まだ上気しているお前の肩に口づけする。
肉体の感触を確かめるように、ゆっくりと唇を滑らせる。
時折、お前が吐息をもらす。
首筋に昇り、そこから胸の谷間に下る。
谷間からゆっくりと胸のラインを滑る。
そこから再び斜めに昇り、脇のところまで来たときに。
お前が不意に俺の頭に手を伸ばし、そっと自分の顔に向ける。
そして、悪戯げにくすりと笑って言う。
「また、やってる。」
「え? . . . 本文を読む
物書きのまねごとなぞしていると、挑戦したい分野がある。
「怪談」
怖い話だ。
前の話で書いたとおり、怖い本、体験談はよく読むし、友人、先輩、後輩には、その筋に詳しい人が何人もいたので、ネタには事欠かないのだが、私には、怖い話を書く上で、致命的欠点がある。
書いていて、自分で怖くなっちゃうのである。
しかも、夜に書くなど、とんでもない話である。
と言う訳で、今、明るいうちにちょ . . . 本文を読む
ぬらぬらと光る粘液に包まれた、緑色の身体。
硬く尖った嘴に、ぞろりと並ぶ鋭い歯。
硬い甲羅を背負い、頭には湿った皿がある。
おまえの事を、異形のあやかしと人は呼ぶが、
おまえから見れば、一糸纏わぬ身となった私もまた
異形のあやかしと映るのだろう。
おまえを脅かさぬようにゆっくりと近づく。
おまえの目が不安で曇る。
大丈夫。
心配ない。
おまえと私は、求め合う欠片。引 . . . 本文を読む
事後の心地よい疲労感に包まれて、ベッドに横たわっていると、
そのまま夢の魔王に攫われそうになる。
やめろ、俺に構うな。
しかし、俺だけで、魔王に太刀打ちするのは難しい。
辛うじて俺を現世に押し留めるのはキミ。
寄り添うキミの重みが、唯一の絆。
幸せの重み。触れ合う肌の触感。
それでも魔王の誘惑は執拗で、何度目かの波が俺を攫おうとした時
不意にキミが、俺の肩をぺろりと舐め . . . 本文を読む