この数日、身内の引越し手伝いでバタバタしていたのだが、月曜に荷物の大まかな開封を終えて、広げたダンボールの上で一休みしていたときにふと思い出した話。
時期的にはもうちょいと先になるのだが、高校のころ、夏休みになると、私の所属していた「地学部」の部室にはダンボールが溢れていた。
そう、秋になれば、文科系のクラブの唯一の発表の場である文化祭がある。
何を発表するのかといえば、毎日の地道な活動成果なのだが、そこはそれクソ真面目に(いや、失礼)お堅い発表をしても、誰も見に来てくれないので、模型を作成したり、説明にあわせて、ピカピカ光るボードにしてみたりと工夫をする訳だ。
で、その模型やパネルを安く上げるための主な材料が、近所のスーパーや電気屋からもらって来たダンボールという訳だ。
そのダンボールと、材木屋からもらって来た廃材をベースに、一応、設計図まがいのも書いて、シコシコとパネルや模型作りに取り掛かるのである。
が、設計図なんて、有って無い様な物で、だんだん歪んだり、思った形でないようになってくると、それこそダンボールを駆使して無理やり形にしていく。
まあ、ある種の職人芸で、それでも何とかなるのだから面白い。
形になってくると、塗装や電飾をするべく、模造紙や絵の具、電球、銅線を買いに行く。
一応、部費から出ることになるのだが、年5万の部費ではどうしようもなく、結局は個人の持ち出しとなる。
安く上げるために、美術部や物理部に部品調達に走ったこともあった。
まあ、そんなこんなで、暑い夏、日がな一日、学校にいるわけである。
しかも、公立のおんぼろ高校。
冷房など入っているわけが無い。
女子部員もいるので、真っ裸・・・とは行かないが、シャツ一枚、トレパン一本で汗だくで作業をしていた。
だが、流石に昼日中の暑さは堪える。
一年生あたりにお金を渡してジュースを買いに行かせ、一休みになる。
そのときに、役立つのがダンボールなのだ。
で、やっとここからが本題なのだが、このダンボール、寝心地が最高なのである。
いや、そりゃあもちろん、テンピュールのマットレス等は、敵わないけれど。
一枚だと硬いけれど、数枚重ねると適度な弾力が出る。
表面はサラサラとしていて肌触りもよく、抜群な吸湿性がある。
間に空気の層があるので、下からの熱気の断熱効果もあり、また、その隙間の空気のおかげで、ひんやりと感じる。
流石に一晩眠るには辛いかも知れないが、暑い夏の日のお昼寝には、もうもってこいの素材なのである。
暑い夏の日。
窓やドアを開け放った木造校舎の部室や廊下にダンボールを引いて、校庭で鳴くせみの声を聞きながら眠るひと時は、将に至福のときであった。
中には、ダンボールの中で作業していたら、そのまま眠ってしまったやつもいたりして^^
もう、あんな風にダンボールと格闘することは無いと思うけれど、今思えば素敵な時間だったなぁと、そんなことを思いつつ、引越しの荷を解いたダンボールの上で、いつの間にか転寝していた私であった。
・・・ま、もちろん、今は、
「まだ、片付け終わってないでしょ!!」
と、15分ほどでたたき起こされましたが。