不条理み○きー

当面、きまぐれ一言法師です

「にほいの記憶」

2005年09月27日 23時51分46秒 | 夜 話
 まだ上気しているお前の肩に口づけする。  肉体の感触を確かめるように、ゆっくりと唇を滑らせる。  時折、お前が吐息をもらす。  首筋に昇り、そこから胸の谷間に下る。  谷間からゆっくりと胸のラインを滑る。  そこから再び斜めに昇り、脇のところまで来たときに。  お前が不意に俺の頭に手を伸ばし、そっと自分の顔に向ける。  そして、悪戯げにくすりと笑って言う。 「また、やってる。」 「え? . . . 本文を読む

ちょこっと「怪談」

2005年08月26日 16時41分06秒 | 夜 話
 物書きのまねごとなぞしていると、挑戦したい分野がある。 「怪談」  怖い話だ。  前の話で書いたとおり、怖い本、体験談はよく読むし、友人、先輩、後輩には、その筋に詳しい人が何人もいたので、ネタには事欠かないのだが、私には、怖い話を書く上で、致命的欠点がある。  書いていて、自分で怖くなっちゃうのである。  しかも、夜に書くなど、とんでもない話である。    と言う訳で、今、明るいうちにちょ . . . 本文を読む

だぁれも しらない

2005年05月09日 00時00分00秒 | 夜 話
 ぬらぬらと光る粘液に包まれた、緑色の身体。  硬く尖った嘴に、ぞろりと並ぶ鋭い歯。  硬い甲羅を背負い、頭には湿った皿がある。  おまえの事を、異形のあやかしと人は呼ぶが、  おまえから見れば、一糸纏わぬ身となった私もまた  異形のあやかしと映るのだろう。  おまえを脅かさぬようにゆっくりと近づく。  おまえの目が不安で曇る。  大丈夫。  心配ない。  おまえと私は、求め合う欠片。引 . . . 本文を読む

 夜 話 ~ 男の場合 ~

2005年04月12日 23時59分44秒 | 夜 話
 事後の心地よい疲労感に包まれて、ベッドに横たわっていると、  そのまま夢の魔王に攫われそうになる。  やめろ、俺に構うな。  しかし、俺だけで、魔王に太刀打ちするのは難しい。  辛うじて俺を現世に押し留めるのはキミ。  寄り添うキミの重みが、唯一の絆。  幸せの重み。触れ合う肌の触感。    それでも魔王の誘惑は執拗で、何度目かの波が俺を攫おうとした時  不意にキミが、俺の肩をぺろりと舐め . . . 本文を読む