不条理み○きー

当面、きまぐれ一言法師です

「刻まれた音色」

2006年02月11日 23時34分00秒 | Memories

 ドーン・・・
 ドーン・・・
 真っ暗な画面に、何か重々しい音が響いてくる。
 なんだろう?
 何かがぶつかっているのか?
 いや・・・それとも・・・この規則正しい間は・・・足音?
 と、不意に聞いたことのない咆吼がこだまする!
 それと同時に、真っ暗なスクリーンに大きな文字が映し出される。
「ゴジラ」と。
 そして、伝説が始まった・・・。

 正直に言えば、世代的にはこの「ゴジラ」をはじめとした、東宝特撮シリーズに出会ったのは、もっと後の方である。
 その時点では、既にゴジラが徐々にお子様キャラ化していった時である。
 ましてや、ゴジラ以外の「妖星ゴラス」や「フランケンシュタインの怪物 サンダ対ガイラ」等は、TVで出会った口である。

 しかし、そこに流れる「彼」の音楽は、確実に私の心にしみこんでいった。
 映画の中で「東宝自衛隊」が颯爽と登場するときの軽快なマーチや、ゴジラが迫り来るときの重厚な音楽は、私を心地よく映画の世界に引き込んでくれただけでなく、人生でのピンチやちょいと幸せな場面で、ふと口ずさんでいたりする様になっていたのである。

 実際、1980年代にゴジラが復活した際の一連の流れに、各地での旧作品の上映会と共に、「彼」の音楽のトリビュート作品や、「彼」自身の「交響曲」の発売とヒットが大きな原動力になっていたと思う。

 そして私にとっては、「彼」の曲は、「小学校唱歌」や慣れ親しんだ「オールディーズ」の音楽と同じように、いつも心の中に流れていたのである。

 だが、終焉は唐突に訪れる。
 金曜に一つの記事を目にする。

映画「ゴジラ」テーマ作曲の伊福部昭さん死去 (夕刊フジ) - goo ニュース

 一瞬、言葉が出なかった。
 だが、そんなに哀しかったわけではない。
 91才の大往生である。
 しかし、哀しくなかったわけは、彼の曲は今でも私の中に生きていたからである。
 しっかり、確かに刻まれていたからである。

 この週末、久しぶりに埃をかぶった「彼」のレコードを取り出し、そっと針を載せてみた。
 手入れの悪いレコード盤から、バチバチとノイズと共に、あの軽快な「マーチ」が聞こえてくる。

 そして、私はそっと呟く。
 ありがとう・・・そして、安らかに眠ってください・・と。

 謹んで「伊福部昭」氏のご冥福を祈ります。
 本当に、たくさんの音楽とたくさんの夢をありがとう。合掌。 
 


ゴジラ交響ファンタジー~伊福部昭の世界~映画音楽とクラシックの夕べ
伊福部昭
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