臆病なビーズ刺繍

 臆病なビーズ刺繍にありにしも
 糸目ほつれて今朝の薔薇薔薇

ああ貴乃花貴乃花

2017年12月07日 | 我が歌ども
○  貴乃花ああタカノハナ貴乃花たかが相撲じやないかもう止せ    鳥羽省三

○  貴乃花鼻持ちならぬ貴乃花 聞いて呆れる巡業部長

○  親方の理事長選の道連れにされて哀れな貴ノ岩関

○  理事長の夢も虚しく総スカン食うか食わぬか瀬戸際の今

○  このままじや関取衆がかわいそう貴景勝関次代のホープ

○  このままじやひくにひかれぬ貴乃花だんまり決めてばかり居られぬ

○  とは言えど人気稼業の相撲取りタニマチ頼みの現状を知れ

○  時により八百長相撲も面白いガチンコ勝負を誇るのは止せ

○  過ぎたるは及ばざるとふガチンコで引退早めた例もあるぞ

○  そもそもは大名抱えの花相撲スポーツとして観るのは野暮だ

○  そもそもは大名抱えの相撲取りスポーツマンとはまるきしちやうで

○  グラサンを掛けちやダメだよ貴乃花マフラーなどはもつてのほかだ

○  だんまりで棒に振るかよ理事長を時の流れを待つのだ今は

○  父仕込み伯父さん譲りの勝負師の名をぱ惜しまんファンの吾は

○  貴乃花嗚呼貴乃花貴乃花若さ頼みのああ貴乃花

穂村弘第一歌集『シンジケート』編(其の6)

2017年12月07日 | 〈近現代短歌集の鑑賞〉萬夜萬冊
○  泣きながら試験管振れば紫の水透明に変わる六月

○  限りなく音よ狂えと朝凪の光に音叉投げる七月

○  プードルの首根っ子押さえてトリミング種痘の痕なき肩よ八月

○  にされた眼鏡が砂浜で光の束をみている九月

○  錆びてゆく廃車の山のミラーたちいっせいに空映せ十月

○  水薬の表面張力ゆれやまず空に電線鳴る十一月

○  風の夜初めて火をみる猫の目の君がかぶりを振る十二月