和州独案内あるいは野菜大全

第一回奈良観光ソムリエであり、野菜のソムリエ(笑)でもある者の備忘録のようなもの。文章力をつける為の練習帳に

稲架と書いてハサと読む

2009年10月26日 | 野菜大全
 稲刈りが終わると田んぼの様相は一変してしまいます。ハザがけをしている農家もほとんど見なくなり、見つけても脱穀後の稲藁を乾燥させているに過ぎません。 バインダ、ハーベスタの登場は、ハザがけの天日干しを前提にした機械化でしたが、コンバインと乾燥機の登場で収穫の工程は一気に短縮化されました。グレインタンクとブーム(オーガ)付きで軽トラックと連動して収穫すれば、一人か二人で反一時間もかかりません。 稲藁も収穫と同時にカッターで細かく裁断され、田んぼに還元されるようになりました。東北のように根雪の心配も無いため、刻まれた藁は秋冬の起こしで土中に漉き込まれ、春までの間に土中で分解されます。寒の厳しい東北では、漉き込んでも微生物の活動が弱く藁が春の田植えまで残ってしまい、湧いてしまうことがあるために燃すのが一般的です。
 それにしてもかつての稲藁の利用範囲は広く、生活に深く根ざしていました。今でも特に苗の鉢土づくりに稲藁は絶対欠かせません。わら堆肥も良いのですが、分解が早く毎年施さなければなりません。せん断して窒素源と合わせて積み上げながら水を掛ける、しばらくすると切り返すなど好気性の堆肥づくりは結構手間が掛かるものです。
 そのためあまり利用しませんが、自分の勝手な「はかり」では稲藁を基準の一と考えています。麦わらを二、トマト残渣が三、籾殻なら五と言う具合です。何の事かというと分解に掛かる年数と言うか、土にすき込む際の自分なりの指標とでもいいますか。
 先ずCN比と言うのがあって、有機物を炭素と窒素の割合で見ると、炭素成分が高ければ分解し難く、逆に窒素成分が高ければ腐敗し易い。そこで、炭素に対して窒素を補いながら堆肥を積んでいくわけです。土中にそのまますき込む場合にも窒素飢餓(投入した有機物が分解時に、土中窒素を奪い窒素切れの状態になる)を起こさずに分解できるかを計る目安ですが、正直面倒なので余り使いません。
 そこで大体の目安として、一年で形が無くなる藁を基準の一にして、他の有機物を比較する訳です。うちで一番利用するのが籾殻ですが、五と言ってる通りそのままでは難分解性で、すき込めば有害な有機酸も出すでしょうし、窒素飢餓を引き起こすでしょう。でも難分解なのはケイ酸の宝庫だからこそで、これを利用しない手はありません。そこで大量の米ぬかと一緒に漉き込み、ビニルで蓋をしてひと夏過ぎれば三か四くらいに成ります。米ぬかは1トンで15㎏程(これも基準)しか窒素がありませんので、それこそ大量に必要です。

  

 夏越しで上記の方法を行なうととても良い結果を得られます。雑草の種や害虫も蒸し殺せて今後は多少やり易くなるでしょう。いわゆる「土壌還元太陽熱消毒」のことで、土の表面は雨に打たれて硬くしまった皮膜が出来ているように見えますが、これまでと違い簡単に掘り込めてぼろぼろと崩れ、菌糸が回った跡が窺えます。

  

 珍しくも無いことですが、次はこれを冬越しでやろうと考えてる訳です。1a程に籾殻がヌカロンで20袋分以上と約200キロの米ヌカ、補助として鶏糞と石灰窒素を加えてじっくり土中醗酵させようというもので、石灰窒素以外は有難い事に地域資源ということでタダです。土が適度の湿気を有していれば、それ以上に雨に当てるよりビニルで蓋をした方が養分の流亡を防げるので蓋をします。

  

 ここにきてロコトの実は肥大充実共に良好で、この緑果が赤くなるのか黄色くなるのかは霜降のリミットまでのお楽しみですが、今までに無い豊作になるのだけは間違いありません。やはり枝が下がると生殖成長のスイッチが入るのか、こんな大きな実が10個以上と、小ぶりなものが20個程は余裕で収穫出来そうだ。そうなるとファルシーを作るのには十分な量になります。
 枝を上げると栄養成長、下げると生殖成長ってのは適当な話かと思ってましたが、案外まともな理論なのですね、そうなると紐誘引の方が良いとう事になるか。
  

ハサのことを書くつもりが脱線しました、また次に続く

  
 
  


  

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