母が入所しているグループホームに行き一緒に散歩にでた。
空模様は今ひとつだったが、十分に湿度を含んだ空気は田舎の集落を艶めかせている。
帰ってきたばかりのツバメが低く飛ぶこの季節の緑は多彩な緑だ。
母も機嫌がよく足取りも速く散歩を楽しんでいた。最近わずかな段差でもつまずくので手をつないで歩く。
母と手をつなぐことの照れも薄れ、ずいぶん普通につなげるようになった。
通りすがりのツツジに私が手を触れると母もスッと手を伸ばし薄紅の花をつまむと滑らかに動きで口に花を運んだ。
あまりに自然な動作だったので、私も同じように口に含むと母がにっこり笑った。
私もなんだかうれしくなった。