声楽家PRIMULAさんの音楽雑談

演奏会の報告・お知らせなどを主に掲載していきます。日々の音楽観なども加えていきたいと思います。

陰鬱の温室

2012-11-28 08:55:39 | 歌曲
エルネスト・ショーソンは、40歳くらいで自転車事故により亡くなってしまいます。

ですが、かなりの作品を残していまして・・・

しかし、残念ながら、あまり演奏されません。

初期の作品は、フランス音楽らしく、とてもチャーミングで明るい曲が多いです。

途中から、たぶんWagnerの影響を受けてから、暗く重苦しい感じの曲に変化していきます。

この「陰鬱の温室」も有名なメーテルリンクの詩ですが、青い鳥の作者とは思えないほど暗い詩です。



この曲の入っている歌曲集を見ていると、「そうだ!これってブラームスだ!」

ということに気づきます。

曲の根幹を流れる一定のリズムパターン、和声、そしてやや暗く美しいメロディ。

まさに構造的にブラームス

そうかあ~だから好きなんだ~

ってことに気づきました。



世の中には、あなたは太い声だから「くらい曲」

細い声の人は、明るい曲

って仕分けする人多いですよね。

でも、本当は、そういうこととは関係なく物事は存在するのだ。

って、考えてみるのはいかがなものでしょう?


自分が何に向いているか?

なんて・・・・・。

本当は、やってみるまで誰にもわからないんだよ


たまには、暗い曲でも・・・・どお?

ダルトン・ボールドウィン

2012-11-25 18:24:58 | フランス歌曲研究会
二期会フランス歌曲研究会の11月例会は、

ダルトン・ボールドウィンさんをお招きしての公開講座。

去年はあまり見本を見せてくださらなかったのですが、

今年は、かなり弾いていただいて・・・・

ピアニストさんたちはさぞ参考になったに違いない。

私がいつもピアニストさんに思うことは、「和音を立体的に弾くこと。

これにあまりみなさん興味がないらしい。」ということ

フランス歌曲だって、機能和声でできていて、

それがまさに機能しているからこそ。厚みが出て、詩の内容を充実させているのです。

その辺を探ってみようという試みをもっとしてほしいなあ~

そうすれば、歌手はもっと楽になるのに・・・・


と常々思っていますが、

そういった点は、本当に絶妙

さすがは世界の名演奏家

とても良い講座だったと思います。

Wagner

2012-11-25 09:25:05 | 演奏会のこと
やっと、Wagnerとフランス歌曲の演奏会が終了しました。

とても、ここになにか話題を書く気にもなれずに、ひたすらテンパっていました

それほど、気力が必要になる音楽です。

譜面は一見、ベートベンとどこが違うの?

って感じなのですが、やればやるほど、エネルギーを絞り出さないと・・・・

やっぱ、西洋人は胆力がちがうなあ~

ていうのが一番の感想

オテロに挑戦中の共演者の及川氏がおっしゃっていましたが、

うゎ!テンション高そう~

と思うオテロも、楽譜にそのように書いてあるので、意外と乗り越えて歌える。

と。。。。。

しかし、

Liedはそうはいきません。。。。

一見ベートベンのように見える楽譜をWagnerにしないといけないわけですから

Schmannにしても、あの入り組んだ楽譜を整理して、Schmannにするのはやはり職人技!

Liedの世界は細く長~い道がひたすら続いてます。

さて、後藤先生からも「あ~らあなたとってもよかったじゃない!」

なんておっしゃっていただいて、無事に終わったわけですが、

ちょっと日本人ぽくって、あっさりしている。と

思ったらしく、マダム・セリグからは、「Courage」とお言葉を頂戴し・・・・。

え~もっとやるの?

と、疲れた頭で考えています。

さて、本日は、ボールドウィンの講座です。

見本みせてくださると、いいなあ~

と期待していますが


幸福の島

2012-11-20 21:25:45 | 演奏会のこと
シャブリエの「幸福の島」

恋人たちが、「あのステキな島へ行って・・・

って、ラブラブな気分を歌うっていう歌曲。

シャブリエってグルマンだった。という逸話も残っていて、

シャブリエ風な~んていうお料理の名前もあるらしい

と~っても明るい曲が多くて、楽しいですが、

しかし、長期間シャブリエばかりだと、明るすぎてちょっと疲れる気も

でも、この「幸福の島」は何回聴いても「いい曲だなあ~

って思える曲

24日の演奏会でも歌われます。



21世紀はどんな時代になるのか?よくわからないですが、

19世紀の終わりから20世紀の初めのころ。

ま、全体的には戦争に向かって進んでいく時代ではありますが、

この時代は文化芸術の最盛期であることも間違いありません。

確かにフランス歌曲の世界は、上流階級のお楽しみ

ということは間違いないのですが、

昔だったら、つまりこれらの曲が作られた時代には

ほんの一握りの人たちのものでしかなかった音楽が、

時を経て、こんな東洋のちっぽけな国でも、

かなりのレベルで演奏される。

ということにご注目いただければ、まことにありがたい限りです。

今日は、マダム・セリグのレッスンがあり、

朝から、大仕事

でもメンバー全員注意されることのレベルが違ってきていることは

本当に感心するばかりです。

私が、生徒さんたちによく言う言葉

「継続は力よねえ~

この言葉を今日は自分たちにも贈りたいと思います。

さあ!

Wagnerももうあと一歩だ


ドビュッシーの午後

2012-11-17 23:33:28 | フランス歌曲研究会
二期会フランス歌曲研究会では、サロンコンサートを年に数回のペースで行っていくこととなり、

その第一回目として、「ドビュッシーの午後」が明日、日仏文化協会の汐留ホールにて開催されます。

私は、来週行われる別のコンサートのため、今回はお手伝いにて馳せ参じます。

明日は、歌曲の演奏のほかに詩やドビュッシーの手紙の朗読などもあり、

耳からだけでなく、全身で感じていただけるような構成になっているようです。

お手伝いさんのためにも!と、タイムテーブルなども送っていただき、

拝見するや、その意気込みを感じている次第

きっと良い演奏会になると期待しています。


さて、24日のWagnerとフランス歌曲のコンサート準備もいよいよ佳境を迎え、

20日のセリグ先生のレッスン&通し稽古に向け、もうひと踏ん張り

といったところです。


最後の追い込みの練習はいつも、録音と一緒、

ミスなく演奏できるよう、細部まで覚えておきたいのです。

さあ~

練習

もうちょっとだ






海とぼくと

2012-11-11 09:54:27 | お稽古
この曲も朝岡さんの作品。

グループレッスンで試してみようと思いました。

かわいらしい曲で、慣れれば当然!なんとかなる。

と思う曲ですが、ついに今回も・・・「知らない曲」という壁に。。。。。。

え~生徒さんが知っている曲って、何曲あるのですか?

と・・・・私は毎回思います。

音符をたどって読んでいき、練習を重ね、だんだんに時間を掛けて、

「ふ~ん」ってわかっていく。

この時間がいいのになあ~

もちろん、最初はストレスでいっぱいになりますが、

ある日、「」となり、「そうか~こういう曲なんだ~

そういう積み重ねが実になる。

ということをわかっているから、日本では「お稽古」?「習い事」?

が人気なんですよね?

先日も、よそのブログ読みながら・・・・・考え・・・・余計なコメントをし

でもやはり、私は思うのです。

見えないところで、自分を育て熟成させ、いざという時にそれを発揮する。

この作業はとても大切なことなのです。

知らない曲を勉強し、形にし、自分の心をそこに込めて表現につなげる。

聴いていただけるような形にする。

そこまで行って始めて「うまくいった

っていえるのです。

「表現」 それは音楽でも、美術でも、ダンスでも同じだと思うのです。

そこには、目に見える、耳に聞こえるそれ以外のものも当然






目標

2012-11-09 23:18:37 | 日々の発見
何をするにも目標があった方が・・・・(#^.^#)

っていうお話。

新しい生徒さんが入られるので、今までやってきたことを少し振り返ってみました。

たまたまなのだと思うのですが、私のところは、

みなさん目標というか、「何のために習うのか?」

ということをしっかりと持ってらっしゃる方がほとんど。

合唱団の中のオーディションには絶対に合格したい。

とか、この作曲家の曲をたくさん歌いたい。

とか・・・・・

そうすると自然に身が入ります。

だから発表会でもしっかりと歌えて


そういう自分も、このところ何の目標も湧いてこなくて困っていました。

ところがある日、ふと思いついたことがあり、

あ・・・・いいかも

って思って・・・・・

それが時間がたつにつれて、少しずつ自分の中で育っていくのを感じ始め、

今では、ganz gutだ!

と思うほどに

そうすると、今までの倦怠感もだんだんに薄れていき、

また、頑張ろう

って・・・元気になったりするのでした。

せっかく長くやってきたんだし、自分にしかできないことを

皆さんも、そんな目標を持つと、また音楽が楽しくなると思います。

レクイエム

2012-11-05 16:32:49 | 日々の発見
昨日のETVでモーツァルトのレクイエムを観ました。

っていうか・・・

聴きました


あの時代はフランス革命に突入する時代の転換期。

人の寿命も今とは段違いなのだけれど。。。。

モーツァルトがもう少し長生きだったら。。。。

と考えると本当に惜しい気がします。


王侯貴族のものであった音楽が、民衆のものとなり、

(ベートーベンが偉大だというのは、最初に一人の音楽家として独立したからだとか)

発展し・・・・・。

しかし、残念ながら、100年くらい前になると、

教養があって、わかる人にしかわからなくていい。

っていうものになってしまい。。。

(ま、複雑に進化してしまったのだから仕方ないですが)

今では、前世紀の遺物?的存在に・・・・・

最近身近でよく話題になります。

この問題


とりあえず、自分にできることを精一杯取り組んで、

なんとかご理解いただいているつもりですが、

はてさて大変な道のりよ


でも、CD以外では久々に良い演奏でした。

ん?だから、レクイエムモーツァルトの

アバドの指揮もよかったし




そのとき、十八の春

2012-11-03 13:05:40 | お稽古
岡崎カズヱさんの詩、にやはり朝岡真木子さんが作曲したもの。

同じく、難しい譜面ではないので、生徒さんにチャレンジしていただきました。

そして、これもまたいい曲で



最初詩を読んだとき、あまりピンとこなかった。

っていうか、青春もののよくある感じ。

っていう印象しか、なかったのです。


でも、譜面をおって歌ってみると・・・・

ただ単なる青春ものとはちょっと違う感じ



たとえば、ある有名なグループが歌う「世界に一つ・・・」

って曲がありますが(とてもよくできた曲だと思います)、

あの曲とは、思想的には同じ感じなのですが、


開く花の質が違うというか・・・

美しい弥勒菩薩や小さな観音さまを拝見するときのような身の引き締まる思いを感じます。

とても良い曲なので、みなさんに知っていただきたいとも思うのですが、

きちっと座って心を静めてから、じっくり聴く。

って時に、ご紹介したいなあ~

と思う感じです。


生徒さんと一緒に「いい~曲だねえ~

って気に入って練習に励んでいます。


こういう時に私は、日本人の感覚ってすごいなあ~

と心から思うのです。

さっそく朝岡先生にもご連絡

ご返信をいただき、ご自身が楽譜にされたものが現実の音となり、

それを喜んでいただけることが作曲家としてうれしい

と書いていただきました。

いや、こちらこそ良い教材になり、ありがたいことです。

尾瀬の木道は

2012-11-01 08:57:45 | 日々の発見
浅田真知さんの詩に朝岡真木子さんが作曲されています。

朝岡さんの曲はここでも何回か紹介しましたが、

基本的にはいつも簡素です。そして、パステル調のロマンチックな色合い。

この作品も、尾瀬沼に集まる老若男女のハイカーみなさんの笑顔とすがすがしい風が香ってくるような

そんな感じの曲です。

最初は、生徒さんで山歩きがお好きな方がいらしたので、

譜読みもそう困難ではないし、「どうかな?」

と思ってお勧めしてみました。

そうして、少し読めたので一緒におけいこを

二人して「あら~いい曲だわ~

と感心することしきり

あまり良いことが聞こえてこないこの世の中。

音楽くらいは自分たちの気に入ったもの。

そしてあまり難しくないものを

っていうのは、当然なんですね。


Wagnerに代表される難しいクラッシックも段々に深まってきて

いい~感じになってきたりしますが、

朝岡さんの作風もまた、気が休まったりする今日この頃です