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「北風と太陽」 人との上手なつきあい方の極意

2016-03-28 17:53:56 | 知恵の情報
「北風と太陽がどちらのちからが強いかで言い争っていた。旅人がやってくるのを見た彼らは、
彼らのうちこの旅人の服を剥ぎ取ったものを勝ちとすることにした。
北風から始めた。北風は烈しく吹きまくった。男が服をしっかり押さえたので、北風は、いっそう
強く攻め立てた。
しかし、ますます寒さが身にこたえるようになった男は、それまでの服の上に更にもう一枚服を出して着た。
それゆえ、北風はやる気を失って男を太陽にゆだねた。

太陽は最初は控えめに照った。
それから、男がさきに余分に着た服をぬいだので、照りつける強さを増した。
その結果、男は暑さにもはや堪えることができなくなり、きているものをみんなぬいで、
近くの川へ水を浴びに行った。」(『人間通になる読書術』谷沢永一著・PHP新書から)


谷沢氏は、このイソップの寓話を最高傑作と解説する。これは、人間関係論の極意であるとする。
結局、相手のことを考えず、やりすぎると、相手は、その思い通りにはならないということだと思う。
風=悪、太陽=善、という暗黙の設定もあるだろう。
ただ、太陽も照りすぎると、旅人が川へ入ってしまう・・・この点に目をむけるとこの物語の教訓を
うまく、自分の生活に使えるのではないだろうか。

私も去年、旧知の友人に自分の伝えたいことを押しつけるようになってしまい。相手を怒らせ、
去らせてしまった。伝えようとすることも太陽の照りのように自己をコントロールしながら相手の
立場に立って行動しなければ押しつけになる。同じものを信じている、わかってくれると過剰に
思い込んで伝えることをして失敗してしまった。

おそらく、ここで語っているのは、人間関係の極意だから、この教訓は、相手がどういう人かではなく、
思いをこめてなにかを過剰におしすすめるとそれが変化してしまう、人の性質というのは、そういうものだ、
ということを冷徹に観察して、たとえているのだと思う。無理強いしないことが大切だと私の場合、
肝に銘じている。

・『新訳イソップ寓話集』塚崎幹夫訳・中公文庫参照

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