[永田和宏選]
(鎌倉市・千島麻美)
〇 科学者に「女子」の冠つけないで讃えるようになれよこの国
(大阪市・蒼井杏)
〇 如月のシーラカンスのような朝がベランダよぎる尾びれゆらして
(国東市・水無瀬ゆう)
〇 春からは遠距離恋愛はじめます君を心で全部満たして
(岡山市・酒井那菜)
〇 ふきだしを毎日君と積み上げてそろそろ月に手が届くころ
(町田市・冨山俊朗)
〇 声優を八十二にて逝かしめて波平ずっと五十四のまま
(大館市・小林鐐悦)
〇 薄日差す市の路上に寒鮒は笊に盛られてあぎといており
(宇都宮市・鈴木孝男)
〇 誰よりも一緒に生きた妻だから俺が一番悲しんでいい
(国分寺市・森田小夜子)
〇 来ぬバスをひとつかた向き待つ群れは海の果て見る鷗のごとし
(横浜市・芝弥生)
〇 正社員逮捕と多分言はぬだらう契約社員逮捕と言ひて
(西条市・亀井克礼)
〇 野の川の岸かた寄りに淀む水 川藻が青くゆらぎ春立つ
(鎌倉市・千島麻美)
〇 科学者に「女子」の冠つけないで讃えるようになれよこの国
(大阪市・蒼井杏)
〇 如月のシーラカンスのような朝がベランダよぎる尾びれゆらして
(国東市・水無瀬ゆう)
〇 春からは遠距離恋愛はじめます君を心で全部満たして
(岡山市・酒井那菜)
〇 ふきだしを毎日君と積み上げてそろそろ月に手が届くころ
(町田市・冨山俊朗)
〇 声優を八十二にて逝かしめて波平ずっと五十四のまま
(大館市・小林鐐悦)
〇 薄日差す市の路上に寒鮒は笊に盛られてあぎといており
(宇都宮市・鈴木孝男)
〇 誰よりも一緒に生きた妻だから俺が一番悲しんでいい
(国分寺市・森田小夜子)
〇 来ぬバスをひとつかた向き待つ群れは海の果て見る鷗のごとし
(横浜市・芝弥生)
〇 正社員逮捕と多分言はぬだらう契約社員逮捕と言ひて
(西条市・亀井克礼)
〇 野の川の岸かた寄りに淀む水 川藻が青くゆらぎ春立つ