不条理み○きー

当面、きまぐれ一言法師です

「Golden Slumber」

2006年07月19日 17時15分59秒 | Memories


 この数日、身内の引越し手伝いでバタバタしていたのだが、月曜に荷物の大まかな開封を終えて、広げたダンボールの上で一休みしていたときにふと思い出した話。

 時期的にはもうちょいと先になるのだが、高校のころ、夏休みになると、私の所属していた「地学部」の部室にはダンボールが溢れていた。

 そう、秋になれば、文科系のクラブの唯一の発表の場である文化祭がある。
 何を発表するのかといえば、毎日の地道な活動成果なのだが、そこはそれクソ真面目に(いや、失礼)お堅い発表をしても、誰も見に来てくれないので、模型を作成したり、説明にあわせて、ピカピカ光るボードにしてみたりと工夫をする訳だ。

 で、その模型やパネルを安く上げるための主な材料が、近所のスーパーや電気屋からもらって来たダンボールという訳だ。

 そのダンボールと、材木屋からもらって来た廃材をベースに、一応、設計図まがいのも書いて、シコシコとパネルや模型作りに取り掛かるのである。
 が、設計図なんて、有って無い様な物で、だんだん歪んだり、思った形でないようになってくると、それこそダンボールを駆使して無理やり形にしていく。
 まあ、ある種の職人芸で、それでも何とかなるのだから面白い。
 
 形になってくると、塗装や電飾をするべく、模造紙や絵の具、電球、銅線を買いに行く。
 一応、部費から出ることになるのだが、年5万の部費ではどうしようもなく、結局は個人の持ち出しとなる。
 安く上げるために、美術部や物理部に部品調達に走ったこともあった。

 まあ、そんなこんなで、暑い夏、日がな一日、学校にいるわけである。
 しかも、公立のおんぼろ高校。
 冷房など入っているわけが無い。
 女子部員もいるので、真っ裸・・・とは行かないが、シャツ一枚、トレパン一本で汗だくで作業をしていた。

 だが、流石に昼日中の暑さは堪える。
 一年生あたりにお金を渡してジュースを買いに行かせ、一休みになる。

 そのときに、役立つのがダンボールなのだ。

 で、やっとここからが本題なのだが、このダンボール、寝心地が最高なのである。
 いや、そりゃあもちろん、テンピュールのマットレス等は、敵わないけれど。

 一枚だと硬いけれど、数枚重ねると適度な弾力が出る。
 表面はサラサラとしていて肌触りもよく、抜群な吸湿性がある。
 間に空気の層があるので、下からの熱気の断熱効果もあり、また、その隙間の空気のおかげで、ひんやりと感じる。

 流石に一晩眠るには辛いかも知れないが、暑い夏の日のお昼寝には、もうもってこいの素材なのである。

 暑い夏の日。
 窓やドアを開け放った木造校舎の部室や廊下にダンボールを引いて、校庭で鳴くせみの声を聞きながら眠るひと時は、将に至福のときであった。

 中には、ダンボールの中で作業していたら、そのまま眠ってしまったやつもいたりして^^

 もう、あんな風にダンボールと格闘することは無いと思うけれど、今思えば素敵な時間だったなぁと、そんなことを思いつつ、引越しの荷を解いたダンボールの上で、いつの間にか転寝していた私であった。

 ・・・ま、もちろん、今は、
「まだ、片付け終わってないでしょ!!」
と、15分ほどでたたき起こされましたが。


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