎにいる川上憲伸の存在感は大きい。

それにしても、次、次に良い選手が出てくるね。
俺は、メジャーリーグに行きたい選手は、
行って良いんじゃないかという考えなんだけど、
そう考えられるのも、良い選手が出てくるからなんだよね。


あいかわらず野球の話になると長々と書いてしまいますが、
ここまで読んでくれてありがとう。



野球が好きで良かった。