夕方から始めたたき火は暗くなってもオキとなって燃え続け、夕日が落ちて西の空に三日月と金星が輝きだした。火が当たっている面は熱いけど反対側は冷え冷え。まるで月面にいるみたい。遠赤外線は空気そのものを暖めるのではなく、光が当たった物質の表面温度を上げて……とりとめのないつまらないことが頭に浮かんでは消える。
立ちっぱなしはさすがに疲れてきたので物置から椅子を持ち出して長期戦に備えた。木ぎれを組み替えながら、時々火をかき混ぜて火の粉を空にあげてみる。勢いよく舞い上がった火の子達が高く舞い上がって星になればいい…
見上げればいつの間にかオリオンが東の空に上がってきていた。高く上がったオリオン座を見るとカレンダーのように、季節を感じたり時刻を知ったりしていた頃を思い出す。その時誰がいたのか…何をしていたのか…何10年経とうと星の光は何の変わりもなくそこにあるのに、見上げる私だけが時間の奔流に流されていく。あぁ