ドーン・・・
ドーン・・・
真っ暗な画面に、何か重々しい音が響いてくる。
なんだろう?
何かがぶつかっているのか?
いや・・・それとも・・・この規則正しい間は・・・足音?
と、不意に聞いたことのない咆吼がこだまする!
それと同時に、真っ暗なスクリーンに大きな文字が映し出される。
「ゴジラ」と。
そして、伝説が始まった・・・。
正直に言えば、世代的にはこの「ゴジラ」をはじめとした、東宝特撮シリーズに出会ったのは、もっと後の方である。
その時点では、既にゴジラが徐々にお子様キャラ化していった時である。
ましてや、ゴジラ以外の「妖星ゴラス」や「フランケンシュタインの怪物 サンダ対ガイラ」等は、TVで出会った口である。
しかし、そこに流れる「彼」の音楽は、確実に私の心にしみこんでいった。
映画の中で「東宝自衛隊」が颯爽と登場するときの軽快なマーチや、ゴジラが迫り来るときの重厚な音楽は、私を心地よく映画の世界に引き込んでくれただけでなく、人生でのピンチやちょいと幸せな場面で、ふと口ずさんでいたりする様になっていたのである。
実際、1980年代にゴジラが復活した際の一連の流れに、各地での旧作品の上映会と共に、「彼」の音楽のトリビュート作品や、「彼」自身の「交響曲」の発売とヒットが大きな原動力になっていたと思う。
そして私にとっては、「彼」の曲は、「小学校唱歌」や慣れ親しんだ「オールディーズ」の音楽と同じように、いつも心の中に流れていたのである。
だが、終焉は唐突に訪れる。
金曜に一つの記事を目にする。
映画「ゴジラ」テーマ作曲の伊福部昭さん死去 (夕刊フジ) - goo ニュース
一瞬、言葉が出なかった。
だが、そんなに哀しかったわけではない。
91才の大往生である。
しかし、哀しくなかったわけは、彼の曲は今でも私の中に生きていたからである。
しっかり、確かに刻まれていたからである。
この週末、久しぶりに埃をかぶった「彼」のレコードを取り出し、そっと針を載せてみた。
手入れの悪いレコード盤から、バチバチとノイズと共に、あの軽快な「マーチ」が聞こえてくる。
そして、私はそっと呟く。
ありがとう・・・そして、安らかに眠ってください・・と。
謹んで「伊福部昭」氏のご冥福を祈ります。
本当に、たくさんの音楽とたくさんの夢をありがとう。合掌。
ゴジラ交響ファンタジー~伊福部昭の世界~映画音楽とクラシックの夕べ伊福部昭バップこのアイテムの詳細を見る |