ただ生きるのではなく、よく生きる

自然の法則をとらえ、善(よ)く生きるために役に立つ情報を探して考えてみる

命令だけでは人は動かない

2017-01-02 17:44:22 | 知恵の情報
第一次大戦で、巨額のドイツ賠償を引き下げるヤング案を作った米国の法律家
オウエン・D・ヤングは、法律家ににあわず、くだけた人で、その物やわらかな人の
使い方には定評があった。

そのヤングの人の使いぶりは、決して命令しないのである。「あれをせよ」「そうしては
いけない」などと決して命令しないで暗示を与えて、相手に自主的にやらせる。
「それでもいいが、さらには、こう考えたらどうだろうか」「これでうまくいくだろうか」
といったぐあいで、相手の意見をもとめるのだが、実は自分の意図へ相手をもって
いっているのである。手紙の口述なども、それを書かせたあと「これでどう思うかね」
と、それをかいた秘書にたずね、その同意に満足の意を表する。また部下の書いた
手紙に対しても気に入らない部分は「ここのところは、こういう言い方をすれば、もっと
よくなると思うが、どうであろうか」という言い方をする。

こう言われると、部下は自分の自尊心を傷つけられることなく、自主的にヤングの
意図にそって、最も効果的な表現を考えるようになる。

後に大統領となったセオドア・ルーズベルトが、ニューヨーク州知事をやっていた頃、
多年のガンとされていた政治改革の強行という離れ業をやってのけたことがあった。
それができたのは、政治ボスたちと仲良しになり、重要ポストへの人選を自分の
意のままにできたからである。それは最初から決してルーズ・ベルトが任命したのでは
ない。政治ボスからの推薦を巧みに感謝しながら、四回目ぐらいの推薦で最適の人を
決定していた。「あなた方に喜んでいただくためにこの人物を任命しますが、次は
あなた方が私を喜ばせて下さる番ですね」とルーズベルトはボス達にいい、重要法案
の成立に強力させた。

─『一日一言 人生日記』古谷綱武編 光文書院より

■相手の立場にたてることと、自分の考えに欲がなく、その場その場で他者と共通の
最善策を見出せる姿勢があるからだろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿