どんまい

いろいろあるけれど、それでいい。

狸小路7丁目

2008年10月20日 | rakuunanzyuku
北海道の中心都市、”札幌”。

まもなく雪が降るし、ここらへんで”札幌攻め”をしておこうかと、
ポストカードが入った鞄を持って、てくてく札幌の街を歩く。

あらかじめ、調べた店の住所に辿り着くが、
どこにあるか、わからず、
はたまた、もうなくなったのか、
見つけることすらできなかった。

”狸小路”にでも行くか。
俺は、大通り公園付近から狸小路に向かって歩いた。

今年の夏、札幌に住む、同い年のいとこに、
楽雲庵塾の話、ポストカードの話をした。
その時、「狸小路には、結構、おもしろい店があるから、置いてくれるところがあるかもしれないよ」と教えてくれた。

狸小路は、大通り公園とススキノの間にある、アーケード街。
イメージでは、廃れた感じがするアーケード街だったが、
いとこの話を聞くと、夜には、ストリートミュージシャンもいて、
個性的で、おもしろい店も結構あるって聞いた。

札幌は、1年住んでいたし、その後も、何度となく訪れた街。
ただ、狸小路は、そのイメージから、全然、足を踏み入れていなかった。
いとこの話を聞いた後、
もしかしたら、俺のイメージは間違っていたかも知れない。
行って、確かめてみようって、狸小路5丁目あたりに辿り着いた。

4丁目の方向に向かうか、6丁目の方向に向かうか、しばし考える。
新潟のアーケードも、端に行く方が、おもろい店があったから、
端の方に行きたいな、たぶん、6丁目の方が端だなって、
半ば、勘で、狸小路5丁目から、狸小路6丁目、
そして、狸小路の終わりのような雰囲気が漂う7丁目まで歩いた。

狸小路7丁目は、それまでの5丁目、6丁目とは、
明らかに雰囲気が違っていた。

5丁目、6丁目は、綺麗な感じなんだけど、
7丁目は、狸小路ができた頃のまま残っている、
そんな感じがした。

一目見て、俺の好きそうな店がある気がした。
わくわくしながら、俺は歩いた。

いつからあるんだ?という食堂があり、
狭い屋台のような飲み屋があり、
古い八百屋がある。

道外の友達が来たら連れてこようって考えながら、
7丁目を一通り歩いた。

その中でも、気になる店があった。

そこは、飲み屋やBARが何軒か入っている古い建物で、
外から見た感じでも、独特の空気を放ち、
お香の匂いが、外まで、漂っていた。

俺は、その一軒に入り、カウンターに座った。

カウンターには、先客の中年のおじさんが、
カウンターの中にいる女性の店員、二人と話しをしていた。

俺の母親よりも、すこし若い女性と、
20代と思われる女性。

奥には、3つか4つ、テーブルがあり、
その一つには、女性客がいた。

メニューを見て、ここは飲み屋だったのかと気づく。
飲み屋のカウンターに一人、酒を注文しないのもなぁと考えながら、

「すみません、コーラを一つ」と注文をする。

コーラなのに、お通しが出てきたのには、
少し、申し訳ない気持ちにはなったが、
何せ、酒が飲めない。

そんなことを考えながら、店内を眺めた。
外から見た感じの通り、その店は、雰囲気が良い。

まばらに白で塗られたコンクリート、
歴史を感じる、古い木の柱、
壁には、アート関係の雑誌、
その隣には、名刺やらイベントの告知のポスターが詰まっている透明なビニールの入れ物、
奥のテーブルの白い壁には、いくつもの絵が飾られていた。

「すみません、コーラをください」

酒のつまみにコーラ。
俺を見た店長の女性は、「コーラは甘いでしょ」と、
酒を注文しないのが不思議だったのか、声をかけてきた。
「すみません、俺、酒、飲めないんですよ」と返した。

店長の女性は、忙しそうに、料理を作りながら、
もう一人、カウンターにいた中年の男性と映画の話をしていた。

俺は、透明なビニールの入れ物に入ってる名刺やらイベントの告知を、
持ってきて眺めながら、やっぱり、こういう店には、
他のおもしろい店の情報が手に入るなぁって思いながら、
二杯目のコーラを飲んだ。

ここの店に、ポストカードを置いてもらえないかなぁ。
ちょっと話してみよっかな。

「すみません、コーラをもう一杯ください」

3杯目のコーラを飲んでいる時、
店長の女性が、再び、俺に話しかけてきた。

「旅をされているんですか?」

「ちょっと、ここら辺をぶらぶら歩いていたら、なんか、良い雰囲気だなぁって入りました」

「ありがとうございます。それにしても、コーラばかり、よく飲みますね。歯、溶けますよ」

「よく、言いますよね。いつも、こうです」

店長の学生の頃の友達が、コーラばかりを飲んでいて、
本当に、溶けたって話を聞いて、俺は、少しびびって聞いた。

「あっちにある絵を見せてもらっていいですか?」

「どうぞ」

奥にいたお客さんの邪魔にならないよう、
絵を観て、トイレに行き、再び、カウンターに座った。

「絵を描いていらっしゃるんですか?」

「写真のポストカードを作っています。今日も、置いてくれる店を探して歩いていました」

「良かったら、見せてもらえませんか?」

俺は、心の中で、良しと呟きながら、
ポストカードとプロフィールを店長に渡した。

「自己主張が強いなぁ、せっかく良い写真なのに・・・。言葉がないとダメなんですか?」

あちゃあと思いながらも、「はい、言葉が入って初めて俺の作品なんですよ」と答えた。

アドバイスを聞き、
ちょっと変えようかなぁって、
時には、試す時はある。

ただ、自分で変えようかなと思わなければ、
当然、変えない。

もっと、かっこいいものを、
もっと、多くの人に届くものを、
作りたいとは思うけれど、
自分が納得したものじなきゃ、
自分の作りたいものじゃなきゃ、
作る意味がない。

以前、数店舗の支店を持つ雑貨屋さんへ営業に行った時も、
置いてくれそうだったけれど、
「字を入れないのは作ってもらえますか?」と言われ、
「いや、それは自分の作りたいものと違うからできません」と断った。


結局、なかなか、良い流れで、ここまで話が進んだと思ったけれど、
店に置いてもらうまでには至らなかった。
ただ、おもしろそうな店を教えてもらった。


帰り道、たぶん、札幌には、俺の好きな店があるだろうなぁって思いながら、
出逢いたいなぁって、てくてく歩いた。





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