どんまい

いろいろあるけれど、それでいい。

クビを宣告された男達

2009年12月24日 | baseball
「既に知っているかもしれませんが、10時15分からプロ野球戦力外通告って番組があります。これ毎年やっていて、すげー面白いです!」
後輩から一通のメールが届いた。

普段、テレビといったらニュースくらいしか観ないから、テレビ欄もチェックしていない。
あぁ、観たかったと後の祭りになることもしばしば。
ありがとうねと後輩にメールを返信しテレビをつけた。

そういえば、去年も、この番組を観た。
去年も、同じ後輩がメールをくれた気がする。
ありがたい。

158キロ日本最速の男も、戦力外通告を受けたのか。
その番組を観て初めて知る。


山口和男投手


伊良部、五十嵐に並ぶ日本最速の158キロを投げた投手。
オリックスに9年間在籍した。

何人かの戦力外通告をうけたプロ野球選手に焦点をあて、
ドキュメント形式で番組は進んでいくんだけれど、
その中でも、この山口和男投手に惹かれた。

その姿に、どこかの球団がとってくれと願い、
ドキドキしながらテレビを食い入るように観た。


鳴り物入りで入団したプロ野球選手。
ずば抜けた能力を持ってしても、
一軍に生き残るのは半端ない。

球団から戦力外通告をうけ、
まだ俺はやれると思った者が、
合同トライアウトという場で試される。
そこで声がかからなければ、プロとしての道は閉ざされる。


山口和男投手は、インタビューの中で、
「今も150キロを投げることができる」と言っていた。
「生命線の150キロが投げれるならば、まだプロでやっていける」と、
本人は合同トライアウトを受ける。

合同トライアウトをうけるまでの間、
家族に苦しい顔、辛い顔をみせないために、
一人暮らをし、一人、孤独に戦う。

練習も、オリックスの練習場ではなく、
社会人チームのグランドを借り汗を流す。
チームメイトに心配されるのは嬉しいかも知れないけれど、
そんなことを味わっている場合じゃないってなことを言っていた。

その姿を観ていて熱くなった。
俺には、そんなずばぬけた能力なんてないけれど、
先が見えない不安は共感できる。


合同トライアウトでは、4人中3三振を奪う。


合同トライアウト後に、球団が欲しいと思った選手のところに、
電話がくるんだけど、その待っている間も、
その人にしかわからない恐怖があるんだろうね。

山口和男投手は、合同トライアウトで申し分ない成績だったけれど、
どこからも声がかからなかった。

もう一花咲かせることができる力がまだあるのになと残念でならなかった。


「後悔はあります」って最後のインタビューに答えていた。
ただ、その顔は、すっきりしたような顔だった。


また、違った形で一花咲かせる。
そんな顔だった。



*****

読んでくれてありがとう。めんどくさいだろうけどクリックをお願いします。

にほんブログ村



人気ブログランキング
↑こちらもぜひ!
クリックは更新意欲をかりたててくれてます。


プレゼント交換

2009年12月18日 | little story
プレゼント交換。
良い響きだ。

小学生の頃に一度、やったことがある。

大きめの箱に、プレゼントを入れ、
自分で緑色の紙で包装し、
クラスのクリスマス会に参加した。

音楽とともに、30数名のプレゼントが順繰りに次の人の手に渡る。
緑色の包装紙にくるまれた俺のプレゼントの行方を伺い、
俺の手元にくるプレゼントにドキドキした。

女の子が用意したプレゼントが俺の所で止まれと念じた。

音楽が止まった時に、回ってきたプレゼントが自分のプレゼントになる。
俺の手元で止まったプレゼントは女の子からのものだった。
ラッキーとにんまりした。

みんな一斉にプレゼントの中身を確認した。
俺は、空のカセットテープだった。
いいもんが当たった。

すると、どこからか、「いらなぁぁい」と絶叫にも似た声が聞こえる。
そのプレゼントは、俺のプレゼントだった。

俺は、心の中で、そりゃあいらないだろうと思った。

俺は、家にあるいらないものをそこに詰めたのだから。
先生も、家のいらないものをいれてこいと言わなかったっけ?言ったっけ?
まぁ、限りなく俺にとっていらないものをそこに詰めた。

箱がでかかったからな。
中身に比べ、箱がでかかったからな。
その箱の大きさに、期待はふくらみ、そのギャップに落胆を隠しきれなかったんだろうな。
浦島太郎も、でかい箱を開けて失敗したからな。


俺のプレゼントの中身は何だったって?



プレゼントは、「なぞなぞ」の本だった。



俺が、答えを暗記するくらいに解いた、なぞなぞの本。
えんぴつもおまけで。
ちょっとはもったいなかったんだぜ。


あの子はクリスマスの夜に、なぞなぞを家族と楽しんだだろうか?



*****

読んでくれてありがとう。めんどくさいだろうけどクリックをお願いします。

にほんブログ村



人気ブログランキング
↑こちらもぜひ!
クリックは更新意欲をかりたててくれてます。


半ズボン戦争

2009年12月16日 | book
以前、いじめをテーマにした絵本を書いたことがある。
あまりにも、主人公が可哀想で、途中で書くのをやめた。
いじめがテーマってのは難しい。

今回、紹介する本は、いじめがテーマ。
未だかつて、いじめをテーマにした本を読んだことがなかったから新鮮だった。

一言で言うならばリアル。

なぜならば私小説だから。
小学生の頃のいじめられた経験をもとに書かれた本。

主人公は35歳になって、いじめられた人に会いくに行んだけど、
その行動は、考えさせられるものがある。

俺ならできんだろうなと思う。
いじめられた経験は、
振り返りたくないし、
心の奥底のもう開けることもないだろう箱の中に封印するだろう。
だから、いじめられた人に会いに行くこともないだろう。
仮に会ったとしても、話したいことが浮かばない。


ただ、この人だけではなく、俺の友達にも、同じような考えを持っている人がいる。
「いじめられた人に会いたいんだよね」とその友達も言っていた。



話がちょっとそれるけれど、
この前、ふと友達に対して傷つけた言葉を言った過去を思い出した。

すぐ思い浮かぶのでも3つある。

傷つけた言葉を言った奴は、
それほど考え無しに言っている場合もあって、
忘れちゃっている場合もあるけれど、

中には、数十年たった今でも、
後悔の念とともに心の中に残っているものもある。
覚えているからって許されるわけじゃないけれど。


*****


↓今日、紹介した本は、こちらです。
半ズボン戦争
岸川 真
幻冬舎

このアイテムの詳細を見る



*****


この本で、紹介してきた本が100冊になりました。


*****

読んでくれてありがとう。めんどくさいだろうけどクリックをお願いします。

にほんブログ村



人気ブログランキング
↑こちらもぜひ!
クリックは更新意欲をかりたててくれてます。


6杯目のカツゲン

2009年12月14日 | hokkaido
コンビニに行くたび、チラッ、チラッと眺めはするものの、
なかなか新作カツゲンが出ないこと2ヶ月。
じらされて2ヶ月。

出ました新作カツゲン。

新作のパッケージを眺めながら、
そう、そう。カツゲンのほんのりすっぱい味には、すっぱい果物が合う。
俺も飲むこと6杯目。
すっぱい果物が合うんじゃないのかってのは、うすうす気づいていたけれど、
作っている側の人も、何か掴んできたなと思った。

新作はキウイ味。

なんだろう、このワクワク感。
このシリーズを始めた当初には感じなかった、この感情。

パックの片方を開け、ストローをぶっさす。
そして、味わうように少し飲む。

う~む。
なんとも言えない。

そもそも、キウイ味のジュースなんて、未だかつて出たことないんじゃないのか?と思いながら飲む。
これが、キウイ味のジュースか。

うまくはねぇな。

6杯目にして、うまさとかではなく、
その挑戦し続ける姿勢に、俺はつきあっていることに気づく。

そして、6杯目にして、このシリーズを楽しみにしている人が、
実は、いないんじゃないのかということにも気づく。


*****

読んでくれてありがとう。めんどくさいだろうけどクリックをお願いします。

にほんブログ村



人気ブログランキング
↑こちらもぜひ!
クリックは更新意欲をかりたててくれてます。


海賊のおじさん(5)

2009年12月09日 | rakuunanzyuku
つまらねぇ・・・。


唸るような声が心の奥の方から聞こえてくる。
今年に入って何度目だろう。

左足を失ってからまもなく1年、
12月って月は、その年を振り替えるきっかけを与えてくれる。

この1年、パチンコに行った日々もさることながら、
つまらねぇと呟いた日々も数え切れない。

凍てつくアスファルトの上を、
車で走りながら振り返った。


何とかせねば、何とかせねばという気持ちが、
わいては、泡ぶくのように消えてなくなった。

何をどうしたら良いのだろう。
何とかしたいけれど、
何をどうしたら良いのだろう。
何度となく繰り返した。

思ったことといえば、
左足があればなぁ。
左足が戻ってきたらなぁ。

何度となく思った。

が、ない。
何度、願えどない。
ないものはない。


生きるってのは、何て大変なんだ。
どうして、周りの人達は、踏ん張っていけるんだ?
そもそも生きるってなんだ?

割にあわねぇ。
割にあわねぇぞ。

生きるってのは、辛いイベントが多すぎやしないか?


夕飯をコンビニで買って、
再びハンドルを握った。


このままいっても何も変わらない。
20年経って、50代になろうが、
このままいっても何も変わらない。確実に。

同じような毎日を繰りかえせば、否応無しにわかる。
つまらねぇなと呟き、パチンコを打っているのは嫌だ。

まぁ、どうして良いかはわからんけど、
とりあえず、パチンコを打っていても変わらない。

うまくいかないことが多すぎるのに、
何もしなければ何も変わらない。
公平にできている。
こんなところばっか公平かよ。


生きながらにして、生まれ変われ。
生きながらにして、生まれ変われ。


そう、何度となく自分自身に言い聞かせ、
パチンコ会館玉将を背に車を走らせた。



おわり



※今回の話はフィクションです。



*****

読んでくれてありがとう。めんどくさいだろうけどクリックをお願いします。

にほんブログ村



人気ブログランキング
↑こちらもぜひ!
クリックは更新意欲をかりたててくれてます。


リバタリア伝説

2009年12月08日 | little story
最近、書いてきた海賊のおじさんも、まもなく最終回にしようと思っている。
海賊のおじさんはフィクションだけど、モデルとなった人はいるんです。実は。

物語を書いていて、
海賊についてもっと知りたくなって、
先日、図書館に行って、
海賊辞典みたいな本を数冊借りてきて読んだ。

かっこいい海賊はいないもんかって読んでいたんだけど、
人ではなく、気になる国があった。


その国の名は、リバタリア。
本によっては、リベルタリアとも書いてある。

時は18世紀。
イギリスが世界初となる産業革命を成し遂げた時代。
黒人奴隷が労働力として酷使されていた時代。

そんな時代にできた国。
海賊達の手で創った自由の国。

リバタリアは自由・解放を意味する。
フランス人の海賊ミッソンが中心となって創ったから、
リバタリアってのはフランス語なのかね。

その国の注目すべきは、
いろんな人種がいたということ。
イギリス人、フランス人、オランダ人、
そして奴隷船から解放された黒人奴隷達。
黒人奴隷達も仲間にしたってのが良い。

そもそも海賊達は、持たざる者であり、虐げられる者が多い。
持たない者だから、海に出て、金のありそうな船に襲いかかる。

持つ者、虐げる者ってのは、資本家。

一部の金持ちは、どんどん金持ちになり、
扱き使われる者は、とことん扱き使われるそんな時代。

俺が思うに、弱き者はさらに弱き者を作ることが結構、多いと思うんだよね。
だから、海賊が、一旦、支配者側にまわると、
今度は自分がおいしい想いをする番だとなりそうなもんなんだけどね。


このリバタリアの話は、海賊に関係する、いろんな本に出てくるんだけど、
実は、存在しないんじゃないかって説が有力らしい。

リバタリアがあったら良いなと思うけれど、
なくても、この話には夢があって良い。



*****

読んでくれてありがとう。めんどくさいだろうけどクリックをお願いします。

にほんブログ村



人気ブログランキング
↑こちらもぜひ!
クリックは更新意欲をかりたててくれてます。


海賊のおじさん(4)

2009年12月03日 | rakuunanzyuku
何度、パチンコを辞めようと思い、
何度、パチンコをしたことだろう。

あんなに後悔したはずなのに、
次の日には、気持ちがリセットされている。
恐ろしくパチンコにおけるダメージの回復は早い。

今日こそは勝てるかもしれないと、
パチンコ会館玉将に足を運ぶ。

最近、パチンコ会館玉将には新台が入った。
その名も昆虫に夢中。

絶妙のタイミングで新台が導入される。
新台には人が群がり、
金は次から次につぎ込まれる。

キッキキーン。
「カメムシゾーン突入」
派手な演出が隣の台で鳴り響く。


やっと昆虫に夢中に座れたのに、一度もあたりゃあしない。
今日こそはと思えど返り討ち。
むしゃくしゃしながら店を出て、
やっぱしなきゃ良かったとアスファルトに唾を吐く。

負ければ、取り返そうとパチンコに行き、
勝てば、さらに勝つためにパチンコに行く。


左足を失い、俺は心のコントロールも失っていた。



※今回の話はフィクションです。まもなくクライマックス。


*****

読んでくれてありがとう。めんどくさいだろうけどクリックをお願いします。

にほんブログ村



人気ブログランキング
↑こちらもぜひ!
クリックは更新意欲をかりたててくれてます。