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不確定性原理の意味      知の限界を示した「新たな知の原理」

2016-10-21 17:53:35 | 知恵の情報
■徹底した観測からは間違いが導かれる
近代科学思考に大きなくさびを打ち込んだ大理論に、ドイツの理論物理学者で
ノーベル物理学賞を受賞したハイゼンベルク(1901~1976)の不確定性原理
があります。これは、学会に非常な衝撃を与えた理論であったようです。

アインシュタイン(1879~1955)より少し遅れて生まれたハイゼンベルクは、
量子力学の創始者の一人とも言われますが、彼の不確定性原理を簡単に紹介
しますと、「物質の究極の本質を探ろうとすると最後には観測したものがちがって
いる」、言い換えると、「物質を正確に観測しようとすればするほど間違った情報
が導き出される」というものです。

これはどういうことかといいますと、たとえば物を観測するためにはどうしても
光が必要です。ところが、物質の究極の真実をもとめて素粒子などきわめて
微小な物を観測しようと光をあてると、その光によって物質は光を受ける前の
位置とは変わってしまうものです。これは、大変な指摘なのです。見るための
光が、見ることの邪魔になる事態が生じたのです。つまり、それまでの
近代科学が最も得意とした細かく分析して観察しようという手法が、実は
本当のところを知ろうとする時には通用しないというのです。

この原理は正確には、「電子の位置と運動量は、同時には精密に決めること
ができない」という量子力学の定理なのですが、この理論が物理科学の
世界に投じた波紋は大きかったようです。ハイゼンベルクが量子物理学に
入るきっかけを作ったとも言えるアインシュタインは、「神はサイコロを振らない」
と言って、断固としてこの理論を破ろうとしたことは有名です。
しかし、結局破ることはできませんでした。

その後も、ハイゼンベルクがこの理論を発表した1927年からすでに70年
近くたっているのに、これを破る理論がないどころか、この理論に続けと
ばかり、ニューサイエンスが華やかになっているのが現実です。

近代科学思考の誤謬や限界を指摘する新しい理論の台頭がそれです。
例えば、いま話題の「カオス理論」もそうで、これは簡単に言えば、方程式
で書き表される決定論的なものであっても許容範囲とされるごくわずかな
初期値の違いで結果的には予測不可能な状態になる、つまり、正しい
観測はあり得ないというものです。

こういったきわめて理工学的な、それも学究的な部分だけへの揺さぶり
が、時代とともに自然科学や一般社会の世界にまでボディブロー的に
影響を与えているのです。その結果、細かく、分析して観察すれば分かる
という絶対的な自信を誇った近代科学思考は、足元から崩れ始めて
いるのです。

─『渡部昇一の 人生観・歴史観を高める事典』(PHP研究所)
  「不確定性原理の意味」より・・・


そうして、この不確定性原理から、ある学者たちは、霊の世界を研究
しだしている・・・